• 2022.03.16
  • フリーダム・コンボイ(自由の車列)
近頃ではウクライナ侵攻などのニュースが世間を賑わせているので、カナダ国内の出来事が日本で大きく報じられることはないと思いますが、オタワでは新型コロナウイルスの感染予防策として政府が国民に課した行動制限の廃止を求めて何千人もの人が街頭で抗議活動を行っています。この活動は、1月下旬にトラック運転手のグループがブリティッシュ・コロンビア州などのカナダ各地からオタワへと向けて出発したことが始まりです。トラックなどが車列をなしてデモを行うため、「フリーダム・コンボイ(自由の車列)」と呼ばれています。トラック運転手たちは、政府が国境をまたいで業務を行う労働者に課した新型コロナウイルスワクチンの接種義務化の廃止を中心に訴えています。

フリーダム・コンボイの車列がオタワに到着するやいなや、市内の道路は数千人のデモ隊で溢れかえりました。数十台の一般市民の車もこれに加わり、たくさんの車両が交通渋滞を引き起こしてオタワ市と他の街を結ぶ幹線道路を塞いでしまいました。このデモ車列に参加しているのは何百人ものトラックの運転手たちで、カナダ各地から何日もかけてオタワにある国会議事堂前に集結しました。国境を越える業務に従事している労働者へのワクチン接種義務を定めた措置を不適用とするよう国に求めています。
彼らはまた、この措置がストレスや健康被害、不安、うつなどの弊害を引き起こし、さらには仕事や国からの支援が失われると訴えています。緊張状態が予想され厳戒態勢が敷かれましたが、主催者たちはデモ参加者に平和的な状態を維持するよう呼びかけました。警察の発表によると、幸いなことにデモ開始後の最初の数日間に暴力事件や負傷者は発生しなかったとのことです。
ところが事態は一変、ここ数日の間にいくつかの事件が発生して多数の逮捕者が出ました。海外メディアもこのデモに注目し、特にSNSで大きく取り上げられたため、「フリーダム・コンボイ」はすぐにヨーロッパなどに飛び火し、多くの団体が各地でデモ活動を開始することとなりました。
私の祖国・イタリアでは、現在、ワクチン接種や検査による陰性結果を証明する「グリーン・パス」がないと仕事をすることができず、トラック運転手たちはカナダのフリーダム・コンボイに触発され始めています。
テレビで抗議活動の主催者が「私たちはワクチン反対派なのではなくて、仕事をするためにワクチン接種義務を課せられることに抗議しているのです」と言っていましたが、抗議活動にはデモの目的も主張も異なる多種多様な団体が参加しており、抗議対象も政府の新型コロナウイルスへの感染対策全般へと拡大しています。

デモ隊の中には、感染状況を管理できなかったとしてトルドー政権の退陣を要求するために集まってきた人たちもいます。主催者はすでにオンラインのクラウドファンディング・プラットフォームGoFundMeを介して数百万ドルを集めることに成功していて、現在、この募金は使い道が決まるまで保留されています。
カナダ国民の考えを代表しているわけではないけれど、自分自身や他者の安全を脅かす人たちも少数ながら存在しており、トルドー首相は「デモが暴力的な方向へと流れる可能性を懸念している」と述べています。
このデモ活動がいつまで続くのかは、現時点ではわかりません。オタワでは警察が政府の新型コロナ感染対策に抗議する市民のデモ活動を強く弾圧しており、その際、警察がいささか暴力的な行為に出るケースも見られますが、主要メディアはこの件に関しては詳しく報じていません。

どんな考えであっても、カナダで平和的に抗議活動を行うことは容認されていますし、国民が集会を開いて異議を述べることも総じて認められています。「言論の自由」と「他者の意見の尊重」はカナダで最重要視されている国民の権利であり、主流の意見を持つ人でもちょっと変わった意見を持つ人でも、カナダは全ての人を歓迎する国である、ということを明言して今回のブログを締めくくろうと思います。


特派員

  • パトリック・ サッコ
  • 職業エリオット・コンサルティング社エンジニア

こんにちは! 私はパトリックと言います。スコットランドのエジンバラ在住で、土木技師をしています。趣味は詩を書くことです。9年ほど前にイタリアからスコットランドへ移住し、この土地に惚れ込んでいます。雨の多い気候を好まない人もいますが、その気候のおかげでここは緑豊かな風景に恵まれています。暇を見つけては、車でエジンバラ郊外へ湖や渓谷を見に出かけています。

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