• 2022.03.30
  • 勢いを増すロシア製品ボイコット
私たちは今、世界的紛争の瀬戸際に立たされており、カナダ政府はウクライナの人々を救うために数百万ドルの人道的支援を行っています。
カナダはNATO(北大西洋条約機構)の原加盟国で、欧米の同盟関係の設立を最初に提唱した国のひとつでもあることから、カナダ政府もNATOによるロシアに対する制裁措置に加わっています。
軍事同盟のように見えるNATOですが、実際は平和と援助の保証を目的としています。
ロシアのプーチン大統領がウクライナへの攻撃を継続しているため、今週からロシア船のカナダへの入港と内陸航路への進入が禁止されます。とはいえ、この禁止令はカナダと西側諸国によるロシアへの長期的な制裁措置の最後の一手にすぎません。
カナダ議会の連邦内閣会議ではウクライナ支援と対ロシア政策の2つの誓約が行われ、この様子はテレビでも中継されました。

ウクライナを支援するために送られる義援金は、緊急医療サービスや避難民援助のほか、攻撃を受けるウクライナ国内で現在も暮らす何百万もの人々にシェルターや水、食べ物などの物資を供給するために使われます。
これらの物資はウクライナの他にも何十万人におよぶウクライナ人の避難先となっている近隣諸国へも届けられる予定です。
テレビでレポーターが伝えたところによると、政府は各種団体や諸外国と協力して援助の分配調整を行っており、また多くの地域の教会やコミュニティセンターでは、カナダ人が寄贈することができる、あらゆる物品の寄付を募っているとのことです。
カナダに暮らす人々は、この事態が今後エスカレートし、世界的な核戦争へとつながる可能性があることを非常に懸念していますが、カナダで暮らす自分たちがどれほど恵まれているかに目を向け、海を越えて援助を送ろうとしています。

こうした支援と同時にロシアへのボイコットも起こっていて、食品や文化、製品、ロシアにちなんだ団体やイベントといったロシアに関連するもの全てがその対象となっています。
ロシア経済を弱体化させることを目的とするこの新しい反ロシア運動は、ウクライナ侵攻の開始後にアメリカで始まりました。
オタワでは、スーパーや地元の商店までウクライナ侵攻に対する抗議活動に貢献しようと(象徴的にではありますが)ボイコットに参加していて、ロシア製品を棚から撤去し始めたり、なかには販売した商品を全額返金して回収したりするケースまで起きています。
ロシアに対する不買運動はどのように行われているのでしょうか? それはロシアの製品をこれ以上買わない、売らないと決めることです。
食品廃棄を避けるべく既存の在庫商品は販売されますが、現状を踏まえて当分の間、ロシア製食品を提供しないことにしたのです。
カナダがロシア連邦から購入している食品は非常に少ないため、影響を受ける製品はほんのわずかですが、これらの中にはウォッカ、キャビア、紅茶や何種類かの魚などが含まれています。
ウクライナ人が経営するレストランやカフェには、ここ数日の間に仕入れ先を変えたところや、メニューや店の名前を変更して祖国の同胞への支援を表明しているところもあります。
カナダ国内でなら安全に抗議活動を行うことができるので、祖国の政府に異議を唱えるロシア人も大勢います。
SNSでも多くのカナダ人があらゆる手段を使って可能な限り救いの手を差し伸べようとしていて、例えば、ウクライナの宿泊施設を予約して送金するといった方法で現地の人々を経済的に支援しています。他にも、カナダで事業を営む地元のウクライナ系企業を支援する人もいます。一方で、カナダで安全に暮らすことができるものの、侵略者と闘い祖国を守るために帰国を決めたウクライナ国籍の人たちもいることを知りました。
悪いことに、「来週にはカナダのスーパーから商品がなくなるから、生活必需品と長期保存が可能な食品をすぐに買いだめしたほうが良い」というフェイクニュースが出回りました。実際は根も葉もない嘘の情報で、現時点ではスーパーが空っぽになる恐れもなければ、食料が手に入らないような事態も起きていません。ですが、このフェイクニュースが大混乱やパニックを引き起こし、買いだめが起きたため、今週になって一部の棚が空っぽになってしまっています。

悲しみと混乱、懸念が大きくなっていく状況下では、慌てふためくのではなく、「今私たちにできることは何か、私たちが対応できることは何か」に目を向けることが重要ですね。

特派員

  • パトリック・ サッコ
  • 職業エリオット・コンサルティング社エンジニア

こんにちは! 私はパトリックと言います。スコットランドのエジンバラ在住で、土木技師をしています。趣味は詩を書くことです。9年ほど前にイタリアからスコットランドへ移住し、この土地に惚れ込んでいます。雨の多い気候を好まない人もいますが、その気候のおかげでここは緑豊かな風景に恵まれています。暇を見つけては、車でエジンバラ郊外へ湖や渓谷を見に出かけています。

パトリック・ サッコの記事一覧を見る

最新記事

リポーター

最新記事

PAGE TOP