• 2022.12.27
  • 豊かな恵みに感謝を捧げる日
たとえアメリカで暮らしていなくても、アメリカの映画やテレビシリーズで感謝祭(サンクスギビング)のシーンをご覧になったことはあるのではないでしょうか?アメリカの家庭にとってこの日がいかに特別な日なのかもご存じかと思います。感謝祭の週末は長く、木曜日から日曜日にかけて学校や会社が休みになり、特にアメリカではクリスマスなどの大きなイベントを上回るほど重要な休暇なのです。
毎年11月の第4木曜日に催される感謝祭には、万難を排して全米各地から親戚や友人たちが集い、感謝祭の伝統料理が並んだテーブルを囲みながらこの1年で得た恵みを神に感謝します。
それにしても、なぜアメリカ人はこんなにもこの祝日にこだわり、国を横断してまで大切な人たちと一緒に感謝祭を祝おうとするのでしょうか?そして、感謝祭の由来とはどのようなものなのでしょうか?
感謝祭の起源は、1621年にピルグリム・ファーザーズが開いた行事にまでさかのぼります。物語はイギリスから始まるのですが、英国国教会の基本原則を疑問視した「ピルグリム・ファーザーズ」と呼ばれるピューリタン(清教徒)の一派がありました。やがて迫害を受けるようになった彼らは、弾圧から逃れるためにかの有名な英国船「メイフラワー号」に乗って新天地を求めて旅立つことを決意し、現在のマサチューセッツ州の海岸に辿り着きました。
この地には、それまでネイティブ・アメリカンだけしか暮らしていませんでした。何よりも荒れた土壌と非常に厳しい冬の寒さが彼らの前に立ちはだかり、彼らの多くは冬を越すことができませんでした。ピルグリム・ファーザーズたちは英国で食料にしていた作物の種を新天地に持ち込んでいたのですが、厳しい気候条件と荒れた土壌には根付かず、食料を得ることができませんでした。その後、先住民の手助けのおかげで、ピルグリム・ファーザーズたちはトウモロコシや豆、大麦、カボチャといった作物を十分に収穫できるようになり、翌年は冬を乗り越えることができたのです。食料を十分得られたので、彼らは健康と食料に恵まれたことを神に感謝するために特別な祈りを捧げることにしました。この祝宴には新天地で生き延びる手助けをしてくれた先住民の人々も招待され、みんなで一緒に野生の七面鳥や焼いた鹿肉、コーンブレッド、ブルーベリー、くるみ、カボチャなどを食べました。これらのメニューはアメリカの感謝祭の伝統的な食べ物として受け継がれています。
愛する人々や親しい友人たちはこの日のために何マイルも移動して来るわけですから、感謝祭の伝統料理は一緒に家庭で祝うのが定番です。レストランで食事をすることはほとんどありません。
隣人や恵まれない人たちに食事を提供したり心を配ったりすることも珍しいことではなく、まさに人とコミュニティーに優しいイベントなのです。
感謝祭の食事の主役といえば、なんといっても七面鳥です。感謝祭の食卓には欠かせないメニューで、15人で食べるなら最低10ポンド(約4.5㎏)の七面鳥が必要です。
各家庭それぞれが独自のレシピと特別な材料を用意して、家族の好みに合わせた唯一無二の味付けで調理しますが、七面鳥の中に各種スパイスや野菜、キノコ、ベリー類、プルーン、ナッツ類、パン粉を詰めて丸焼きにするのが一般的です。
焼きあがったら、七面鳥から出た肉汁に野菜と七面鳥の内臓を鍋で煮こんだスープを混ぜ合わせたグレービーソースを添えます。
七面鳥は切らずに丸ごとテーブルに出し、まず堂々たる姿をお披露目してから切り分けて、サツマイモやクランベリーソース、芽キャベツ、カブ、ビーツや溶かしバターをかけた軸付きトウモロコシなどの副菜を添えていただきます。
バナナブレッドも感謝祭の定番メニューです。バナナと卵、バター、砂糖をボウルの中でよく混ぜてから、オーブンで1時間ほど焼き上げます。
その他の感謝祭の食事に欠かせないデザートといえば、お馴染みのパンプキンパイやアップルパイのほか、タルトにピーカンナッツとメープルシロップをたっぷり乗せた「ピーカンパイ」があります。
私はハウスメイトと一緒にささやかに祝っただけでしたが、オースティンで迎えた人生初めての感謝祭はびっくりするほど美味しい経験となりました!


特派員

  • パトリック・ サッコ
  • 職業エリオット・コンサルティング社エンジニア

こんにちは! 私はパトリックと言います。イタリアからスコットランドへ移住し、2022年4月にアメリカのテキサス州オースティンに引っ越してきました。
仕事は土木技師、趣味は詩を書くことです。時間のあるときはドライブをして新しい場所を発見するのが好きです。
アウトドアが大好きで、キャンプやハイキングにもよく行きます。
この新たな土地でたくさんの友達をつくって、みなさんにもこの街のことを知ってもらえればと思います。

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