アメリカのスーパーにだって高品質の食材や食品はありますが、品質が良くて体にも優しい食品を手に入れるにはお金がかかるというのはまぎれもない真実です。
オーガニック製品や最高品質の製品に対する需要が高まっているため、マクロビオティック専門店や良質なパン、新鮮な肉類、多種多様な野菜を販売する店は簡単に見つけることができますし、健康食品を扱っている店では毎日できたての食事を提供してくれますが、味もまんざらではありません。
けれども、特に今はインフレが加速しているので、体に良い食品の値段も高騰していますし、アメリカでは食文化が育っていないこともあって多くの人が超加工食品(インスタント食品やスナック菓子などの加工程度が高い食品)を頻繁かつ大量に摂取しています。そのため肥満の人が非常に多く、「太っているのが普通」のように感じてしまうのが現状です。
残念ながら、誰もがオーガニックスーパーで買い物できるほど金銭的なゆとりがあるわけではないので、テキサスでは多くの人がアメリカ全土に店舗を構える某大手スーパーチェーンで食材を購入しています。
全米に展開しているこの大型スーパーはオースティンでもあちこちに店舗を見かけます。年中無休で24時間営業しており、しかもほとんどの店舗は、ほぼ1ブロック全部を使うほど広大な敷地を占有しています。
普段私はバス用品などの日用品を買うときや、牛乳やお菓子が急に必要になったときにこのスーパーを利用するのですが、ここで食料品を買うとなると問題が発生します。
なぜかと言うと、この種のスーパーはまさにジャンクフードまみれで、「ジャンクフードの殿堂」と呼びたくなるような場所だからです。
私から見るととても奇妙で目を疑いたくなるような商品もあるので、面白半分でスマホに「ジャンクフード」というタイトルの写真フォルダを作成し、イタリアの友人に毎月1~2枚の写真を送信して「アメリカの味」をレポートしています。
フォルダに入っているジャンクフードのコレクション
さて、こうしたスーパーではどんなものが売られているのでしょう。
なにはともあれ、アメリカ人はピザが大好きです。
冷凍ピザ専用の通路があるほどの人気ぶりなのですが、シンプルなチーズのピザを見つけるのは至難の業。
パッケージ裏側に記載されている原材料欄に、トッピングに使われている食材以外の原材料名が長々と羅列されているのを見たときはショックを受けました。
たいていの冷凍ピザは美味しいとは言えないのですが、ボリュームと食べ応えは十分です。
生地にチーズなどの具材がぎっしり詰まっていて、複数のトッピングを乗せたピザはまさに脂肪とカロリーの塊で、しかも使用されている材料は加工品ばかりです。
フルーツと野菜が並んだ小さなコーナーと精肉コーナーを除くと、このスーパーで売られているのはすべて厳重にパックされた商品や缶詰ばかり。
いろんな蛍光色のカップケーキの隣には、ありえないほど賞味期限が長いケーキが並んでいます。
子ども用のシリアルも蛍光色に着色されているし、青いマヨネーズや濃い紫色のジュース、さらにはグリッター入りのクッキーまで見かけたことがあります。
パンケーキシロップの中には異性化糖(HFCS)のみで作られた商品もあり、主に子ども向けとして販売されています。
パスタもよく目にする商品です。それ自体はイタリア産であれアメリカ産であれ小麦から作られているので問題ないのですが、良質のパスタソースを見つけるとなると一筋縄ではいきません。
驚くことに、多くのパスタソースで原材料一覧の先頭に砂糖が表記されているのです!
悪い点ばかりではなく、良い点も挙げておきましょう。この大手チェーンは食品ロス削減に対する取り組みを開始し、今ではこの問題の改善を牽引しています。「I’m perfect(私は完璧)」と名付けられた新しい商品ラインでは、小さなへこみがあったり、形状が規格から外れたりした野菜や果物が販売されています。完璧な見た目の商品しか並んでいなかったアメリカのスーパーの棚に、こうした商品も置かれるようになったのです。
この取り組みは、世界各地で行われている食品ロス対策を受けて開始したゼロ・ウェイスト・プログラムの一環として導入されました。