• 2023.03.02
  • アメリカの雇用事情
アメリカで働くというのは、ある意味大変です。労働時間は長く、大きな成果を求められるし、競争も熾烈です。ですが、履歴書を送るとほぼすべての企業が返信してくれます。求人を募集していない企業に一方的に履歴書を送った場合であっても、「履歴書を送っていただきありがとうございます。残念ながら、現在募集中のポジションはありません」とメールで伝えてくれるのです。
それから、誰も履歴書に生年月日を記載しません。とはいえ、雇用主となる企業はSNSで応募者の年齢を簡単に見つけ出すことができますけどね。
私は、面接官もこちらも「対等の立場」にあると感じられるアメリカ流の就職面接が気に入っています。目の前の人物が自分の話に耳を傾けてくれるよう、さらには採用してもらうために、相手に媚びへつらうことはしません。確かにこちらは仕事が欲しいですが、目の前の相手だって働いてくれる人を求めているので、両者の立場は対等なのです。たとえ面接官が会社の重要な経営者だったとしても、まるで地上に降り立った神様のように尊大な態度を取ることはありません。

面接で給与について話すこともタブーではありません。イメージをつかむために面接前に先方が想定しているおおよその金額を聞くこともできます。
企業の多くは求人広告に給与を記載していますが、中には経験に応じて変動する金額を記載している場合もあります。
どちらの場合であれ、先方が採用する気になっていると感じられる場合に限りますが、面接の場で、節度を保ちながらある程度の幅を持たせて給与の交渉をすることが可能ですし、これはごく普通に行われることなのです。

給与のほかに、休暇日数やボーナス、保険、401Kプラン(確定拠出型年金)などの福利厚生も面接中に聞いておくべき見過ごせないポイントです。各社それぞれに福利厚生を用意していますが、その内容は企業によって異なります。
健康保険は、給与から少しの額を差し引いて加入する場合が多いです。医科や歯科で医療サービスを受けられる保険が一般的ですが、まれに眼科が含まれることもあります。

すべての会社に用意されているわけではありませんが、企業年金のひとつである「確定拠出型年金401Kプラン」はとても優れた福利厚生です。毎月の給与から一定の割合を基金に直接拠出する仕組みで、その割合は自分で設定できていつでも変更が可能です。例えば、あなたが給与の3%を拠出する場合、会社が3%分の金額を積み増ししてくれて、5%なら会社も5%分を拠出してくれるという具合です。ただし、拠出を6%に設定した場合でも、会社からの拠出は5%までとなります。毎月の給与の受取額が減るという理由で利用しない人もいますが、声を大にしてお勧めしたい制度です。たとえ少額でも長い目で見ると毎月の積み立ては役に立ちますし、ましてや会社からのマッチング拠出があるならば利用しない手はありません。

会社で長い時間仕事をするとしても、職場の仲間とは温かく親しい関係を築くことができますから、まるで家族といるような感覚を味わうことができます。上司や管理職、CEOの立場にある人たちもみんな気さくで、対等に接してくれますし、コーヒーブレークの際におしゃべりを楽しむことだってあります。

勤務時間は通常9時から5時までですが、職場や職責によって変わります。残業時間には一般的に時給の1.5倍の賃金が支払われます。

アメリカにおける雇用のほとんどは、期間の定めがなくいつでも雇用契約を解約できる随意雇用です。慣例的には少なくとも2週間前には解雇通知をすることになっていますが、企業は一夜のうちに理由もなく労働者を解雇することができるというわけです。深刻な理由がある場合には、その場で突然に解雇を言い渡されることも。そんな時は、映画でお馴染みの段ボール箱に荷物をまとめて、終業時間を迎える前に職場を去ることになります。ですが、逆に従業員の側が一夜のうちに、何の通知もせずに会社を辞めることもできるのです。この場合でも2週間前までに通告するのが礼儀ですけどね。

特派員

  • パトリック・ サッコ
  • 職業エリオット・コンサルティング社エンジニア

こんにちは! 私はパトリックと言います。イタリアからスコットランドへ移住し、2022年4月にアメリカのテキサス州オースティンに引っ越してきました。
仕事は土木技師、趣味は詩を書くことです。時間のあるときはドライブをして新しい場所を発見するのが好きです。
アウトドアが大好きで、キャンプやハイキングにもよく行きます。
この新たな土地でたくさんの友達をつくって、みなさんにもこの街のことを知ってもらえればと思います。

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