ハロウィンは世界で最も長い歴史がある祝日のひとつで、その起源は紀元前にまで遡ります。ここ50年の間にハロウィンの風習は世界中に広まり、現在では各地で様々な形で祝われています。
世界的に広まった理由はいたってシンプルで、ハロウィンは子どもも大人も楽しめて健全で害がない、なんとも愉快な祝祭だからでしょう。
ハロウィンはアメリカで始まったと考えている人も多いのですが、実際には古代ケルト民族が行っていた「サウィン祭」が起源です。
「夏の終わり」を意味するサウィン(Samhain)は収穫シーズンの終わりを告げるお祭りで、この日、生者と死者の世界を分断する境界があいまいになるとされています。
人々は死者の霊から身を守るために仮装をしてかがり火を焚き、ケルトの新年を祝いました。
時が経つにつれ、ハロウィンは現在のように子どもたちがお菓子をもらいに家々をまわり、ジャック・オー・ランタンを飾り、ユニークな仮装やパレードをして楽しむ祝日になりました。ですが、イングランドやアイルランドとアメリカでは今でも祝い方がちょっと違います。
例えば、アメリカで着るコスチュームは怖いものだけではないし、ハロウィンのメインイベントは子どもたちがお菓子をねだって家をまわるトリック・オア・トリートだし、カボチャのランタンはハロウィン当日より前に作ります。
アメリカのハロウィンコスチュームは、お気に入りのスターやキャラクターの仮装、セクシーな衣装や自分で作ったおかしな仮装などなんでもありです。オリジナリティーに溢れたとてつもなく面白い装いをしようと何か月も費やして完璧なコスチュームを準備する人もいるほど。
トリック・オア・トリートでは、大人たちはお菓子を入れた巨大な桶を用意して家で待機し、子どもたちは集団で家々を訪ねまわります。
子どもたちは、ドアの外にある灯りのともったランタンや装飾を目印にして家を訪ねます。ランタンや飾りは「ハロウィンのお菓子を用意して待っていますよ」というサインなのです。
ハロウィンの定番のお菓子といえば「キャンディーコーン(Candy Corn)」。これはとうもろこしの粒の形をした白とオレンジ、黄色のキャンディです。好き嫌いのわかれるお菓子ですが、この時期にアメリカに来た人は、きっといくつかもらえるでしょう。
その他にも、仮装パーティ、お菓子をもらいにドアをノックする子どもたち、そしてランタンや気味の悪いデコレーションで飾られた家はアメリカのハロウィンには欠かない存在です。
なかには家の装飾に凝り過ぎて、裏庭にあまりにもリアルな殺人現場や墓地などを作ったために警察に通報された人もいるほどです。
また、アメリカ人はハロウィンといえばカボチャを思い浮かべます。カボチャをくりぬいて作る伝統的なジャック・オー・ランタン以外にも、カボチャスープにカボチャパイ、カボチャキャンディにカボチャビールまであります。
アメリカには人の家を汚す、というハロウィンの風習があります。
映画でご覧になったことがあるかもしれませんが、人々が集団になり、悪ふざけを企画して、卵やトイレットペーパーを大量に使って誰か(何かよくないことをした人の場合もあれば、そうでない場合もあります)の家を汚しに行くのです。
アメリカの大学生に人気のこの習慣は最近始まったものではなく、19世紀に子どもたちが近所の家にいたずらを仕掛けたことが発端のようです。
アメリカ人のハロウィンの伝統はカボチャだけにとどまりません。全米中の裏庭や道路沿いに巨大なクモや墓地、クモの巣、無数の悪魔やお化け、そして多種多様のモンスターが姿を現します。
派手な装飾が施されるのは店舗のショーウィンドウだけではなく、ビルや銀行、一部のオフィスまでもがハロウィン仕様になります。
ハロウィンの日には仮装して出勤しても咎められることはありませんし、経営陣が仮装を推奨する場合もあります。
さあ、今年のハロウィンの準備を始めようではありませんか!