もしも自分の国が大量消費主義だと思うなら、考え直してみてください。なぜなら、アメリカこそが真の大量消費主義国家だからです。
話を戻しましょう。私はいっぱいになったショッピングカートを押してレジに向かったわけですが、レジでは「Did you find everything okay?」と聞かれるのが常です。レジのスタッフは、この言葉か、テキサスでは一般的な「How you doin'?(調子はいかがですか?)」のどちらかの言葉をかけてくれます。
「Did you find everything okay?」は「お探しのものはすべて見つかりましたか?」という意味で、ありとあらゆる店で決まり文句として使われています。
疑問文のように聞こえるので文末に疑問符「?」を付けましたが、実際には疑問文ではありません。アメリカの人たちは声のトーンを変えずにこの質問を投げかけるし、正直なところ、どんな返事が返ってくるかなんてこれっぽっちも気にしていないのです。
これはいわゆる形式的な質問なのですが、他の国でもこうした言葉がたくさんあるのでしょうか?
レジのスタッフにとってはマニュアル通りの質問なのでしょうが、私には難題のように感じられてきました。というのも、ここテキサスに来て以来、「本当に自分が探しているものをすべて見つけられたのだろうか?」と思い始めたからです。
母国を離れ、その後暮らしたイギリスやカナダを離れ、それと共に素晴らしい友人たちや家族、祖国や「自分の場所」だと思うようになった国と別れてテキサスへとやって来たのですが、この地で人々の温かさ(天候も暖かい!)やわくわくするようなできごと、そして私が求めていたエネルギーに出会うことができました。また、人生は常に自分を変える機会、自身を改革して新たなチャンスをつかむ機会を与えてくれるのだと確信しました。
地理的条件のため、テキサスでは仕事が終わってから友人に会うのが難しいので、正直人恋しくなることもあるし、どこに行くにも車が必要で渋滞に巻き込まれるのも日常茶飯事ですが、これがテキサスなのです。
アメリカで多くの人がそうしているように、私も気分が滅入った時には心を和ませてくれるコンフォートフードの力を借りています。
「9月病(September blues)」という言葉を耳にすることが増えていますが、私はテキサスで唯一気温が下がり始める(とはいえほんの少しだけですが)11月に気分が落ち込みます。
コンフォートフードは、この一時的な気分の落ち込みや憂鬱な考えから抜け出す上で、たとえ少しでも手助けをしてくれるのです。
もちろん、私のベスト・コンフォートフードはイタリア料理なのですが、アメリカ料理の中にも素晴らしく癒やしの効果があるメニューを発見しました。
グリルドチーズ・サンドイッチは、素晴らしいコンフォートフードです。作り方はいたって簡単で、バリエーションは数あれど、どれも美味しいのです。必要な材料は、トーストに使うような白パンや全粒粉のパン数切れと、溶けやすいチーズだけ。薄めにスライスしたチーズを使うのがお奨めで、この料理に一般的に使われるチェダーチーズがあれば最高です。アメリカではフライパンに入れる前にあらかじめパンにバターを塗るのが一般的ですが、バターなしでも問題ありません。パンの両面がこんがりきつね色になるまで焼いて、中のチーズがよく溶けたら完成です。
お気に入りのコンフォートフードふたつ目は、「スロッピー・ジョー(Sloppy Joe)」。
ハンバーガーの一種で、調理時間は少しだけ長くなります。牛ひき肉とタマネギにウースターシャー・ソースとその他調味料を入れて調理し、ハンバーガーバンズに挟んでいただきます。
甘党の人には、フレンチトーストがお奨めです。
よりゆったりと食事を楽しめる週末のブランチや朝食に人気のメニューですが、午後のおやつにもぴったりなので、いつでも楽しめるコンフォートフードです。まず、スライスしたパンを牛乳、シナモン、一つまみの塩を卵に混ぜ合わせた液に浸します。あらかじめフライパンに少量のバターを入れて溶かしておき、そこにパンを加えて焼きます。焼き始めると、すぐにシナモンのたまらない香りがキッチン中に広がります。ジャムをあわせたり、ベリー類や生の果物などを添えたりすると、一層美味しくなりますよ。
コンフォートフードは人それぞれですが、気分が落ち込んだ時には美味しいもので心をほっと和ませてくださいね。