• 2024.01.25
  • アメリカのクリスマスの伝統
アメリカでは、ポップコーンに糸を通してつなげ、クリスマスツリーに飾る人がいるのをご存じですか?
今年のクリスマスに初めて知ったこのポップコーンのオーナメントは、1950年代に広まった風習のようです。
かならずクリスマスの日に食べるジンジャーブレッドハウス(ショウガ入りのクッキーで作る、お菓子の家)作りもまた、アメリカでは人気のクリスマスの伝統です。
仕事の都合でクリスマス休暇が短くなったためにイタリアに帰国しなかったこともあり、今年はアメリカの伝統的なクリスマスを過ごすことにしました。
アメリカのクリスマス休暇にまつわる風習は、文化現象の一部として誕生したものもありますが、その多くはより良い暮らしを求めてやってきた様々な国からの移民によってもたらされたものです。


アメリカの人々は、クリスマスシーズンになると家の外側を電飾やサンタクロースやスノーマン、トナカイのエアーディスプレイを使って飾り付けるのが大好きです。
彼らがクリスマスを祝ううえで大切にしていることのひとつに、友達や知人みんなにクリスマスカードを送ることがあります。広く行われている習慣で、相手が遠くに住んでいるならなおさら重要です。
クリスマスカードのために写真を撮影する家庭も多く、中には前の年よりももっと面白いカードを作ろうと、毎年写真を撮り直す人たちもいます。
クリスマスシーズンになるとアメリカの街はとても華やかになりますが、オースティンも例外ではありません。道路はライトアップされ、あたり一面がクリスマスを祝うツリーやデコレーションで溢れます。ですが、この国では多様な文化や宗教を尊重して「メリークリスマス」という言葉は好ましくないと考えられているので、ほとんどの人が「ハッピー・ホリデー(Happy holidays)」という挨拶を交わします。
テキサスではクリスマスもメキシコの影響を受けていて、ルミナリア(luminaria)またはファロリート(farolito)と呼ばれる、紙袋の中に砂を敷き、その上にろうそくを立てたランタンなど、メキシコ発祥の風習も見られます。クリスマス・イブにはファロリートに灯りをともして通りの両側に並べます。これは、聖母マリアと聖ヨセフが辿った道を表しています。

ドイツ発祥の伝統といわれる、ツリーにキュウリのピクルスのオーナメントを飾るなんとも珍しい風習は、アメリカでも広く行われています。アメリカのクリスマス料理にピクルスが登場することはほとんどないのですが、多くの家庭ではクリスマスツリーにキュウリのピクルス型のオーナメントを隠すようにして飾ります。なぜ隠すのかというと、その家でピクルスを最初に見つけた子どもは、もうひとつプレゼントをもらえるか、クリスマスの朝に最初にプレゼントを開けることができるからです。

ほとんどの家庭でクリスマスの食卓のメインを飾るのは、かの有名な七面鳥の丸焼きです。この料理は、感謝祭だけでなくクリスマスの昼食でも主役を務めます。
七面鳥以外にも、牛肉やガチョウを焼く人もいるし、多くのイタリア系アメリカ人家庭ではラザニアやズィーティ(ziti)という表面に溝のあるショートパスタも登場します。
12月に最もよく作られるデザートといえば、まちがいなくミンスパイでしょう。ショートクラスト・ペイストリーか折りパイの生地の中にフルーツやスパイスを入れて焼き上げた、イギリス発祥のタルトです。
その他のクリスマスを代表するデザートには、ドライフルーツやリンゴ、スパイスを加えて作るプリンの一種、美味しい英国式クリスマスプディングのほか、今ではすっかり名の知れた、主に卵とスパイスで作るエッグノッグなどがあります。このクリスマスを代表するホットドリンクには、アルコール入りとノンアルコールのものがあります。

『ジングル・ベル』や『ホワイト・クリスマス』といったクリスマスソングとは異なり、本来はキリスト教の讃美歌の一種であるクリスマス・キャロルもアメリカで最も愛されているクリスマスの伝統のひとつです。ビクトリア朝風の衣装を着たクリスマス・キャロルの歌い手が玄関の前に現れると、その家の人は感謝の気持ちを込めて温かいエッグノッグやビスケット、または少額のチップを振る舞うことになっています。
それから、アメリカではサンタクロースからのプレゼントは、ツリーの下だけではなく、サンタへの感謝のお菓子を添えて暖炉の上にぶら下げた靴下の中にも届けられます。
クリスマスに靴下を吊り下げる習慣は、プロテスタント諸国とゲルマン・スカンジナビア文化圏の人々から受け継がれた古くからある伝統です。そして、クリスマスの靴下は大人たちが創造性を発揮するアイテムでもあります。というのも、家族ひとりひとり(ペットまで!)に合わせた靴下を作る習慣があるのです。クラシックな紅白の靴下をかける人もいれば、家をクリスマス仕様に飾り付ける際に、家宝となった靴下を吊るす人もいます。過ぎた時間に彩られ、愛情を込めて作られたクリスマスの靴下には、思い出がいっぱい詰まっていますからね。

感謝祭と同様に、アメリカでは都市部を中心に、クリスマスに貧しい人やホームレスを支援するためにボランティアによる炊き出しの慈善事業が開催されます。
利益を社会に還元する手段のひとつとして、救世軍などの多くの慈善団体がデパートやスーパーの前で募金活動を行い、賛同者から小銭の寄付を募ります。
日本ではどのようにクリスマスを過ごしますか?

特派員

  • パトリック・ サッコ
  • 職業エリオット・コンサルティング社エンジニア

こんにちは! 私はパトリックと言います。イタリアからスコットランドへ移住し、2022年4月にアメリカのテキサス州オースティンに引っ越してきました。
仕事は土木技師、趣味は詩を書くことです。時間のあるときはドライブをして新しい場所を発見するのが好きです。
アウトドアが大好きで、キャンプやハイキングにもよく行きます。
この新たな土地でたくさんの友達をつくって、みなさんにもこの街のことを知ってもらえればと思います。

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