• 2016.04.19
  • イタリア、トイレ事情!!
以前、日本人がイタリアに来て受けるカルチャーショックの一つとして、お風呂事情について書いたのですが、それ以外にも文化の違いを感じたのはトイレ事情でした。

まず,日本のどこのトイレに入っても今はウォシュレットが付いてますが、イタリアにはウォシュレットはありません・・・
どんな高級なホテルにいこうとも未だかつてウォシュレットを見た事がありません。
代わりといっては何ですが、トイレの横になぜかもう一つトイレらしきものがあります。
初めて私がイタリアに来てこれを見た時は、これって男性用トイレ?それとも子供の水飲み場??それとも流し???まさかトイレの横に水飲み場があるわけないし、ましてこんな低いところに流しがあるの???洗面所だとしたら低すぎて顔を洗うのに使いづらいし????そうか!オブジェ?でもこんな場所にオブジェがいる?
たとえば、二人同時にトイレに行きたくなったら、横に並んで用を足すとか?
でも同じ形はしてないし、まさかそんな訳がない・・・と本当に疑問に思ったものでした。

287A2203photo by Manami Takahashi
287A2205photo by Manami Takahashi
 
その正体はビデというものでした。通常、日本ではウォシュレットに付いているビデがイタリアでは分かれてトイレの横にあるのです。使い方は、日本のビデと同様です。
イタリアでは、日本のウォシュレットのように水の出る位置が移動したり、温風が出たりする訳ではないので、手で洗います。ビデ専用の液体ソープもどこででも売られています。
ホテルに行けば、体を洗う用以外に、ビデ専用ソープも用意してあります。
それほど,シャワーを浴びる事と同様にビデは使われているという事です。

287A2208photo by Manami Takahashi

もともとビデの歴史は18世紀前半のフランスが発祥で、それが18世紀後半にイタリアに伝わったのですが、現在フランスではほとんどのビデが撤去されてしまったにもかかわらず、イタリアでは1970年代後半には、ビデの設置が法律で義務づけられ、どこに行ってもトイレに行けば隣にビデがあるというのが普通となりました。
おそらく、ウォシュレットに慣れてしまっている日本人は,抵抗を感じると思いますが、使ってみれば、風邪をひいてシャワーを浴びる事が出来ないような時でも、また、寒い冬に湯船がない住宅が多いイタリアでは、足湯が出来たりと、意外に便利なものかもしれません。

それとトイレでもう一つ不思議に感じた事は、イタリアのトイレ、シャワー、洗面所は同じ部屋にある事です。
今でこそ一人暮らしなので,むしろ全部同じところにあって機能的で便利と思うのですが、何人かでシェアして住んでいた頃は不便極まりない事でした。
とりあえず,朝起きてトイレを使おうと思うと,他の人がシャワーをしてる、もしくは洗面所を使っていて入れません。
外から「トイレに行きたい!!」と言って「どうぞ」と言われても、人がシャワーを浴びている横でトイレはできないでしょう。
とにかく、毎朝、トイレ争奪戦で一日が始まるというのが,何とも侘しく、それがきっかけで一人暮らしを決意したものでした。

今でも,友達が家に泊まりに来た時なんかは、シャワー浴びる前に、声かけて友達にトイレ行くなら先済ませて〜と言ってからシャワー浴びたりする度、昔の洗面所争奪戦を懐かしく思い出すのでした。
慣れてしまえば、トイレもシャワーも洗面所も同じところにあるのが当たり前となるのですが、日本に帰ってトイレもお風呂も別々というのは便利だなとも思う反面、イタリア生活が長くなるにつれ、なんで同じところにないのよ!などと感じたりもして、我ながら慣れって凄いなって思うのでした。

まだありました。トイレでびっくりする事が・・・
外でトイレを借りると、便座の座るところにある上の板がない!これは衝撃でした!
レストランに行っても便座の座る板がないところがあります。
そして場所に寄ってはやたらと座る位置が高いのですが、これには一つの訳がありました。
ある程度の大きさのレストランになると、法律で車椅子の方専用のトイレの設置が義務づけられているのです。
場所によっては、障害者専用トイレが一般トイレとは別に設置されていますが、そうでない場合、障害者の方も使えるように広く作ってあり、座る位置も高く設置され便座の板がない訳です。なるほどそういう事かと思うと、他の人はどうやってここでトイレを済ませるのかと想像しながら、中腰で便座に座ることなく使いながらも、バリアフリーなイタリアと思えば、優しい気持ちになれるのでした。

トイレ一つとっても日本とイタリアではこれほどに違うのですから、面白いですね!


特派員

  • 津田 みらい
  • 職業AISソムリエ(イタリア国家資格) ・ワインジャーナリスト

ソムリエ資格を取得後、毎年、200件に及ぶワイナリーを訪問し、ワインセミナーの開催やワインやイタリア料理についての執筆を通して、日本の方々にイタリアの魅力を伝えていく事を目指しています。

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