• 2018.10.01
  • Patata・パタタ、日本語でジャガイモ
南米アンデス山脈で生まれたジャガイモ、16世紀にスペインに渡りヨーロッパ諸国から世界中に普及し、17世紀には日本へも到着しました。各国料理の中で時には主役、多くの場合は名脇役として愛されている野菜ですね。ご当地スペインでも大活躍、マドリード中央卸売市場Mercamadridではジャガイモだけを取り扱う専用棟がある程です。

日本に於けるじゃがいも料理3強は、フライド・ポテト、ポテト・サラダ、肉じゃが、これは牛肉を使って醤油味が一般的ですが、豚肉使用で塩味仕立ての肉じゃがもあり、あえてじゃがブーと呼んだりするとか。

ご当地スペインでのベスト3は、料理の付け合わせに圧倒的強さを誇るPatatas fritas・パタタス・フリータス(フライドポテト)、Ensaladilla rusa・エンサラディージャ・ルサ(ポテト・サラダ)、そして全スペイン国民のソウルフードであるTortilla de patatas・トルティージャ・デ・パタタス(ジャガイモ・オムレツ)でしょう。イベリア半島、津々浦々、人里離れた住人50人の寒村でもそこにバルがあればトルティージャにはありつけます。正式にはTortilla española・トルティージャ・エスパニョーラ、つまり国名をつけてスペイン・オムレツと称します

材料は素食の極み、多分世界中どこでも手に入る、ジャガイモ、卵、油、塩、これだけです。レシピも簡単で、適当に輪切りしたジャガイモに塩をして多めの油で煮るように揚げ、油切りして、溶き卵を混ぜて形を整えれば出来上がり。 作りたては勿論、冷めても美味しいのでパンに挟めば日本でいうところのおむすび弁当みたいな大定番の携行食、Bocadillo de tortilla・ボカディージョ・デ・トルティージャ(オムレツサンド)の出来上がりです。また、バルでのアテ(タパス)としても頻繁に登場します。好みによってはマヨネーズで頂くのも一興。


タパスのトルティージャ こちらは若干の玉ねぎ入り。


トルティージャの全容、使用した卵は8個。

もう一つ不動の人気を誇るのがロシア・サラダ、所謂ポテサラです。スペイン語ではEnsaladilla rusa ・エンサラディージャ・ルサ。起源は19世紀終わりから20世紀の始めにロシアの都モスクワの高級フレンチ・レストラン“エルミタージュ”のオリビエ調理師長が考案したその名もオリビエ・サラダまたはロシア・サラダ、または首都サラダ、だとか。

終焉近い帝政ロシア、昔日の栄華が反映されたのかその材料たるや豪華絢爛と言うか支離滅裂、手当たり次第に雷鳥、山鶉(やまうずら)、鴨、熊、鹿、牛タン、スモーク蝶鮫、ザリガニ、アスピック(煮こごり)、キャビア、ケッパー、ジャガイモ、ゆで卵、きゅうりのピクルス、西洋松露(トリュフ) ウスター・ソース、マスタード、マヨネーズとまるでシェフご乱心状態ですが、賞味期限切れ直前の食材をすべて使い切るという魂胆か、それとも時代に先駆けて食品ロス問題意識が高かったのかもしれません。

このごちゃまぜ料理、お隣中国の文化大革命の最中、自らの命を絶った作家老舎が語ったといわれる(*)闇鍋もかくやと思わせる混沌ぶりですね。
(*)開高健作『玉、砕ける』より

ところがスペイン版ロシア・サラダは本家ロシアとは似ても似つかないその簡素さが“売り”で、これまた全国に隈なく行きわたった国民的ジャガイモ・レシピです。ジャガイモ、ニンジン、玉ねぎ、赤ピーマン、オリーブ、ツナ缶、をマヨネーズであえたお手軽料理。名前だけが外来種のロシア・サラダのできあがり。


バルで御提供されるロシア・サラダ


こちらも立派なタパスになります。

この料理に多量に使用されるマヨネーズ、元をただせば地中海に浮かぶスペインのバレアレス諸島州メノルカ島の港町Mahón・マオンで作られていたソースなのでMahonnaiseと言う名前で呼ばれ現在ではMayonnaise スペイン語では Mayonesaとなりました。となるとスペイン起源のマヨネーズを使ったロシア・サラダはスペインにとって外来種というより海外から戻ってきた帰国子女かな?


近所にある小型スーパー店のマヨネーズ棚。

日本のジャガイモはほぼ80%が北海道で生産されているそうです。今回の地震で甚大な被害を被った北海道の皆さま、心より哀悼の意とお見舞い申し上げます、そして日本一のジャガイモ復活お祈りいたします。

特派員

  • 山田 進
  • 年齢寅( とら )
  • 性別男性
  • 職業スペイン語・日本語通訳

スペイン政府より滞在許可と労働許可を頂き、納税・社会保険料納付をはじめて早37年。そろそろシルバー人材センターへの登録も視野に入った今日この頃、長い間お世話になったこの国のことを皆様にご紹介できることを楽しみにしています。

山田 進の記事一覧を見る

What's New

REPORTER

What's New

PAGE TOP