うがい薬と新型コロナウイルス|山田 進|ナレッジワールドネットワーク|アクティビティ|ナレッジキャピタル

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  • 2020.09.14
  • うがい薬と新型コロナウイルス
 6月30日マドリード・コンプルテンセ大学(UCM)の報道発表です。
https://www.ucm.es/una-publicacion-de-la-ucm-confirma-que-los-enjuagues-bucales-con-antisepticos-podrian-desempenar-un-papel-preventivo-en-la-transmision-de-la-covid-19

このような見出しで始まっています
『Una publicación de la UCM confirma que los enjuagues bucales con antisépticos podrían desempeñar un papel preventivo en la transmisión de la COVID-19』
『UCMの発表で、殺菌薬を使用したうがいはCOVID-19 の伝染を予防する役割を果たす可能性があると確認された。』

ここで言う“enjuague”ですが、スペイン語にはもう一つ”gárgara”という言葉があり、両方とも同じ“うがい”と訳せます。その違いは、
Enjuagar: “適切な液体を使用して口と歯を洗う 。名詞形は enjuague ” 英語ではrinse かな。
Gárgara: “口を上に向け、のどに液体をためて飲み込まずに空気を吐き出す行為で水が沸騰する様な音がでる。”こちらは英語でgargle。 
日本語にすれば前者は”ブクブクうがい”とか“クチュクチュうがい”つまりリンス・漱ぎ、で後者は“ガラガラうがい”でしょうね。こちらはスペイン語、英語、日本語ともに“gárgara”,”gargle”,”ガラガラ”と音からきた言葉のようです。口中の洗浄・殺菌はクチュクチュうがい(洗口)、喉の洗浄・殺菌はガラガラうがい(含嗽)と区別できるかもしれません。

と言葉の詮索はさておき、この研究は同学歯学部のETEP (Etiología y Tratamiento de las Enfermedades Periodontales y Periimplantarias,歯周病及びインプラント周囲炎の病因と治療)グループがアメリカ国立医学図書館の運営する医学データベースPubMed https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/の中からSARS-CoV2(新型コロナウイルス). COVID-19(新型コロナウイルス感染症)、口腔、抗菌剤のキーワードで2020年4月30日までに登録された文献を検索し分析を行った結果で、ドイツの学術誌Clinical Oral Investigations に掲載されたものです。 タイトルは『Is the oral cavity relevant in SARS-CoV-2 pandemic? 口腔は新型コロナウイルス パンデミックに関係があるか?』
英語の原文はこちらです。https://link.springer.com/content/pdf/10.1007%2Fs00784-020-03413-2.pdf

 結論として、『消毒目的のうがい薬、例えば塩化セチルピリジニウム(CPC)やポビドンヨード等を含むものは感染者の口腔ウイルス負荷を軽減し、日常生活での唾液飛沫や歯科治療中に発生するエアロゾル中のウイルスを減少させることで感染のリスクを減少させCOVID-19の重症度を下げることが出来る可能性があり、適切に設計された臨床および前臨床研究はこれらの仮説を証明する方向に向かうであろう』とのことです。

 こちらは論文の著作者達が5月28日にライブ配信した動画です。わかりやすい英語で語られています。
https://www.youtube.com/watch?v=YU8xeQlqixQ

 主な感染経路が飛沫や接触となれば、患者の口の中を外科的治療する歯科医療関係者の感染リスクも高いので、その軽減の意味で患者が治療前にうがい薬を使用することで新型コロナウイルスにのみならず他の感染症の予防にも役立つのかもしれません。コロナ禍で厳しい環境の中、同業者の方々に少しでも安全に診察や治療をしていただき、また受診者の安心・安全をも図りたいとの思いが込められた研究でしょうか。
歯科医療に関係のない人にとってみてもコロナ対策の一つとして役に立ちそうな情報だと思われます。

 ただし殺菌成分を含んだうがい薬を日常的に長期間使用すると口の中があまりにも清潔に保たれすぎて普段から存在する菌が異質の菌と入れ替わり、かえって危険だとも言われています。朝晩の歯磨きの際に歯周病予防効果のある塩化セチルピリジニウム(CPC)を含む歯磨き粉をつかい、終わったら殺菌作用のある塩素が入った水道水(マドリード市水道局が使用している消毒剤はクロラミン)でクチュクチュうがいして口を漱いでいる程度でしたら菌交代症問題は大丈夫かな?

特派員

  • 山田 進
  • 年齢寅( とら )
  • 性別男性
  • 職業スペイン語・日本語通訳

スペイン政府より滞在許可と労働許可を頂き、納税・社会保険料納付をはじめて早37年。そろそろシルバー人材センターへの登録も視野に入った今日この頃、長い間お世話になったこの国のことを皆様にご紹介できることを楽しみにしています。

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