• 2016.08.23
  • ミラノ発祥のアペリティフの最近
ミラノのアペリティーボ(アペリティフ)は、旅行ガイドブックでも紹介されているように、飲み物一杯をオーダーすると、お酒のおつまみをセルフサービスで食べ放題に食べられるサービスのことです。これが実に便利な習慣なのです。

退社後から夕食までの時間帯のこのサービスは、ハッピーアワーと呼ばれていて、ミラネーゼ達は仕事帰りに同僚と一杯のためや、コンサートや映画に行く前の軽食、帰宅が遅くなるのは避けたいが友人との再会を先延ばしにしないためや、夕食に招待するようなフォーマルな雰囲気を避けたい時(最近は食物アレルギー持ちの人、菜食主義者やヴィーガンが増えたので、これらの食事制限や条件をクリアするようなレストラン探しが困難という事情も出てきました)、レストランの予約時間に合わせる時間調整のために一杯など、このアペリティーボはあらゆるシチュエーションで大活躍します。

ハッピーアワーのお酒のおつまみと言えども、豊富な種類のお料理や出来立ての熱々のお料理を随時出してくるようなお店も多々あり、まるでレストランでたっぷりとした夕食を頂いたかのような満腹感と満足感を味わえたりするわけです。
特に気候の良い時期においてのミラノのナヴィリオ地区では、運河沿いにある全てのお店はハッピーアワーを売り物にしている、と言っても過言ではないでしょう。夕暮れ時に運河沿いの出店などを見ながら散歩しハッピーアワーのお店に入って、道路にはみ出して置かれた椅子やソファに座りながら道路の真ん中でお酒と軽食を楽しむことにちょっと不思議な感じを覚えつつも、運河を通り抜ける心地よい風にあたりながらお酒を楽しむ事は誰にとっても映画のワンシーンのようなひと時になります。

最近では、二倍の量が入る大きなグラスで出すハッピーアワーをするお店があります。通常のグラスのカクテルをあっという間に飲み干してしまって物足りなく思う人のために出来たのか、バーテンダーの人数と仕事量を減らすためなのか、、、それはともかくとして、カクテルを味わう適温がそれぞれのカクテルにあるのですから、大きなグラスのジャンボカクテルは見応えがありますが、時間が経ち氷が解けて薄くなったジャンボカクテルは、本来の味わうべきカクテルのテイストからは、ほど遠い物になっていることでしょう。やはりスタンダードの大きさのグラスのカクテルには味わうために隠されたタイムリミットが存在すること、それを知っていてそれを守って美味しいカクテルを作ってくれるバーテンダーにエールを送りながら、読者の皆さんにグラスを傾けて締めくくりたいと思います。乾杯!

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特派員

  • 三上 由里子
  • 職業音楽家

チェリスト。ミラノを本拠地に、ソロコンサートアンサンブルの編成で演奏活動の傍ら、演劇、画像、舞踊やライブ演奏を組み合わせたマルチスタイルの舞台プロデュース。

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