• 2017.10.25
  • 3T
ミラノから車を飛ばして1時間で着く町、クレモナ。音楽家の私にとっては、非常に縁の深い町の一つです。人口6万人の小さな町にも関わらず、世界中の演奏家、世界中のバイオリンメーカーの関心が集まる場所でもあります。音楽家でない人も、ストラディバリの名前を知っている人は多いと思います。今日値段がつけられないくらいの評価を得るような高価な楽器を作ったストラディバリはクレモナに住んで数々の名器を作製しました。


クレモナは歴史的にも非常に興味深い町であり、今でもイタリアの古き良き時代の面影を残しています。

ブティック、子供服の店、おもちゃ屋さん、旅行会社など店のショウウィンドーには、楽器も一緒に飾られています。

ストラディバリが楽器を吟味している姿の銅像のベンチも見かけられます。

今回私がクレモナを訪れた時期には、 「誰か弾いてよ」という看板がついたピアノが街角のあちらこちらに設置してありました。大抵の人は、「エリーゼのために」を弾いていたので、イタリアの学校では「エリーゼのために」を教えるのかなぁ、、、?

そして町のあちらこちらには、楽器職人の店案内の道しるべも。


そして1年に一度、秋に入るこの時期に、大イベントがクレモナで行われます。
楽器のディーラー、楽器メーカー、楽譜屋、楽器ケースメーカー、演奏家などがクレモナの楽器フェアに世界中から集まります。


皆さん、試奏に熱心です。会場で知り合いと目があっても、挨拶どころではないくらい集中して試奏をして音色を吟味します。


楽器を作るための木も売られています。良い木を見分けるには、ドアをノックするように手の甲でコンコンと叩いて音を吟味します。


こちらでは、楽器の弓になる材料の木が売られています。


楽器に関する物が何でも売られています。


馴染みある風景だな、と思ったら、神社に飾る絵馬のように楽器につける駒が展示されていました。


最近は楽譜のネット販売が主流なのとタブレットで楽譜を読むようになってきて、楽譜屋さんは不振です。でも、クラシック演奏家は紙に印刷された昔ながらの楽譜に執着しています。


最近の楽器ケースは、色合いやデザインが豊富で、見ていて楽しいです。


GPSを内蔵できるような楽器ケースも開発されて、宣伝をしていました。これを見て、日本のGPS機能付きのランドセルの誕生を思い出しました。


ところで、このフェア会場には不当な売買や不正を防ぐために個人の楽器を持って入ることが出来ないので、その表示が会場前に。演奏家は自分の楽器と弾き比べたり、弓購入にあたっては自分の楽器との相性の見極めが大事なので、これはかなりショックな表示なのです。


ところで、何を隠そう、私は食いしん坊なので、楽器よりも食べ物に興味があって、楽器吟味より街中に走ってクレモナ名物菓子トローネ探し。ほら、これなんて、美味しそう!


クレモナには名物の「T」が三つあるんだ、とイタリア人に教えてもらいました。
お菓子トローネTorroneの「T」、クレモナの塔トラッツォTorrazzoの「T」、それからクレモナの女性の豊満な胸テットーネTettoneの「T」、三つめの名物の「T」は、本当かどうかはここではノーコメント!

楽器を弾かない人も、クレモナ観光を楽しめそうでしょう?!

特派員

  • 三上 由里子
  • 年齢戌(いぬ)
  • 性別女性
  • 職業音楽家

チェリスト。ミラノを本拠地に、ソロコンサートアンサンブルの編成で演奏活動の傍ら、演劇、画像、舞踊やライブ演奏を組み合わせたマルチスタイルの舞台プロデュース。

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