• 2018.08.20
  • ピノッキオ
世代を超えて愛されているピノッキオ。ピノッキオの冒険を知らない人は居ない、と言っても過言では無いくらい、代表的文学の一つです。



読者の皆さんは、おそらく生まれも育ちも優等生の方達ばかりかもしれませんが、私の幼少はピノッキオに通ずるものがあるので親近感が湧き共感を得ます、と悟ったような口調で言っていられるのは読みだして最初のうちだけ。ピノッキオは勉強が大嫌いで勉強をせずに遊びたくて仕方がなくて、誘惑に駆られてつい悪いことをしてしまったり、嘘をついたりと毎回反省や失敗の繰り返しで、物語を読み進めていると、ピノッキオはおとぎ話のはずなのに私の幼少時代がモデルとなっているのかしら?と思うようになり、だんだんといたたまれない気持ちになります。幼少時代のみならず、もしこのお話の中のように「遊んで暮らせる国」があったら、私は今でもすぐに出発したいです。ですから、私はロバに変えられて売り飛ばされてしまうのは間違いなくて、ロバに変えられていないにも関わらず、ロバになっている自分がリアルに想像できてしまいます。しかも私は嘘つきなのでピノッキオが嘘をついた時のように鼻も伸びたに違いありません。

このピノッキオの物語が誕生したのはイタリアで、コッローディ作のピノッキオの物語を元にディズニー映画のピノッキオが作られ、世界に知れ渡るようになりました。が、原作のピノッキオは、かなり辛辣な成り行きが次から次へと繰り広げられて、児童文学にしては社会風刺の強い辛口のカラーで仕上がっています。実際には、この物語の制作の発端はこども新聞への連載が始まりだったとかで、児童用の教訓的文学だったのですがかなり際どい残酷的要素が多く、それこそピノッキオを死なせてしまった話だったとかで、ドラマチックな展開には慣れている(?)イタリア人でも受け入れられなくて、作者に抗議が殺到したとか。

一方、日本にもピノッキオの話は上陸して愛読されていたのですが、物語の中に「めくら」とか「びっこ」などの表現もあり、ある時日本では差別用語を含んだ物語だと見なされ問題にもなったとか。

ディズニー映画の方のピノッキオは、痛い所を突かれる場面はあるもののマイルドに仕上げています。イタリアでは、ロベルト ベニーニ(Roberto Begnini)が監督、脚本、主演を務めたピノッキオの映画が15年前ほどに上演されました。ベニーニはあの名作「ライフ イズ ビューティフル」の監督、脚本、主演でアカデミー主演男優賞を獲得しましたが、彼の映画「ピノッキオ」に関してのコメントは、そう簡単には「ライフ イズ ビューティフル」を上回るような作品は生み出せないよね、が一般的イタリア人の感想、、、


時を超えて、世代を超えて、国境を超えて読み継がれるピノッキオの冒険。独特で特徴的な描写がピノッキオの本にはいくつも含まれていて「冗談を言っているとは言え、そんなウソめいたことを言ってると、ピノッキオみたいに鼻が伸びるぞ」とか「小銭を埋めて植物みたいにお金が育って生えてきたらいいのにね、ほら、ピノッキオの物語の中にあるじゃない?」などと、イタリア人同士の日常的会話の中でもしばしば引用され、共感が沸くのは、実は私だけではなくて皆も親近感のわく話だと思っているんだ、うんうんと私は深く相槌を打って「ピノッキオの一人はここにいるよ」と内心思っているのです。

特派員

  • 三上 由里子
  • 年齢戌(いぬ)
  • 性別女性
  • 職業音楽家

チェリスト。ミラノを本拠地に、ソロコンサートアンサンブルの編成で演奏活動の傍ら、演劇、画像、舞踊やライブ演奏を組み合わせたマルチスタイルの舞台プロデュース。

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