• 2018.08.29
  • ひた隠し?
今年もやってきたイタリアの夏休み。イタリアの子供達は6月初旬には3ヶ月間の長い長〜い夏休みに入ります。

日本の子供達は1ヶ月ちょっとの夏休みなのよ、と言うとイタリア人の子供達はイタリアに生まれ育って良かったー、という表情をしてみせてくれます。けれどその反面、イタリアの大人に夏休みが来るのはもっと遅くて、しかも子供のそれとは比較にならないくらい短いのが大抵で、普段通りの通勤と日常生活を営みながら、夏休みに入ってしまった子供達を夏休みらしく過ごさせる工夫に大人達は苦戦します。その傍ら、9月に入ると学校の新学期が始まるので、大人達はその準備にも追われる夏休みとなります。

イタリアでは教科書を使い回しをすると言う素晴らしい習慣があって、綺麗な状態の使用済み教科書は本屋さんが買い取ってくれ、一方で節約倹約をしている家族がそれらの教科書を新学年を迎える子供のために買いに来ます。私は教科書に書き込んだり、赤線を引いたりした覚えがあるので、私が使った教科書はリユースは出来ないとなるわけダァ、、、と思いながら、教科書の売買で混み合う本屋さんで、一人でえらく感心するのです。

さて、そんな本屋さんで、ある本が私の関心を引きました。ミラノの歴史についてイラストをふんだんに使って説明した子供用の本です。最初の1ページで、あっと言う間にミラノの歴史の世界に入り込んでしまいました。

ふむふむ、4000年前のミラノは、泥沼の湿地地帯だったとか。

実際、灌漑のその特徴を生かしたことが伺えるのが、このあたりでは稲作栽培が盛んなことや、その後長い時を経て、ミラノの街中に運河が発達した時代があったことももしかするとこの地形地質が少なからず影響したのかもしれません。
などなど考えながら先を読むと、動物を形取った絵が。

イノシシのように見えるこの絵が、「ミラノの源」と書いてあるではありませんか。ミラノの街のシンボルマークは「蛇」であるはずなのに、子供用のこの本では、雌豚(イノシシ)であると書いてあるので、寝耳に水。

早速ウィキペディアで調べますと、雌豚(イノシシ)がミラノのシンボルと書いてあって、その彫刻がなんと今でも見られると。20年も在住している町で今になってこんなことを知るなんて、と自分の無知さに呆れたのですが、同世代のミラネーゼに即尋ねた所、この伝説的なイノシシのシンボルについてはミラネーゼでも知らないことがわかり、さらに興味津々。

剽軽なイノシシより、蛇のシンボルマークの方が実はミラネーゼは格好いいと思っていて事実を認めたく無いから蛇マークを強調したのかなぁ、、、そうそう、ローマでは双子のロムルスとレムスを育てた逞しいシングルマザーの雌狼が町のシンボルマークになっているし、加えてローマとミラノは犬猿の仲で何かと張り合っているから、ローマっ子にバカにされないためにも毛むくじゃらのメスブタちゃんはミラネーゼがひた隠しにした事実なのかな、なんて想像を膨らませ、 このイノシシを見に行くことにしました。

ドゥオモのすぐそばにあるPiazza dei mercantiという名前の、当時、商人や職人が集まって商品の交換した広場で、その頃のような市場はもう無いにしろそれでも何となく誘われる風情のあるこの場所。


そこに、ミラノの隠れシンボルが何世紀にも渡って密かに存在。


参考文献:
Wikipedia
La storia di Milano illustrata e raccontata

特派員

  • 三上 由里子
  • 職業音楽家

チェリスト。ミラノを本拠地に、ソロコンサートアンサンブルの編成で演奏活動の傍ら、演劇、画像、舞踊やライブ演奏を組み合わせたマルチスタイルの舞台プロデュース。

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