• 2018.10.25
  • 本当は?
イタリアに来て間もない頃、シチリアでサボテンの実を初めて味見しました。サボテンの実を食べたことが無いと言う日本人の私に、食べさせてあげようと言うよりかは何が起きるか見てみようと実験をするかのように見つめるシチリア人に囲まれて、初めて口にしたこのサボテンの実。想像した味では無かったと言えば良かったのか、それとも率直に自分の好みの味では無かった、と言えば良かったのか、、、「美味しいね」とお世辞を言ったものの、「ワォ!超美味しい!もう一つちょーだい!」と言うセリフを心底で待っているシチリア人達の熱気を帯びた視線が、ちょっと削がれた気配に変わったことも今だに覚えています。それ以来サボテンの実を見かけても見て見ぬ振りをする私にシチリア人達は、サボテンの実を勧めなかったのでした。


サボテンの実は、イタリアでは「インドのイチジク」と呼ばれています。その名前の由来は、イタリアのジェノヴァ出身の探検家、コロンブスがアメリカ大陸に上陸した時にインドに上陸したと思ったことが絡んでいるらしいのですが、イタリア語が今だに堪能では無い私にわかりやすく信ぴょう性のある説明をしている記事にまだ出会っていないので、おおよその所の由来、と言っておきましょうか。

と言うのは、私はいつの間にか読書をするのが苦手になってしまっていて、書物を漁るよりも、他愛ないおしゃべりをしているうちに、語り上手なイタリア人の説明の方に惹かれるので、サボテンの実についても、とある日曜日の昼食の席で盛り上がったことから、記事にしようと思ったのでした。

その語りとは、サボテンを自宅の庭で栽培している内に、曇り空が続くミラノの天候の悪条件にも関わらす、毎年サボテンの実が豊富に採れるようになったので、食べきれず捨てるのは勿体無いと思い、ご近所さんにお裾分けをすることにしたとか。ところが、今だにお裾分けをした近所さんから恨まれているとか。
ちなみに、ミラノのスーパーでもサボテンの実がしばしば売られています。

さて、話に戻りますが、サボテンの実は日中には動かしてはいけない果物だとか。
無知な私を、ワインを飲んで上機嫌になったイタリア人がきっとからかっているに違いないと思いたいので、後日、サボテンの実を買って試そうと思うのですが、気温が上がってからサボテンの実を動かすと、針の詰まった黒い穴から目に見えるのと見えないような針が直径1メートルの範囲で飛び出すので、身体中に針が突き刺さる、と言うのです。サボテンの実は、気温の低い早朝のみにしか触っていけない、と言うのですが、私にサボテンの実を食べさせたシチリア人達はあの時、真夏の日中にサボテンの実を割って私に食べさせた記憶があるのですが、、、

私がワインを飲みすぎたのか、ワインを飲みすぎたイタリア人が饒舌なのか、、、、、
お裾分けをもらったご近所さんの夫婦が「僕の奥さんには今だにあの時の針が刺さっている」と言うのです、、、

特派員

  • 三上 由里子
  • 職業音楽家

チェリスト。ミラノを本拠地に、ソロコンサートアンサンブルの編成で演奏活動の傍ら、演劇、画像、舞踊やライブ演奏を組み合わせたマルチスタイルの舞台プロデュース。

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