• 2019.05.17
  • こんな所に高齢化
テレビの見過ぎは良くないと言う考えに基づいて、幼少の頃、私の家庭においてテレビ鑑賞はかなり制限されていました。その反動で、両親が不在で一人でお留守番の際には、どんなに長時間の留守であろうと内緒でテレビを見続けていたものでした。両親の帰宅を察知して慌ててテレビを消して素知らぬ顔をして出迎えたものの、テレビもテレビ前の座っていた場所もよく温まってしまっていて、よくよく考えれば毎回バレていただろうに、気がつかない振りを続けてくれた両親の寛容さと自分の知能の低さに後々苦笑したものです。


NHKの「おかあさんといっしょ」と言う番組には、その当時の私と同じくらいの子供達が登場していて「わたしもあの子達みたいにテレビに出たい」と憧れて言うと、両親から「番組出演するには、頭がすごく良くないとねぇ、、、」のような返事をもらって、「そっかぁ、、、」と子供ながらにも妙に納得して素直に諦めたのでした。

こんな背景があったせいなのか、日本に住んでいた頃はテレビ出演の仕事とは無縁で純粋な視聴者としてテレビと接して来たのですが、イタリアに来てからはどういう訳なのか何かと縁があり、テレビ業界の現場に足を踏み入れている次第です。

いくつかの番組に参加しての感想の一言は、比較的シンプルな番組構成でも、その番組に携わる作業員のなんと多いこと。

イタリアには政治的討論のテレビ番組が多いのですが、日中はどうやら恋愛とか家族問題の相談所のような番組も数多くある様子、何れにせよ、どんな種類の番組であろうともヤラセも手伝って共通しているのが激しい言い争い。時々反論者に掴みかかるシーンまであって、見ている方はハラハラしつつも、不自然な言い争いに冷めた気持ちも。

近年気になる傾向があって、それは司会者の年齢層のなんとも高いこと。


お料理番組ではどう見てもおじいちゃんとおばあちゃんと呼べる人物たちが入れ歯の入った口を動かし、調理しながらレシピを説明をする姿に私は苦笑し、ポップス音楽やダンスのエンターテイメント番組でさえ司会者はベテランのいい年をした人が殆どで、これが歓迎すべき現象なのかは計りかねるのですが、おばさん世代の私がテレビ業界で仕事をできるのは言ってみれば、番組の高齢化のおかげ。一方、若者のテレビ離れが顕著で、それはそれでテレビ生命の終わりを告げているようにも思え、時代の移り変わりを感じるこの頃です。


実際に青少年たちに聞いて見たところ、「テレビ?見るとしたら、ネットフリックスとかプライムビデオとかの配信サービスのもの。テレビ番組を選んでおいてその放映時間に予定を合わせて見るってことはしないよ」と言う返事。

イタリアのテレビ番組は、高齢化が急ピッチで進んでいるのです。

特派員

  • 三上 由里子
  • 職業音楽家

チェリスト。ミラノを本拠地に、ソロコンサートアンサンブルの編成で演奏活動の傍ら、演劇、画像、舞踊やライブ演奏を組み合わせたマルチスタイルの舞台プロデュース。

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