• 2019.11.12
  • ニホンゴ
海外に定着した日本語の数は今では一体幾つになったのでしょう?

私がイタリアに住み始めた当初、「アリガトウ」以外にも日本語を知っているんだ、と得意げにショーグン、サムライ、ニンジャ、ハラキリ、セップクなどの日本の現代の日常生活には縁遠くなった単語をあげてくるイタリア人に苦笑したものです。


加えて「イッピキオーカミ」とイタリア人に不思議なアクセントで言われた日には、思ってもみなかった言葉だったので「一匹狼」だと認識するに少々苦労しました。どこで知った日本語なのかが推測できて、私一人だけでほくそ笑んでいたものです。

ミラノにカラオケが入ってきたのは90年代。その後日本では一時期下火になった反面、ミラノではブームに火がついた様子で、語源を知っているのか知らないのかを確かめる機会も無く「カラオケ」とイタリア人に言われてミラノのカラオケバーに付いて行ったものでした。


ゲイシャ、キモノなどの言葉は、文学愛好家のイタリア人たちから聞いた日本語。反してカミカゼという単語は、9.11米同時多発テロの時期にアルカイダのテロリストたちによる数々のテロ事件の報道で使われていたこの日本語を、私はなんとも言えない微妙な気持ちで聞いたものでした。


ツナミ、アニメ、マンガなどの単語がイタリアの若い世代で普通に使われるようになり、ここ10年間のイタリアは日本食ブームで、イタリアには無かった食材、調理法などが入ってきた他に、マッチャ、スシ、サシミ、テンプラ、ダシは勿論のこと、ウマミという単語が歌われる時代となりました。


日本に行ったことが無い西洋人の中には、日本に恋して、日本を愛して止まない人たちがなんと多いこと。私の周りにいるイタリア人にも大勢そんな人たちがいます。更には、よくよく注意してみるとミラノではいつも何かしら日本に関係したイベントや展示が行われているのです。
ここ2ヶ月間だけに限ったとしても、9月中旬には「ゴッホと日本」という映画が上映され、9月末には日本の文化、食材、遊びなどを紹介する「ジャパン フェスティバル」、10月からは「日本がイタリアを発見した時」や「西洋と日本のアートとコレクション」という展示が行われていて、同じ展示会場の常設展では、中国と日本の芸術品が公開されていて、日本オンパレードです。

ミラノに在住して20年以上になるのですが、親日家のイタリア人たちに「日本語を勉強したいから、日本語を教えてよ」と頼まれたことが何回あったことか。その度に「私は日本語教師では無いし、日本語を教える訓練も受けてないどころかノウハウも知らないから無理だ」と断り続けていました。

ところが、アニメを見ていて日本に恋をしたイタリア人が独学で日本語を学ぼうしているその情熱にほだされて、とうとう日本語習得のお手伝いをしてあげる事にしました。私は日本語を教えた事が無いので、試行錯誤に四苦八苦。

が、 レッスンで生徒さんにこんなにも笑わされるとは思ってもみませんでした。

「koo hiiってcoffeのこと?!」
「terebiってtv?!」
「eakonって何?…air conditioner?!?!」
「Itaria? … Italia?!?!」
などなど…

単語帳の単語一つ一つに驚きの声をあげている私の生徒との日本語レッスンは、二人で泣き笑いしながら、ゆっくり進む事になりそうです。

特派員

  • 三上 由里子
  • 職業音楽家

チェリスト。ミラノを本拠地に、ソロコンサートアンサンブルの編成で演奏活動の傍ら、演劇、画像、舞踊やライブ演奏を組み合わせたマルチスタイルの舞台プロデュース。

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