• 2020.04.07
  • 緑に囲まれるアーバンライフ
ミラノの町並みは、ここ10年の間に大きく変わりました。とりわけ2015年のミラノ万博前に急ピッチで整備され、数々の高層ビルが建てられ、町の変わり様は著しいものがありました。

その中の一つが、ISOLA地区。

良く言えばミラノの古き良き時代の面影が残りアーティスト達が好んで住み移りそうな地区、悪く言えば廃れたISOLA地区は、万博前に年月をかけて再開発の大工事が施されて、今ではミラノで1番のお洒落なスポットと生まれ変わったのでした。


世界のトップランキングに入っているイタリア人建築家たちの才能が詰まった場所でもあり、個性的な建築物が競う様に建ち並び、かつそれらは調和をなしてISOLA地区を形成しています。


その中でも最も話題を呼んだのは、BOSCO VERTICALE(垂直の森)ではないでしょうか。
無数の木をまとった、都会の真ん中にそびえ立つ高層ビル。


建築家ボエリ氏が思案した末に「ミラネーゼが欲しているマンションは、、、これだ!」と 閃いた案だったのかもしれません。緑が少ないミラノに住むミラネーゼは癒しを求めて週末に海や山の別荘に出かけるのですが、ミラノに留まっても森の中にいるかのようなアーバンライフをミラネーゼは欲しているに違いない、と考えたのでしょう。


ミラノからはアルプスの山々が眺望できることから分かるように、半盆地の地形になっていて風の通り抜けが少なく、 ヒートアイランド現象も加わって夏は干からびてしまいそうな暑さに襲われます。冬は冬で雨が降らない日が続くと大気汚染の問題が毎年のように繰り返され、車の交通規制が行われるほどのスモッグです。

そんなミラノにピッタリのこのエコロジカルな建築。ボエリ氏が設計したこの18階と26階建てのマンションには 各住居に広いテラスがあり、そこになんと900種類以上の木が植えられました。植えられた花木は優に1万株以上で、専属の庭師が手入れをしてくれるのだとか。でも、住人が、自家製トマトを食べたいから苗を、自家製ワインを作るためにぶどう棚を、アペリティフのお供にマッチする美味しいオリーブの実が欲しいから木を、などと好き勝手に植物を植えることは出来ないのだそう。

テラスの植木が光合成で酸素を作り出してくれて住んでいる人を癒し、付近の通行人をビル特有の反射光や熱で 焼き付けることを防いでくれて人や町に優しいこの住居は、海にも山にも別荘を持っていない私にも、大変魅力的です。 北側はアルプスの山々、南側はミラノの街並みが見下ろせて、住まいからの眺めも良い上に、無人運転の最新地下鉄駅まであり、充実した品揃えのスーパーもすぐ近くに!住むには最高ではありませんか。

このマンションのお値段の方も最高のランク入り。人気サッカー選手などお金持ちなVIP達にしか買えません。でも、Airbnb宿泊システムで住み心地を体験することが出来ますよ。

二人用住居で一泊約2万6千円くらい。

私も一度住み心地を体験したいですが、それを実現する日を待ちながら今の自宅の壁に蔦の葉を這わせてみたりしてミラノの緑化に極小一粒の貢献。


特派員

  • 三上 由里子
  • 職業音楽家

チェリスト。ミラノを本拠地に、ソロコンサートアンサンブルの編成で演奏活動の傍ら、演劇、画像、舞踊やライブ演奏を組み合わせたマルチスタイルの舞台プロデュース。

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