• 2021.04.06
  • 地下鉄
歴史的建造物に溢れるイタリア。ローマなどは新しい建築のために地面を掘ったら最後、遺跡が発見されその後の数十年は遺跡研究のために工事は中断されてしまいます。そのせいなのか町の大きさの割には地下鉄の路線が極端に少ないのです。タイムスリップしたような街並みのローマの魅力は、工事がなかなか出来ないデメリットがあるからこそ保持されているのでしょう。

一方 ミラノ。ミラノは大阪市の面積より若干小さめです。イタリアで1番重要な商業都市にもかかわらず約10年前まで地下鉄はたったの3路線。地下鉄大国の日本人に、こじんまりした商業都市なのネと言われてしまいそうです。


いえいえ計画では、第4と第5の新しい2路線に加えて、作る気持ちは満々なんだけど、、、と言われている第6路線もあります。とりわけ第4路線は、ミラノ市内とリナーテ空港を繋ぐことが目的の重要な路線。


ところでこのリナーテ空港は、近所の友人宅に遊びに行くような気軽な感覚で行ける距離にある最高に便利な飛行場。街中にあると言っても大袈裟では無く、ヨーロッパの各都市に向けて小、中型旅客機が飛び立ちます。早朝や夜の遅い便でも、それこそ同伴や迎えだけだとしてもこのリナーテ空港利用ならば全然億劫でない近距離の飛行場。

こんなに素晴らしく便利な飛行場は、ヨーロッパの他の都市にもなかなか無いと思うのに、地下鉄が通っていなく乗用車かバスが交通手段でしか行けない。そのせいか一人前として認めてもらえない若者のような存在だったらしく空港内の整備もそこそこで、国際的に勝負できるような空港とは言いがたく、まぁ良く言えばアットホームな雰囲気だったわけです。

さてリナーテ空港用の地下鉄第4路線計画は、2015年のミラノ万博に合わせて開通祝いのはずだったのですが、掘ったら眠っていた遺跡が発見されてしまい地下鉄工事は、即中断。世界中から来る万博客を運ぶはずだった第4路線の夢は叶えられず、現在未だに工事進行中で、 第5路線の方が先に完成しまいました。ちなみにこの第5路線は、ミラノ初の無人運転の地下鉄としてミラネーゼ達の注目を集めました。東京のゆりかもめ線に乗車したのが約25年も前に遡る話で、だから無人運転には驚かない、とはミラネーゼには私は言えなかった記憶が、、、

無人運転といえば、ここ十数年のミラノでの傾向として駅員がいない無人駅や街中のベンディングマシーンや、スーパーの無人レジなど無人サービスの場所が急激に増加しています。イタリアで無人サービスはイタリアのイメージに合っていないというか、知らない人同士でも会話を交わしてやり取りを楽しみ、それこそ駆け引きなどが上手なのがイタリア人。バールで、エスプレッソコーヒーをクイッと立ち飲みしながらコーヒーを入れてくれたバールマンと何気ない日常会話を交わしたりする事も無くなって来るのでしょうか。しばしばお節介で時々ちょっとだけ出しゃばりなイタリア人達の生活に、この無人サービスは変化をもたらすのでしょうか、、、?

特派員

  • 三上 由里子
  • 職業音楽家

チェリスト。ミラノを本拠地にソロとアンサンブルの演奏活動中。クラシックからポップスまで幅広いジャンルのレパートリーを持ち、イタリアの人気コメディアンの番組にバンド出演中。

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