• 2023.12.06
  • 見逃してはならない町 マントヴァ その2
マントヴァの町が小規模ながら存在感がある理由は、ゴンザーガ家の繁栄のお陰から来ているのだと思います。

そのゴンザーガ家で一際目立ったのが、イザベラ デステと言う女性。彼女は、今で言うとファッション インフルエンサーのような存在で、つまり斬新的なファッションで注目を浴び、そこから発展し、さらには諸国の元首たちとの外交関係に影響力を持つにまで至った類稀な人物。現代のイタリア人インフルエンサーに喩えるとしたら キアラ フェラーニのような存在だったのではないかと思います。

イザベラ デステは、生まれから既に輝かしく、彼女の両親は公国の公爵と別の公国の王女。そんな訳で彼女は生まれも育ちも良い上に、頭も良く、加えて綺麗だったそうですから「天は二物を与えず」と言うのは、あてはまらない。

16歳で結婚というのは、当時の風潮では当たり前なので驚きませんが、何とまぁ婚約したのが6歳とは、時代の習慣とは言えども、自分の当時の未熟さを思い返し当てはめると、改めてびっくりしてしまいます。

さて当時のイタリアは戦国時代で、マントヴァ公国は決して豊かではない小国。イザベラの夫、フランチェスコ2世は戦争に出かけていつも国をお留守。

イザベラの聡明さが伺えるのが、ここ。国に1人で残っている彼女は、周囲の国々がマントヴァを狙うであろうことを想定したに違いありません。戦さの術を知らない自分がどうやってマントヴァを守れるのかを熟考したに違いないのです。

幼い頃から培った高度な教養と知識とハイセンスが彼女の長所でありそれが武器になり得ることに彼女は確信を得たのでしょう、早熟で聡明だとつくづく思わされます。

彼女の斬新なファッションセンスは社交界で注目を浴び、フランス王妃でさえ真似をするくらいの影響力も持ったそうで、その中でもマントヴァの名品とさえ呼ばれるようになった彼女の発明品とは、女性の被り物。真珠や宝石、手の込んだ刺繍などの装飾がなされた被り物だそうで、彼女が社交界に現れた時の、そんな被り物を今まで見た事が無かった女性たちの羨望と尊敬、きっと嫉妬も交えたため息が聞こえるかのようです。

おそらくインテリアデザイナーとしても凄腕で、残っているゴンザーガ 家の財産目録から、イザベラの宮廷生活中のテキスタイルの趣味や豪華さが伺えるそう。ヴェネツィアを始めイタリア各地やスペインなどの海外のスタイルや風潮にも敏感で、積極的に取り入れ、織物工房を設立したりと、ここまででもいかに活動的だったことが十分に伺えるのですが、彼女は更に上を行ったのです。

彼女が行った数々の偉業は、書ききれない量があり、戦国時代に小国マントヴァを守り抜いたその彼女の知恵と行動は圧巻物です。

で、彼女のモットーが「恐れもなく、夢もなく」だったそうで、何とまぁロマンの無いフレーズだとガッカリしなくも無いのですが、偉業の数々を読んでいると戦国時代に自分が生き延びるために、そして国を守るために、冷静に状況を見極め、知恵を絞り出し、積極的に時には狡賢く立ち回り、時には劣等感に打ちのめされながらも彼女の勇気と行動力にも私は感嘆するのです。

特派員

  • 三上 由里子
  • 年齢戌(いぬ)
  • 性別女性
  • 職業音楽家

チェリスト。ミラノを本拠地にソロとアンサンブルの演奏活動中。クラシックからポップスまで幅広いジャンルのレパートリーを持ち、イタリアの人気コメディアンの番組にバンド出演中。

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