• 2024.02.28
  • 冬のミラノを愉しむ
ミラノの冬。外を歩いていると、骨の中まで滲み入るような寒さを感じます。加えて、霧がよく発生するので、それがなお一層、寒気を強めている気がしてきて身震いしてしまいます。濃い霧の中を歩いていると、まつ毛や髪の毛が湿気で湿って、ひどい時には滴まで垂れたり。

そんな意地悪な寒さの中のミラノでも、観光をしに行こうという物好きな方もいるかもしれません。ですが場合によっては、期待外れでも無いのですよ。

カトリック教の国なので、日曜日はお店が閉まっている所も多かったのですが、最近は、規制が緩くなったのか、中心地のお店は開いているので、日曜日にシーンと静まりかえった町ではなくなりました。

そんな中で、ミラネーゼらしく過ごせる日曜日が月に1回だけあるのです。炎天下の真夏であろうが、零下の真冬であろうが、この月1回の日曜日に賑わうのは、ミラノの運河沿い。

この運河(Naviglio)では毎月最後の日曜日に、大規模なアンティーク市場が開催され、ミラネーゼと観光客で賑わい、とても楽しいです。

この市場が無い日曜日でも、この運河沿いは、ミラノの売り物でもあるスポットであることからお察しの通り、運河の両側は入ってみたくなるレストラン、お店、ギャラリー、中庭、ストリートフードが軒を連ねているので、ミラノに来たら観光計画からは外せない場所。

例えば、不思議の国のアリスやスパイダーマンなどの人気キャラクターなどをテーマにしたレストランなどは上手に内装を仕上げていて、気軽にふらっと入りたくなる雰囲気です。その他、ミリタリーグッズの店、ヴィンテージの洋服の店など、個性的なお店が集まっているのもこの地区。


月1回のアンティーク市場が、たとえ冷え込んだ日にあたってしまったとしても、雨が降らない限りご心配なく。ホットコーヒー、ホットワイン、ビール、カクテルを片手に市場を回って、曇り空の下の寒い運河沿いで、みんなご機嫌ですよ。


アンティークに興味が無い人、ショッピングに興味が無い人でも、楽しめる場所であるのは、昔の洗濯場を上手に保存してあるのでそれを見学したり、その他にもイタリア屈指の彫刻家ポモドーロ(余談、ポモドーロはイタリア語ではトマトの意味)の財団施設があり、著名な女性詩人だったアルダ メリーニの家、そして運河の橋の一つは、彼女を称えて命名され、昔のキヨスクが現代アートの作品に生まれ変わったラデツキー キヨスクも目をひき、文化面でも充実している場所なので、ミラノの良さが詰まっているのがお分かり頂けるでしょうか。


ちなみに、女性詩人のメリーニの名前が付けられた橋には、南京錠がぎっしり掛かっています。恋人同士が、永遠の絆を願って南京錠を掛けていくのですが、あるミラネーゼの話では、兵役時代にロッカーの施錠に使っていた南京錠を兵役を終えた記念として掛けていく事から始まったと聞きました。新しい人生を始める青年の姿が想像できて、良い話だと思います。

ね、運河沿い、いいんですよ。

特派員

  • 三上 由里子
  • 職業音楽家

チェリスト。ミラノを本拠地にソロとアンサンブルの演奏活動中。クラシックからポップスまで幅広いジャンルのレパートリーを持ち、イタリアの人気コメディアンの番組にバンド出演中。

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