一般的に勧められるのは、リモンチェッロという南部イタリアから生まれたレモンのリキュール。このリキュールは、綺麗なレモン色をしていて、甘くて飲みやすいのでついついお代わりしてしまうくらいの魔性なリキュール。
魔性なリキュールと言えば、イタリアには飲むのを躊躇ってしまうようなリキュールがあるのです。私はイタリア産のリキュールには詳しくなく、飲んだ事のないリキュールが多いのですが、それは概して意味深な名前のせいなのではないかと思っています。
例えば、Spinelloというリキュール。意味は何種類かあって、トゲを持っているサメ、又はマリファナ。
実の所、このリキュールはマリファナ入りの飲み物でもなくて、サメから取られたエキスでもなくて、トゲ(イタリア語ではSpina)がある植物の実から作られているらしいのですが、4人の友人が集まって蒸留酒を実験的に作っている時に偶然出来た代物だという逸話。
いずれにしてもSpinelloは如何ですか?と食後に勧められた事が無いので、それはこの名前が何かと誤解を招く意味を持っているせいなのか、リモンチェッロのように飲みやすいわけではないからなのか、というように理由はわからないので、調査が必要。
一方、味見はした事があるリキュールのStregaは、魔女という意味。これを飲んだら鷲鼻で顔中にイボイボがある魔女になってしまうのでは無いか、という不安な気持ちになるのは私だけなのかしら?
70種類の薬草から作られていることからしても、気味の悪い薄笑いをを浮かべながら魔女が夜な夜な大きな窯でグツグツと薬草を煮込んでいるシーンが目に浮かぶので、なんと名前のもつ威力の大きい事よ。Stregaのリキュールに対して、リモンチェッロはまるで白雪姫のような存在に思えてくるのは、Stregaはサフランを含んでいるので黄色いリキュールですが、同じ黄色でもリモンチェッロの愛らしい黄色には敵わない。
で、やはりStregaを一杯いかがですか?と勧められた事が無いので、飲んでしまったら魔女になった気分で「鏡よ、鏡、この世で一番美しい人は誰?」と私が言い始めてしまうような顔つきをしているとか?
最後に更に強烈なネーミングのリキュールをもう1つ。義母のミルクというリキュール。ミルク入りでもなくアルコール度が、75度という非常に高い度数なので、その特色を利用して火をつけるショー的な使用が一般的だとか。ショットグラスでちびりちびりとする、と言おうが何だろうが、ストレートで飲むのは勧めない、という製造者の忠告付き。物好きな友人が味見をして、口内が焼けたような感覚だったので、大騒ぎをして周りを困らせたとか。
そんな飲み物に、義母に因んだ名前が付いているとは、義母という存在について思いを巡らせてしまいませんか。