• 2021.12.10
  • イギリスで映画を楽しむ
映画と聞くとハリウッド映画を連想する人が多いと思いますが、イギリス映画となると、頭にすぐ浮かぶのは『ラブ・アクチュアリー』(原題: Love Actually)や『ノッティング・ヒルの恋人』(原題:Notting Hills)のようなラブコメディー、あるいは『ハリー・ポッター』シリーズといったところでしょうか。
けれども、軽めのロマンスやコメディー、ホグワーツ魔法魔術学校から飛び出す魔法使いたちの物語だけが、イギリス映画というわけではありません。
この国で映画が制作されるようになった当初から、実は、ホラーや戦争もの、コメディー、リアリズム映画、名作映画など、人々のあらゆる嗜好に合わせて幅広いジャンルの映画が作られてきました。
とはいえ、ヨーロッパの厳しい検閲法の下にあったために、何十年もの間、イギリスでは大人が本当に楽しめる映画の制作が進んでいませんでした。
でも1970年代に入ると、社会の発展とともにケン・ラッセルをはじめとする有能な映画監督たちが、大人向けの優れたイギリス映画作品を制作するようになりました。

さて、お気に入りの映画のロケ地を訪れたいと思ったことはあるけれどアメリカには行けないという方に、ここロンドンの数あるロケ地をご紹介しましょう。
歴史ゆたかな素晴らしい街、ロンドン。欲しいものは何でも手に入る大都市であり、長年にわたり多くの映画の制作が行われてきた地でもあります。市内でたくさんの作品の撮影が行われてきたことから、テーマ別の観光コースが多数企画され、主催者たちの大きな収入源になっています。
確かに、映画業界に活気がある都市では観光がその恩恵にあずかることも多いですね。
もちろん、ロンドンには訪れる理由が山ほどあって、魅力あふれる街ですから年に何度も訪れて、その度に違う旅が体験できます。
映画に話を戻すと、テムズ川やビッグ・ベンは数々の作品に登場していますが、『ファンタスティック・フォー』(原題:Fantastic Four)に出てくるような水のないテムズ川なんて、現実ではまず見られません!
映画ロケ地めぐりの本当の火付け役は、おそらく『ノッティング・ヒルの恋人』でしょう。作品に出てくるあの青いドアは、オークションで売却されたほどです。
この作品でヒュー・グラント演じるウィリアム・タッカーが営む書店はというと、映画と同じ場所には存在せず、家具店しか見当たりません。
ただ、その角を曲がると、映画のモデルになった旅行ガイドブック専門店があります。でもマーケット好きの私の頭から離れないのは、ヒュー・グラントがポートベロー・ロード沿いを歩いていくシーン。あの有名なマーケットの散策は逃せないポイントです!
また、ヒュー・グラントはバラ・マーケットにも登場しています。市内最古と言われるこのマーケットで映画の撮影が行われました。
『ブリジット・ジョーンズの日記』(原題:Bridget Jones's Diary)で、ヒュー・グラントがコリン・ファースと乱闘騒ぎになるシーンです。
映画ではそのマーケットから目と鼻の先、Bedaleストリート沿いのThe Globe pubの上階に主人公ブリジット・ジョーンズのアパートがあります。
続編『ブリジット・ジョーンズの日記 きれそうなわたしの12か月』(原題:What a Mess, Bridget Jones)でもヒュー・グラントとコリン・ファースが再登場、またもや乱闘となりますが、このときはケンジントン・ガーデンズが舞台になっています。
これは小説『ピーター・パン』の舞台としても有名な公園です。
公園の中の通りをいくつか抜けていくと、大勢の子どもたちに囲まれてフルートを吹いているピーター・パンに出会えます。単なる銅像でも構いやしません!
この像を見ればきっと、ディズニー映画の中で永遠の子どもピーター・パンがビッグ・ベンの周りを軽やかに飛び回るワンシーンが思い浮かぶことでしょう。
『ジャック・ザ・リッパー』(原題:The True Story of Jack the Ripper)は怪しげな路地を舞台とした作品で、もっと暗くて陰鬱なロンドンを描いています。
でも、このロンドンにも心惹かれます。ロンドンで最も有名な、あの恐ろしい殺人鬼ジャック・ザ・リッパー(切り裂きジャック)が現れた現場を歩きたがる人がたくさんいます。
この連続殺人犯の歴史に本当に興味ある人たちのために、彼を専門的に扱っている博物館もあります。館内には1階から6階までをつなぐ通路があり、ここからまさにジャック・ザ・リッパーの世界に入ることができます。
それから、ロンドンの街を主人公にした映画といえば、実際にロンドンで撮影されてはいませんが、まず間違いなく『メリー・ポピンズ』でしょう。
セントポール大聖堂に始まり、バッキンガム宮殿、ロンドン塔、ウェストミンスターの王立取引所や有名な寺院など、この作品に登場するロンドンのシーンは米国のスタジオで再現、撮影されたそうです。一方、『ダ・ヴィンチ・コード』(原題:The Da Vinci Code)に出てくるロンドンはリアルのロンドンです。
このほか、聖バーソロミュー教会というロンドン指折りの美しい教会で、食肉市場のスミスフィールド・マーケットのほど近くに位置する建物があります。暗色の石造りやアーチ形の天井、建物内の光の暗さ。1123年に建てられたこのノルマン様式の教会は、訪れる人々に間違いなく何かを物語っています。その印象的な姿は『フォー・ウェディング』(原題:Four Weddings and a Funeral)や『恋におちたシェイクスピア』(原題:Shakespeare in Love)など数々の映画でお目にかかれます!


『トゥームレイダー』(原題:Lara Croft: Tomb Raider) ロケ地 タワーブリッジ


『007』シリーズ ロケ地 ロンドン・アイ


『ノッティング・ヒル』(原題:Notting Hills)ロケ地 ポートベロー・ロード –

特派員

  • ジャンフランコ・ ベロッリ
  • 職業ブロガー/ミュージシャン

私がロンドンに引っ越してきたのは2年以上も前ですが、ロンドンの外国人居住者向けのニュースレターで、この大都市での体験や新しく引っ越してきた外国人向けのアドバイスを紹介するようになったのは昨年からです。ロンドンはとてもダイナミックな街で、だれもが楽しめるものがたくさんありますが、迷うことなく満喫するためには地元の人の目線を参考にすることが大切です。みなさんにロンドンの隠れた魅力をお伝えするガイドになりたいと思っています。

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