夢にまで見たオーストラリアにやって来たはいいけれど、オージー(オーストラリア人は自らをこう呼びます)の発する言葉がちんぷんかんぷんで苦労するのはみな同じで、どれだけ英語が得意であろうがイギリス式英語の発音が完璧であろうが関係ありません。そう、オーストラリアのスラングは種類が多すぎるうえ、何でもかんでも短縮しちゃうんです。信じられない? では証明してみせましょう!
オーストラリアのスラングに初めて触れた人がみんな驚くのは、幼児語のような可愛らしい響き。「マッシーでバービー作っちゃうよ。マイト(友達のこと)用のコールディーを持ってきて!」という具合です。
言葉を縮めて使うのがオーストラリア独自のお国柄なのは、なんと300年以上前からというから驚きです! 書き言葉としての短縮語の初出は1800年代ですが、単語やことわざ、オーストラリア人が会話で口にする成句の膨大さからして、今もこの傾向は盛んなようです。
イギリスやアメリカのスラングと違って、オーストラリアのスラング用語は言い回しではなく略語のことだと思われていますが、これは外国人に限った話。メルボルンでもヴィクトリアでも、オージーの都市ならどこであれ、このあとに挙げる言い回しを山ほど耳にするはず。オーストラリア流の言い回しは地域を限定せず、全国いたる場所で使われているからです。
OZイングリッシュを標準的な英語に正確に訳しつつ、それらの用例や定義と一緒に説明したいと思います。オーストラリア人のマイトが主催するバービー(バーベキュー)に呼ばれても、これを読んで備えておけば、困ることはありません!
オーストラリア流スラングの何が面白いって、単語にあだ名があるということです。オーストラリア人は長い言葉を短く縮め、日常のスラングとして使うという習性の持ち主なんですね。
あまり知られていませんが、2013年にオックスフォード英語辞典に採用されたセルフィーという単語がオーストラリア生まれというのも、なかなか興味深い話です。この言葉がいかに人気を得ているかは、今や周知の事実です。
それではサンプルをいくつか挙げていきましょう。
バービー=他国で言うところのバーベキュー、BBQのこと。
マッシー=マッシュルーム
コールディー=ビール
サニーズ=サングラス
例:朝とアーボー(※下記参照)にはサニーズをかけて!
カッパ=一杯のお茶(ア・カップ・オブ・ティー)
ブレッキー=朝食(ブレックファスト)
例:オージーのブレッキーは大体、卵とベーコンにおいしいカッパだよ!
プレジー=プレゼント、贈り物
例:君にプレジーをあげる!バービー用のコールディーだよ!
フッティー=アメリカン・フットボール
モジー=蚊(モスキート)
例:モジーよけにオージーのモスキートネット帽を被って!
ミューゾ=ミュージシャン
例:腕のいいミューゾで、ヴェジョ(※下記参照)の友達がいるんだ!
ヴェジョ=ベジタリアン
アーヴォ=午後(アフタヌーン)
イーヴォ=晩(イヴニング)
例:ねえマイト、イーヴォにバービーしよう!
ブラディー・オース=お酒のブラディー・メアリーのオーストラリア名みたいですが、ブラディー・オースという表現には「そのとおり」「たしかに」「ホントにそう」などの意味があります。
例:「今日は寒いね」「ブラディー・オース(ホントにそう)!」
フェア・ディンカム=クッキーの名前か?と思いきや、フェア・ディンカムの意味は「真実の」「本物の」「嘘のない」などです。
例:メアリーはフェア・ディンカム(正直)だから、信じても大丈夫。/ここの食べ物はフェア・ディンカム(ガチ)なやつだね。
ギブ・イット・ア・バール=「やってごらん」「試してみなよ」などを表す言葉です。
例:「サーフィンってしたことないんだよね」「マイト、ギブ・イット・ア・バール!(やってごらんって!)」
グッド・オンニャ=「よくやった!」の意味。「グッド・オン・ユー」が縮まったんでしょうね。
何か、または誰かに対する評価の言葉です。
ハウ・ヤ・ゴーイン?=これは簡単、「最近どう?(ハウ・イッツ・ゴーイング?/ハウ・アー・ユー?)」
スタビー・ホルダー=缶ビール用クーラーの呼び名です。保冷効果のある容器やポケットのことで、瓶や缶入りの飲み物を冷やすのに使うものですね。
バッジー・スマグラーズ=男性用の水着。紳士服に対してこの呼び方をすることもあります。
- 2020.09.11
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