• 2020.12.01
  • 太平洋バブル!
国内旅行者、あるいは州を越えて家族や友人に会いに行こうとする人々のため、オーストラリアの各州が徐々に州境の封鎖を解除する中、いくつかの太平洋諸島からの入国についても、規制緩和が検討されつつあります。
ニュー・サウス・ウェールズ州政府は11月23日月曜日、ビクトリア州との行き来を解禁する予定で、この日から州境を越えるための許可申請はすべて不要となり、隔離要請も解除されます。
すべての小売店、美容院やタトゥースタジオなどは、コロナウイルス安全対策チェックリストを遵守すれば営業を再開することができます。
カフェ、バー、レストランに関しては、屋内で20席、屋外では50席を上限とし、記録管理とコロナウイルス安全対策チェックリストに従うことを条件に、営業再開が許可されます。結婚式は最大10名、葬儀は20名まで。屋外における宗教上の儀式の参加人数も、20名までと定められています。
オーストラリア人の移動をすべて受け入れるか否かの決定はもっぱら州ないしテリトリーに委ね、ビクトリア州からニュー・サウス・ウェールズ州を経由した人の受け入れについては、それぞれの州で可否を判断するものであるというのが政府の見解です。
と言いつつも、オーストラリア政府では特定の遠隔地(指定地域)への移動に制限を設けています。この制限の目的は、コミュニティのエルダー(敬意を込めた年配者の表現)や基礎疾患のある人々を守ることです。
指定地域に入る前には14日間の隔離生活が義務付けられています。すでに指定地域内にいる人は、医療を受けるためにどうしても移動しなくてはならない場合を除き、その地域を離れてはいけません。
旅行代理店各社は、感染者が新たに報告されていないニュージーランドなどの国の人々に対して国境を開放するよう、オーストラリア政府に働きかけています。新型コロナウイルス感染抑制に世界中が苦戦し、海外旅行などまだ論外という現状にあって、オーストラリアとニュージーランドの観光業界には強力なカンフル剤になるはずの太平洋諸島観光バブル(「感染封じ込めに成功した近隣の域内の観光」の意味)、またの名を「トランス・タスマン・バブル」を開始しようと、太平洋地域の国々の観光業者は躍起になっているのです。
太平洋地域の多くの国がコロナウイルスの感染抑制に成功していますが、ウイルスがもたらした経済的ダメージに今も苦しめられています。
フィジーの新型コロナウイルスの新規感染数はゼロになったと発表されており、バヌアツ、トンガを含む太平洋の国々はウイルスの全面的シャットアウトに成功しています。
しかし、食料や燃料をはじめとする必要な物資を輸入に頼り、経済面で観光に依存する国々の中でも、観光業のロックダウンは太平洋地域の諸国に特に大きな打撃を与え続けています。
これらの島国とオーストラリア、ニュージーランドを包括するトラベル・バブルが始まれば、どんな経済援助や支援策よりもはるかに大きな利益をもたらすでしょう。
太平洋地域の近隣諸国を制限なしに含めることに対して、ニュージーランドとオーストラリアはずっと消極的でした。今のところオーストラリアの規定では、太平洋地域からの労働者の入国は認めていますが、自国との双方向の行き来については現時点で許可していません。
太平洋地域の各国政府としても、ウイルス感染が確実に拡大しはじめた場合の地域社会が受けるダメージの甚大さを懸念しないわけにはいきません。島々の公衆衛生インフラには限度があるうえに、島民が糖尿病などの合併症を患っている率も高いからです。
太平洋地域全体にまたがる往来はゆっくりと再開しつつありますが、国民の本国帰還や現在近しい関係にある地域間の移動など、その適用範囲は非常に限られています。
苦境にあえぐ観光産業の救済策として、太平洋地域の中でもオーストラリアと日本と共同で「トランス・パシフィック・トラベル・バブル(太平洋横断トラベル・バブル)」の年内開始を望む声が、ハワイ州政府から上がっているという記事も読みました。またオーストラリアのモリソン首相は今月の演説で、特定の条件(内容については言及なし)のもと、シンガポールと韓国、日本、太平洋諸島の国々と共に観光バブルを立ち上げることを検討していると発表しました。
現在、世界中の旅行の大部分が綿棒による新型コロナウイルス検体の提出を条件に行われていることを思えば、この場合も似たようなルールが求められるような気がします。
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パシフィック・トラベル・バブルに加わる予定のニュージーランドとハワイ

特派員

  • アルベルト フェランド
  • 職業土木技師

みなさんこんにちは!私はイタリア出身ですが2012年からオーストラリアのシドニーで土木技師として働いています。
趣味は、海岸沿いの散歩、サーフィン、写真を撮ることです。
旅行が好きで、以前はブログを書いていたこともあります。
私はシドニーを拠点としており、アウトドア派でローカルイベントにも詳しいので、皆さんにシドニーの素晴らしさを知っていただければ光栄です。

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