学校でもこうした考え方を教えており、街の広告掲示板にも登場するし、TVのコマーシャルも作られるほど。
リサイクルできるゴミが最終的にどこに行き着くのか、我々の出すゴミが環境にどれほどの負荷を与えているのか、オーストラリアの人たちの関心は増すばかりです。
プラスチックをはじめとする廃棄物が環境に及ぼす影響に対する人々の大きな懸念が、この国に大きな変化をもたらしつつあります。
オーストラリアに来た当初、私はゴミ箱の使い分け方、リサイクルの出し方を覚えるのに少し時間がかかりました。
少なくとも今は、シドニーのゴミ分別回収の仕組みが説明できるようになりました。何ヶ月かシドニーで暮らし、ゴミ出しの失敗も経験した後、とうとう仕分け表示の付いたゴミ箱を見つけ、その仕組みが理解できたのです。
私に突然のひらめきを与えてくれたそのゴミ箱との出会いは、シドニーに来て数ヶ月目のある日のことでした。駅にいるとき、ゴミの分別回収について分かりやすく教えてくれるゴミ箱をついに発見したのです。
基本のゴミ箱には、黄色と赤色の2種類があります。
再生利用するための紙や段ボール、ガラス、プラスチック、缶類を捨てるのが黄色のゴミ箱で、生ゴミや食品が付着した一般ゴミ(いわゆる含水廃棄物)は赤色のゴミ箱に捨てます。
さらに、ごくたまにですが、この2種類以外に緑色と青色のゴミ箱も見かけることがあります。
緑色のゴミ箱は庭から出るゴミ用で、枝や葉など、堆肥になるものを捨てます。青色のゴミ箱は段ボールや新聞・雑誌用ですが、これらは黄色いゴミ箱か堆肥用のゴミ箱に捨ててもよいので、あまり意味がないように思えます。
とはいえ、アパート(マンション)住まいなら黄色と赤色のゴミ箱しか見ることはないと思います。しかしながら、あらゆるゴミは黒い袋に入れて出しているので、どのゴミをどのゴミ箱に捨てるかなんて、実際には誰も大して気にしていないように思います。
オーストラリア全域のゴミの分別回収がすべてこれと同じかどうか分かりませんが、少なくともシドニーで暮らせば、いかに行動すべきかが分かるようになります。環境にプラスになることがあまり行われていないように思えるのが残念ですが…。
町に出かけてみてもゴミ箱はどれも全く同じだし、これではビンや缶などの資源ゴミがリサイクルできるはずはありません。
パンデミックの危機を受け、オーストラリア政府が国内の廃棄物処理・リサイクル産業の変革を目指して同国初の「リサイクル近代化基金」への数百万ドル規模の投資を発表したことは評価しなくてはなりません。数千人規模の新規雇用の創出と、オーストラリアの廃棄物処理方法の改革が期待されています。
他の富裕国と同じように、オーストラリアでも何トンものゴミが排出され、今もその多くが他国に運ばれています。状況が一変したのは、中国が廃棄物やリサイクル品の全面的な輸入禁止を発表してからです。その後すぐ、他の国々も中国に倣って同様の措置を講じたため、オーストラリアは代替の解決策を見つける必要に迫られました。
オーストラリアが採用したのは自国の廃棄物の扱いに責任を持つという戦略で、さまざまな種類の廃棄物についても段階的に輸出を禁止しています。
再利用率が上がれば環境面にメリットがあるのは周知の事実。ゴミの埋め立てが減り、海洋プラスチックが減少し、未使用原料の需要が減り、炭素排出量が削減できます。リサイクル近代化基金は、埋め立て地に捨てられる大量の廃棄物の転用を目指す取り組みであり、これは「1人あたりのゴミ排出量を減らす」という世界的な戦略の一環なのです。
ただし、他の多くの国々と同様に、オーストラリアも廃棄物処理の改善による経済的なメリットを重視しています。すなわち、メーカーやブランドが国内で包装や製品に再利用できる貴重な資源が増えることに期待を寄せているのです。
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