オーストラリアでは、母の日に地域で大きなパーティを開催することが多いです。
オーストラリアの典型的な「メイトシップ(仲間意識)」の精神も、母の日の特徴です。これは母親を祝福するためにみんなで集まることを意味します。
母の日のプレゼントの定番といえば、菊の花。
オーストラリアっ子たちは菊をよく贈るのですが、これは菊が5月に咲く秋を代表する花であること、それからオーストラリア式の英語では、この花の名前が「お母さん」と同じ「マム(mum)」と呼ばれることにも由来しているんですよ。
オーストラリアでは、母の日のお祝いはコミュニティー全体に広がっていて、様々なチャリティー・イベントも催されています。通常、収益金は地域に住む恵まれない母親たちに寄付されるほか、地域の家族のためのプロジェクトや乳がん撲滅の活動資金としても使われます。
歴史上のルーツをたどっていくと、こうした活動は相互扶助が不可欠だった植民地時代に根づいているようです。この価値観は今でも重んじられていて、単なる友情を超えた、忠誠心や助け合いの精神まで含む概念になっています。
一般的に、母の日の習慣はシドニー生まれのジャネット・ヘイデンにより1920年代にオーストラリアに伝えられた、と考えられています。
州立女性老人施設の知人を訪問したこの女性は、ひとりぼっちで暮らす多くの「忘れられた」母親たちと話しているうちに、不遇な彼女たちのために何か贈り物をしようと思い付きました。アメリカには母の日というものがあることを知っていた彼女は、地元の企業の協力を得て募金活動を行い、女性老人施設の母親たちへの支援を嘆願していくうちに、このイベントが人気を博していったのです。
スパで使えるクーポンや手作りのプレゼントなどをお母さんに贈るのも、オーストラリアではポピュラーです。
母の日の日曜日にブランチを提供するレストランに行くなら、予約が必要。特別なサービスや限定メニューを用意しているレストランも多くあります。
親子一緒の食事には割引があったり、ハート型のパンケーキなどの可愛らしい料理が出てきたりすることも。
子どもたちは学校でママへの感謝の印として手作りの作品を作ったりするし、親子そろって学校に集まることもよくあります。
こうした集まりでは、みんながポテトサラダやキッシュなどの一品を持ち寄ってバーベキューをするのも一般的。親戚で集まってお母さんやおばあさんをお祝いしたり、ママと子どもが一緒にワークショップに参加できるゲームが開催されたりもします。
フェイス・ペインティングのアクティビティやパイを販売するスタンドなど、地域のチャリティーに寄付する資金を集めるための催しも人気です。
母の日の街角には、「女性への暴力」や「不妊症」など、母親および女性に関わる問題への意識喚起と資金集めのために、植物や可愛いギフトを販売する団体も見られます。母の日にはいつも以上に心が「オープン」になり、物事を受けいれやすくなるので、これはとてもいいアイデアだと思います。誰にだってお母さんがいるし、この特別な日にはなんとなくお互いがつながっているように感じるものです。
もちろん、お母さんを大切にする気持ちは一年を通して重要ですが、みんなで集まって良いことをしようというポジティブな日になるのなら、母の日の存在意義を軽視することはないと思っています。
さて、皆さんはどうでしょう。日本ではどんなふうに母の日を祝いますか?
下の画像:お母さんの花(mums flower)すなわち菊