• 2024.02.27
  • 「ザ・ガン」でオーストラリアを縦断
オーストラリアには「アフガン・エクスプレス(The Afghan Express)」を略した「ザ・ガン(The Ghan)」と呼ばれる列車があること、そしてその名前の由来についてはあまり知られていません。この名前は、この鉄道ができる前にアフガニスタンのキャラバン隊がラクダを引いてこのルートを歩いて旅したことに由来しています。
この列車が走るアデレードからダーウィンまでの3,000㎞弱のルートは、丘陵地帯や緑の平原が広がる南部からレッド・センター(中央オーストラリア)、そして熱帯植物が生い茂るトップ・エンド(オーストラリア北部)まで続いています。

ずいぶん昔のことなのですが、アデレードでザ・ガンに乗ったことがあります。思い返せば、ちょうど昼食の時間に列車に乗り込みました。車窓から郊外の美しい景色を眺めつつ食事を堪能しているうちに、やがて丘陵とブドウ畑が目の前に広がり、その後灌木に覆われた半乾燥気候の平原へと景色が変わりました。海岸沿いの街をいくつも通り過ぎ、かの中国の万里の長城をも超える長さを誇る世界最長の防壁「ディンゴフェンス」を通過します。これはオーストラリア南東部や羊牧場にディンゴを近付けないように建てられたものです。
この防護柵を通り過ぎたところで、絵のように美しい鉄道の街とアボリジニ族のテリトリーに囲まれた、威風堂々とした「ペインテッド・デザート」へと入っていきます。クイーン・アデレード・レストランの、地元ならではの食材を中心とした夕食をいただく前に、アウトバックに沈む夕日のユニークで素晴らしい眺めを満喫しました。

2日目の夜明けに、未舗装の道路が始まる南オーストラリア州の駅で停車して、日の出とともに朝食をとりました。列車は再び出発してノーザン・テリトリーに入り、ブッシュが生い茂るクルジェラという町を横切ってフィンケ川を渡ると、アリス・スプリングスに到着します。この駅でしばらく停車し、乗客は街を散策したりオージーの僻地の村に航空医療支援を提供しているロイヤル・フライング・ドクター・サービスの拠点を訪問したりすることができます。マクドネル山脈上空を飛ぶヘリコプター遊覧飛行やラクダ乗りなど、オプションのアクティビティを楽しむ時間がたっぷり用意されていました。午後遅くに再び出発し、夕食中に車窓から見える砂漠を北上していきます。

3日目の朝食中に金鉱の町で知られるテナント・クリークを通過し、いくつかのアクティビティが用意されているキャサリンで停車します。ニトミルク国立公園では、砂岩の崖を眺めたりワニを見つけたりしながら、キャサリン渓谷でのクルーズを楽しむことができます。ここのオプショナル・アクティビティには、ニトミルク国立公園の渓谷上空をヘリコプターで遊覧するツアー、カカドゥ国立公園およびニトミルク国立公園の上空を遊覧するツアーもあったこともしっかり覚えているのですが、私たちは参加しませんでした。
車内に戻ったら、ノーザン・テリトリーの熱帯雨林を横切りながらの昼食タイムです。いにしえの鉱山の町であるパイン・クリークを通り過ぎると、夕方にようやくノーザン・テリトリーの首都ダーウィンに到着しました。現代的で気ぜわしいシドニーへと飛行機で帰路に就く前に、私はこの街で数泊したのでした。

多くのイタリア人の友人たちのように、私もワーキング・ホリデー・ビザでオーストラリアに来ればよかった、とたまに思うことがあります。そうすれば、彼らが呼ぶところの「オージー・ブッシュ」や僻地、すなわち“リアルなオーストラリア”をもっとたくさん見る時間があっただろうと思うからです。

友人たちの多くは、ビザの更新のために農場で働く経験もしています。果物のピッカーとして、あるいは牧場で働いたり、オーストラリアで最も人里離れた地域でホスピタリティの支援を行ったりして、アウトバック(内陸部)で数か月間過ごしながらその土地の繁栄に貢献するわけです。
アウトバックはとにかく魅力的なので、すべての人にお勧めしたい場所です。もし、ヘビやクモが苦手でなければの話ですけれどね。

特派員

  • アルベルト フェランド
  • 職業土木技師

みなさんこんにちは!私はイタリア出身ですが2012年からオーストラリアのシドニーで土木技師として働いています。
趣味は、海岸沿いの散歩、サーフィン、写真を撮ることです。
旅行が好きで、以前はブログを書いていたこともあります。
私はシドニーを拠点としており、アウトドア派でローカルイベントにも詳しいので、皆さんにシドニーの素晴らしさを知っていただければ光栄です。

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