• 2017.01.17
  • 「T」と呼ばれるボストンの地下鉄網
アメリカ人は車好きで知られていますが、それはきっと大衆車の生みの親、ヘンリー・フォードがアメリカ人だったからでしょう。これは地下鉄網のある都市が全米で10数か所しかない理由のひとつともいえます。ボストンとケンブリッジは地下鉄のある都市で、ボストンには米国最古の地下鉄網があります。現在、グリーンラインとして多くの人に知られているその地下鉄網は、1897年に開通し、今ではボストン、ケンブリッジ、ブルックラインとその他8つの周辺都市をカバーしています。日本の首都圏の地下鉄網ほど複雑ではありませんが、重軌条(レッドライン、オレンジライン、ブルーライン)や軽軌条(グリーンライン)、トロリー(マッタパン-アシュモント間)も運行しています 。※1このうちの2つのライン、最も古いグリーンラインと、乗客数が最大のレッドラインはケンブリッジで利用できます。実はレッドラインは私の普段の通勤手段でもあるんです。歩いたりバスを利用しないときに使っているんですよ!

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MBTAの地下鉄路線図

マサチューセッツ湾交通局(MBTA)はボストン都市圏の公共交通システムを運営しています。MBTAはボストンで「T」と呼ばれていて、「T」は地下鉄を指すことが多いのですが、MBTAはバスやフェリー、通勤鉄道も運営しています。ラッキーなことに、私はこの「T」とバスが乗り放題。マサチューセッツ工科大学(MIT)の職員なら誰でも福利厚生として利用できるのです。「T」が使い放題なので、私は普段の使い方に加えて利用するようになりました。望ましい行動によって得られる成果や地球にとってより良い方法を模索しているんです!

先日、オフィスの「親睦」会があり、ボストン・シティ・ホール・プラザ(Boston City Hall Plaza)で開催されている「ボストン・ウィンター(Boston Winter)」に出かけました。午後2時15分に集合して、アイススケートやベルギーワッフルを楽しみながら、のんびりと午後を過ごしました。私たちはケンダル/MIT駅からレッドラインに乗ってパークストリートまで行き、グリーンラインに乗り換えてガバメントセンターに向かいました。「T」に乗っているとき、私は壁に取り付けられている「近畿車輛製、大阪、日本、1986年」というプレートに思わず目を奪われました。

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地下鉄グリーンラインの壁に貼られた近畿車輛のプレート。



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地下鉄グリーンライン。

私たちが乗っていた車両は、なんと30年も昔に製造されたものだったんです!MBTAが近畿車輛株式会社から購入した車両数は120車両あり、そのうち100車両は1986年製か1988年製、残りの20車両は1997年製です。2014年現在運行されている同社製車両は110車両におよび、耐久性のあるトロリーであることが証明されています 。※2グリーンラインは、軽軌条車両(LRV)を採用していますが、地下鉄や踏切の多い路面でも活用されていることから、トロリーや路面電車としても知られています。ボストンの厳しい冬の天候が、グリーンラインのトロリーをどれだけ消耗させるかは想像に難くないでしょう。トロリーを購入してから、アップグレードや追加された機能はほとんどなく 、※3車両の外側には腐食や、さびもありました。そこで2015年に、グリーンラインの86車両が性能向上のためリニューアルされました 。※4なお、私たちが利用したもうひとつのライン、レッドラインはグリーンラインを上回る乗客数を誇りますが、バス利用者の数にはおよびません 。※5

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同僚とアイススケート場に向かうため、ガバメントセンターでグリーンラインを降りようとしている様子。

私たちは午後2時45分には、「ボストン・ウィンター(Boston Winter)」の会場内にあるアイススケート場に向かう列に並んでいました。そして間もなく、氷の上で午後のひとときを楽しむことになりました。私はこの時まで、アイススケートの経験が数回しかありませんでした。初めて挑戦したのは大学生のときで、それ以外ではフィリピンのマニラに住んでいたときと、一番最近は2015年1月に、娘が招待された誕生日会がケンブリッジの仮設のアイススケート場で行われたときでした。ですから、ちょっぴり不安で怖い感じもしましたが、自転車に乗るのと同じ要領で、すぐに勘を取り戻して滑れるようになりました。何人かの同僚と一緒に、リンクの上でこおり鬼をして遊んだりもしましたよ。スケートリンクで楽しんだ後は、会場内でホットワインを飲みました。便利なグリーンラインとレッドラインのおかげで、私はケンブリッジのオフィスに午後5時半には戻ることができ、終業までにいくつかの業務をこなすことができました。

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※1「高速輸送システムの現状報告」フォーカス40:2040年に向けたMBTA投資プラン(State of the System Report: Rapid Transit” Focus 40: The 2040 Investment Plan for the MBTA.)。2016年12月19日引用。
※2 同上
※3 同上
※4 「初リニューアルされたグリーンラインのトロリーが始動(First refurbished Green Line trolley hits the tracks)」ボストン・グローブ、2015年5月21日付。2016年12月19日引用。
※5 「公共交通機関利用者数およびサービスの統計データ(Ridership and Service Statistics)」(PDF)(第14版)マサチューセッツ湾交通局、2014年。2016年12月18日引用。

特派員

  • クリスティーン・ ピルカベイジ
  • 職業MITジャパン・プログラム プログラム・マネージャー

日本生まれ、日本育ちで今はマサチューセッツ州ケンブリッジ在住です。ケニヤ、カンボジア、フィリピン在住経験があります。旅行と現地の料理を食べることが好きです。最近ワインの勉強も始めました。どうぞよろしくお願いします。

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