• 2017.09.01
  • 平和活動の中枢、国連本部
ニューヨーカーがジョークで言っていることとは違って、国連本部は国連総会が開催されるたびに交通渋滞で人々を苦しめるために設立されたわけではありません。事実、この非常に重要な機関は第二次世界大戦後、世界平和を維持し、未来の戦争を防ぐ目的で戦勝国によって設立されました。

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国連安全保障理事会の5つの常任理事国は、第二次世界大戦の主要な戦勝国である中国、フランス、ロシア(旧ソ連)、イギリス、アメリカです。国連本部はニューヨーク市のイーストリバーに面していて、ちょうど1番街の45丁目と46丁目の間に位置しています。敷地面積が18エーカー(約72,843m2)を超えるこの複合ビルは、国連の193の加盟国に属していて、治外法権が認められています。

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この複合ビルは1951年に落成され、ロックフェラー氏の多大な寄付金が設立資金として活用されました。事務局ビル、国連総会ビル、図書館の3つの主要な建物と安全保障理事会の会議場で構成されています。
メインの建物である事務局ビルはガラス張りの超高層ビルで、「Glass Palace 」とも呼ばれています。ウォーレス・ハリソン氏が率いる11人の建築家チームによって設計されました。

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国連には自前の警備隊や消防隊のほか、ローカル郵便局まであるので、それ自体で市内の小さな街のようです。

国連職員からまず伝えられるのは、セキュリティーチェックを受けて入場したら、そこはもうニューヨーク市でもアメリカでもないということです。それはこのビル群がまさに国連の領域の一部であり、独自の司法制度を持つ中立的な独立国家ともいうべき場所だからです。単独訪問はできないので、ビジターは必ずガイド付きツアーに参加することになっています。現国連事務総長による短い紹介ビデオを見終わると、国連の目的と使命を知るための見学ツアーがスタートします。

人権に関するさまざまな資料を読んだり、世界的に高く評価されている芸術家が特定のテーマに沿って描いた絵画を鑑賞することもできます。また、広島と長崎から寄贈された、原爆で無残に変形した遺物の所蔵品を目の当たりにし、国連の目的は平和を推進し、戦争を回避することにあると強く認識することもできます。

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国連が推進する中心的思想のひとつは、世界の人々に平和と安全を届けることです。これは実際、国連から世界中に派遣される国連平和維持軍(明るい青のヘルメットを身に付けているため、ブルーベレーまたはブルーヘルメットと呼ばれることも多い)の主要任務でもあります。

最後に見学するのは最も興味深い内容です。広くて荘厳な国連の会議場に入室できるのです。ここは193の国連加盟国が集い、世界のさまざまな課題について議論や意思決定を行う場です。当然、非常に特別な場所なので、ここでどんな重要な議論が行われたのかとか、この部屋で世界の未来はどんな風に変えられてきたのかといったことがどうしても頭をよぎり、胸がいっぱいになります。

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ガラス張りのビルを出ると、非暴力と題したブロンズ像が目に入ります。平和維持の概念を強調するためここに設置されているのですが、視覚的インパクトは効果抜群です。スウェーデンから寄贈されたこの像は、なんと銃身を縛ってねじ曲げたピストルのレプリカで、同国の芸術家、カール・フレデリック・ロイテルスワルトによって製作されました。
撃てない銃ほど心を揺さぶる作品はありませんからね。

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特派員

  • クラウディア・ ディアス
  • 職業ニューヨーク大学教授

私は、ニューヨーク大学でスペイン文学と演劇の教授をしていますが、もともとはカリフォルニア出身です。余暇には長い時間散歩をするのが好きです。ニューヨークでは常になにか新しいものをあちこちで見つけることができるので、それが本当に大好きです。この街のお気に入りの季節は秋です。秋にはセントラル・パークの紅葉が素晴らしく、私の大好きなハロウィーンもあるからです。
私のブログを通してみなさんにニューヨーク市と、私の住むブルックリンに興味を持っていただきたいと思います。また、ここに住む人間の目から見たビッグアップルについての新たな視点を紹介したいと思います。

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