• 2018.09.05
  • 壁面が息づく地区、ブッシュウィック
ニューヨークといえば、ナイトライフ、セントラルパークやタイムズスクエアなどの象徴的な観光地、コンクリートジャングルなどを連想するかと思いますが、ビッグアップル(ニューヨークシティの愛称)は全米でも並ぶもののない文化の中心地で、アートであふれています。 有名なミュージアムばかりでなく、ストリートにだってアートは息づいているんです。
ブッシュウィックの素晴らしいストリートアートのおかげで、ブルックリン区のこの一角は世界一クリエイティブな場所のひとつとなっています。

おそらくニューヨーク最大のアートギャラリーで、屋外ですので入場料は一切かかりませんし、年中オープンしていて、常に進化し続けています。いつも何かしら新しいものができているので、毎週出かけていけば、変化を感じることができるはずです。
見事なストリートアートコレクションを誇るブッシュウィックは、かつては工業地帯、現在は数百人のアーティストたちの住まいとなっているこぢんまりとしたエリアで、壁には素晴らしい壁画やカラフルなグラフィティが絶えず描かれています。
ブッシュウィックでは壁という壁をアート作品が彩っていて、晴れた日には、明るい色彩で光り輝く魔法の国のようです。
ニューヨークは壁を「汚す」者にとても厳しい方針を打ち出しているので、ストリートアートが規制される可能性も非常に高かったのですが、この区域でグラフィティを描くことが、期待はされていないにしても許容されるようになったことは、信じられない快挙です。


ブッシュウィック(イースト・ウィリアムズバーグとも呼ばれている)はブルックリンで目覚ましい変貌を遂げつつあるエリアです。ブルックリンにある他のいくつかのエリア同様、もともとは独立した村でしたが、ニューヨークシティエリアの強力な都市化の波に飲み込まれました。
労働者階級地区から、市内屈指の活気に満ちたクリエイティブなエリアへと急速に変化しています。工業地帯の面影は今も色濃く残っていますが、倉庫や工場の隣にはヒップスターのクラブやアトリエで埋め尽くされたマンションが建ち並んでいます。ここに住む若手アーティストたちのおかげで、この一帯はおそらく北米最大のアートコミュニティへと発展しています。 近年は地元の壁画家が企画したフェスティバルによって、年に1度、世界中のアーティストが集まって壁に作品を描いています。ブッシュウィックを歩けば、数少ない通りに展開された選りすぐりのストリートアートに出会えるのは、最初の数年から今日までずっと変わっていません。
シンプルなタグ(ストリートアーティストの名前やイニシャル)から、より複雑な作品までそろっていて、政治や最近のニュースから発想を得たものもよくあります。
60年代のストリートアートはアクティビストのメッセージや、平等、権利への要求を伝える手段として利用されていましたが、時代とともにアートも変化し、斬新で奇抜なスタイルのものも生み出されるようになりました。


最近のアーティストは、制作者に高額な罰金を科す公共物汚損に対する厳しい法律をかいくぐるために、より巧妙な工夫をこらすようになってきていて、壁から取り外せる掲示板に作品を描く壁画家もいます。
ストリートアーティストの作品は、制作者が美術史の巨匠からインスピレーションを得ているかのような、本格的な壁画の域にどんどん近づいていて、非常に美しい作品も少なくないので、地元企業から有料で委託されて、正面の壁や看板、水門などに作品を描くアーティストも現れ始めています。
しかし、アーティストというのはキャンバスや壁にとどまらず、触れるものすべてをアートに変えていくものです。ブッシュウィックのストリートでは、配水管やアンテナにもアートが描かれていて、ストリートアートであふれています。


ブッシュウィックのストリートアートを鑑賞するなら、私のようにガイドツアーに参加するのが一番です。
こういうタイプのアートが好きじゃない人は、実は私も始めはそうだったのですが、とにかく足を運んでみてください。作品に惹きつけられて、どうしてもまた見に行きたくなるはずです。私もそうなりましたから。
ここはヒップスターカルチャーとスロームーブメント(リサイクルによるゴミの削減、地元産のオーガニックフードの消費、環境保全を目指す)が混在する場所です。
この一帯にいると、喧噪や、ときどき「息が詰まるような」マンハッタンとその巨大なビル群から遠ざかることができます。ブッシュウィックやすぐそばのウィリアムズバーグには小さな建物しかありませんからね。
付近にはバーやレストランのほか、洋服、ヴィンテージジュエリー、インテリア家具のブティックなどもたくさんあります。

特派員

  • クラウディア・ ディアス
  • 年齢午(うま)
  • 性別
  • 職業ニューヨーク大学教授

私は、ニューヨーク大学でスペイン文学と演劇の教授をしていますが、もともとはカリフォルニア出身です。余暇には長い時間散歩をするのが好きです。ニューヨークでは常になにか新しいものをあちこちで見つけることができるので、それが本当に大好きです。この街のお気に入りの季節は秋です。秋にはセントラル・パークの紅葉が素晴らしく、私の大好きなハロウィーンもあるからです。
私のブログを通してみなさんにニューヨーク市と、私の住むブルックリンに興味を持っていただきたいと思います。また、ここに住む人間の目から見たビッグアップルについての新たな視点を紹介したいと思います。

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