• 2018.09.13
  • ニューヨークのレジェンド、ネイキッド・カウボーイ
ニューヨークシティに来たことがあるなら、きっとタイムズスクエアへは行きましたよね。
そして、「非公式なニューヨーク観光大使」を見かけた人もいるかもしれません。おそらく市内で最も有名なキャラクターで、ビッグアップルに数ある見どころのひとつ(自由の女神と並ぶレベルかも!)となっているのが、偉大なパフォーマー、ネイキッド・カウボーイです。
ニューヨーカーにも観光客にも愛されているロバート・バーク氏は、ネイキッド・カウボーイの名で知られるアメリカのストリートパフォーマーです。ギターを巧みな角度で操るので、まるで全裸のように見えます。彼はタイムズスクエアを毎日ぶらぶらし、フェイスブックページで写真を投稿したり、どの辺にいるか最新情報を更新したりもしています。雨の日も、あられの日も、雪の日も、テロリストの脅威があっても、この愛すべきキャラクターはいつもこの持ち場、ネオンやビルボードの光に満ちた、限度という概念のないスクエアに現れます。




ですから、マンハッタンのタイムズスクエアを通りかかったときに、カウボーイブーツしか履いていない裸同然の男性がギターを弾いているのを目にしても焦らないでくださいね。ニューヨーク屈指の人気者とすれ違っただけですから!
ネイキッド・カウボーイはとても有名なので、市内ツアーではガイドが指さして説明するほどです。オハイオ州シンシナティの出身で、政治学の学位を取得後、人出の多いロサンゼルスのベニスビーチ近辺でパフォーマンスを披露し始めました。友達のすすめでパンツ一丁でギターを弾くようになってからは、均整のとれた肉体のおかげで、通行人からそれまでよりずっと多くのお金を稼げることに気がつきました。
現在もマンハッタンでパフォーマンスを披露し続けていて、ときどきテレビ番組(特にタイムズスクエアから中継する朝の番組)やメディアのイベントにも姿を見せます。商標権も行使しているので、全米で「ネイキッド・カウボーイ」のパフォーマンスを披露したい人は、彼に月500ドル支払わなければいけません。実際、彼には多くの分身がいます。女性版のネイキッド・カウガールもいて、たまにふたりでパフォーマンスを披露しているので、タイムズスクエアでそのうち目にすると思いますよ。
彼は長年にわたるレジェンドで、正確にいうと1998年に初めて登場し、ロサンゼルスのベニスビーチで最初のパフォーマンスを披露しました。
それ以来、ストリートミュージシャンで生計を立てるようになり、戦没将兵記念日(メモリアルデー)にシンシナティで開催された有名なマルディグラ・カーニバルの期間中に、ニューオーリンズのフレンチクォーターの路上でパフォーマンスを披露した後、テキサス周辺の都市を巡って、最愛の場所、ニューヨークのタイムズスクエアにたどり着きました。
暖かい季節が来て、ビッグアップルの気温がしのぎやすくなると、彼がタイムズスクエアで過ごす時間は長くなります。
「ネイキッド(裸の)」カウボーイと呼ばれていますが、白いブリーフとクリーム色のブーツを履き、つばの広いベージュの帽子をかぶっています。常にギターを脇に抱え、魅力的な笑顔を浮かべながら観光客や野次馬の相手をし、お気に入りのテーマソング『I'm the naked cowboy 』(俺はネイキッド・カウボーイ)を歌ったり、彼をアイドル視して間近で写真を撮りたがる多くのファンのリクエストに応えたりしています。ギャラは1日千ドルといわれていますが、これにはテレビやミュージックビデオ、広告キャンペーン、ドキュメンタリーへの出演料は一切含まれていません。


タイムズスクエアには面白いキャラクターがいっぱい

彼に由来するグッズもいろいろあって、タイムズスクエア周辺のショップでは彼の名前入りの下着から、巡業の様子を描いたマンガまで売られています。
この大都会の名物男は、ニューヨーク市長に立候補したことさえあって、記者会見ではマイケル・ブルームバーグ氏と対抗しました。
奇抜なキャラクターにもかかわらず、ネイキッド・カウボーイの選挙活動はいたってまじめで、「すべてのコストの透明化」を主な目標に掲げ、減税措置、観光奨励策、同性婚の権利拡大、安全対策を訴えました。


ネイキッド・カウボーイと私の友人たち(もうひとりの友人は写真掲載禁止のため、写真を切り取っています)

特派員

  • クラウディア・ ディアス
  • 職業ニューヨーク大学教授

私は、ニューヨーク大学でスペイン文学と演劇の教授をしていますが、もともとはカリフォルニア出身です。余暇には長い時間散歩をするのが好きです。ニューヨークでは常になにか新しいものをあちこちで見つけることができるので、それが本当に大好きです。この街のお気に入りの季節は秋です。秋にはセントラル・パークの紅葉が素晴らしく、私の大好きなハロウィーンもあるからです。
私のブログを通してみなさんにニューヨーク市と、私の住むブルックリンに興味を持っていただきたいと思います。また、ここに住む人間の目から見たビッグアップルについての新たな視点を紹介したいと思います。

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