これはTVシリーズでも花火大会でもなく、夕日です。でも、ありきたりなものではありません。珍しい、本当に特別な夕日です。この日の太陽は、ニューヨークシティのマンハッタンエリアを碁盤の目状に走る街路にちょうど沿って地平線に沈むので、太陽がまるで足もとに消えていったかのような幻想的な光景を目撃することができるんです。この現象はだいたい年に2回、2日連続で発生します。
マンハッタンの夕日は年に2回、春と夏に碁盤の目状の街路にちょうど沿うように、街路に対して垂直に沈む日があるのです。
この特別な現象は、先史時代に築かれた不思議な環状列石遺跡、ヘンジにちなんでマンハッタンヘンジと呼ばれています(ストーンヘンジを簡潔に説明すると、イギリスで新石器時代に造られた石の遺跡です)。
現代において、マンハッタンヘンジの日は太陽が常に、摩天楼に囲まれた碁盤の目状の街路に対して垂直に沈み、きれいな半円を描きます。マンハッタンのどの通りにいても思わず写真を撮りたくなるような絶景となる見逃せない瞬間で、私はこの光景を目にするたびにあっけにとられてしまいます!
この特別な「夕日」を楽しめるベストスポットは、フラットアイアン地区、34丁目のエンパイア・ステート・ビルディング付近、42丁目のグランド・セントラル駅付近、そしてクライスラー・ビルディング周辺とタイムズスクエア周辺です。
この時期は、大勢の人が路上に並んで写真を撮る姿を見るのも楽しいものです。他の日食や月食、天体現象と違い、マンハッタンヘンジはその名のとおり、ニューヨークシティ特有の現象ですからね。
夕日はマンハッタンの歩道と同じ高さに見えるので、太陽が足元に沈んでいくような気がします。
マンハッタンヘンジは天体物理学者のニール・ドグラース・タイソン氏が生み出した造語で、イギリスで人気のある新石器時代の遺跡、ストーンヘンジを思い起こさせるヘンジという接尾辞が付いています。ストーンヘンジは先史時代の人々が太陽にまつわる儀式で使用した天文時計と言われていますが、この説には諸説あります。
通常、夏至の頃に発生するマンハッタンヘンジには2パターンあります。
どんなパターンかというと、1日は路面によって太陽の円がちょうど半分に分断された状態(半円の夕日)から沈み始め、その後は三日月状になります。もう1日は太陽が路面に沿って沈むので(円形の夕日)、ボールが床に転がっているように見えます。
マンハッタンヘンジは年々人気が出て、私が読んだ写真誌によると、実は世界一多く撮影されている夕日のひとつなんだそうです。
テクノロジーのおかげで、たとえニューヨークにいなくても、ソーシャルネットワーク上の大量の画像や動画から簡単にマンハッタンヘンジの夕日を見ることができます。実際、何千もの画像が#Manhattanhengeとハッシュタグ付きでインスタグラムに投稿されています。
この素晴らしい夕日を写真に撮りたい人は、ロングアイランドシティのイーストリバー沿いへ行けば、地平線全体をとらえることができます。
あまり知られていませんが(ニューヨーカーでさえも!)、実はマンハッタンヘンジと同等の現象は冬至を挟む12月5日と1月8日頃の明け方にも発生します。この時期にニューヨークで休暇を過ごす人にとっても、地下鉄ではなく歩いて仕事に向かうニューヨーカー(私のような)にとっても、早起きする最高の理由になりますよ!