旅にはいつの時代も予測不能な出来事がつきものです。しかし、ここ数年は世界各地で起きている紛争や安全保障上の脅威により、旅行がますます複雑化しています。世界中を旅することに情熱を注ぐ者として、今回のブログでは、軍事的な緊張が国境を越える空の旅にどのような影響を与えているのか、私が実際に経験したことを書いてみたいと思います。
最初に直面した問題は、ロシア系航空会社が航空券の販売数を制限していることでした。政治的、安全保障上の制約により、航空券を購入する際に追加の便を利用する必要があったり、非ロシア系航空会社に頼らざるを得なかったりすることが多くなっています。その場合、チケット代が高額になるほか、満席で予約が取れないこともあります。これまで予定に融通が利く旅を楽しんできた私にとって、世界的な出来事によって突然選択肢が狭まることがあることを、身をもって感じました。
その後、さらに強烈で忘れられない出来事に巻き込まれました。大規模なドローン攻撃の最中に、イスタンブール空港で足止めされたのです。このような経験は、後にも先にもこの時だけです。賑わっていたターミナルは静まり返り、飛行機は全便運行停止、乗客たちは不安そうな表情で座り込み、スマホの画面に釘付けになって、更新されるニュースをチェックしていました。警備対策はすぐに講じられたものの、無防備な状況にあることは明らかで、フライトがいつ再開されるのか、あるいはキャンセルとなるのかも分からず、周囲には重苦しい空気が漂っていました。
目的地に到着する直前にも、記憶に残るアクシデントが発生しました。ロシアのサンクトペテルブルクにあるプルコヴォ空港がセキュリティ警告を理由に、数回にわたって飛行機の着陸を拒否したのです。そのたびに運航スケジュールが変更となり、乗客は行き先を変更することを余儀なくされ、旅行計画は大きく乱れました。閉鎖は一時的なものでしたが、地政学リスクの影響下での旅行がいかに脆弱であるかを浮き彫りにした出来事でした。
こうした不安定な状況下での旅行で最も大変な点は、飛行が禁止されている空域が存在するため、フライト時間が長くなったことではないでしょうか。以前は数時間で移動できたルートでも、今では大きく迂回しなければならず、時間だけでなく移動中のストレスも増加しています。なんとも奇妙な感覚ですが、大きく迂回する飛行ルートを見ると、一部の地域は危険すぎて上空を飛べないのだという現実を改めて実感させられます。
しかし、遅延や迂回、混乱などの体験から学ぶこともあります。こうした出来事は、私たち旅行者に柔軟さや順応力、状況判断能力の重要性を思い出させてくれると同時に、困難な状況下でも人々の移動を支え続ける航空産業やセキュリティの専門家たちの並外れた努力を際立たせます。
紛争の時代における空の旅は、単に目的地にたどり着くための手段であるだけでなく、不確実な状況を乗り越え、変化に適応し、安全に目的地に到着できることに対して、以前にも増して感謝を抱く体験となっているのです。
- 2025.10.01
- 紛争の時代に巡る世界旅行―混乱の空を越えて