• 2019.05.29
  • 宗教のるつぼ
最近見かけた地元新聞に掲載の調査によると、ロンドン市民の宗教は約50%がキリスト教徒(つまりカトリック、プロテスタント、英国国教会、その他のキリスト教諸派)、約13%がイスラム教徒、6%がヒンズー教徒、2%がユダヤ教徒、それ以下の割合で世界のその他の宗教の大半を網羅しているそうで、この街がまさに文化と宗教の真のるつぼであることを裏付けています。
また、ロンドナーの約20%は無宗教であることを認めていますが、宗教について一切明言したがらない人もいるようです。
ロンドンの宗教事情を見ると、歴史的にキリスト教が圧倒的に多く、教会もたくさんあります。
市内最大級の教会はもちろんセント・ポール大聖堂とサザーク大聖堂で、どちらも英国国教会を代表する存在ですが、公的な式典や王室の式典が行われるのは大抵、セント・ポール大聖堂かウェストミンスター寺院です。
ウェストミンスター寺院の建物は比較的新しく、イギリスおよびウェールズ全体で最大のローマ・カトリック教会の大聖堂です。
とは言え、イギリスの聖職者の割合を比較してみると、英国国教会が非常に少ない反面、ローマ・カトリック教徒と正教徒のコミュニティの聖職者ははるかに多くなっています。
ロンドンはイスラム教徒、ヒンズー教徒、シーク教徒、ユダヤ教徒の主要なコミュニティの拠点でもあります。
多くのイスラム教徒グループはタワーハムレッツ・ロンドン自治区やニューアム・ロンドン自治区に住んでいて、リージェンツパーク内にある巨大なロンドン中央モスクは最も重要なイスラム教施設です。
ここでは複数の大陸からの礼拝者を受け入れていて、訪れる人の多様性を考えると、とても世界的なモスクと言えます。
金色のドームと印象的な高い塔のある壮大なモスクは、ロンドン中心部のリージェンツパーク内にそびえ立っています。
イギリス人のイスラム教改宗者、両親がアフリカやアジアから移住してきた人、ロンドンに来ている中東からの旅行者など、敬虔な信者は1日5回ここへ来てお祈りをします。
でも、このモスクは礼拝者や瞑想のためだけにあるのではなく、交流の場にもなっていて、アラビア語や宗教教育のプログラムも実施されています。
建物内には会議室や図書館、本屋、レストランも併設されています。
ロンドンのヒンズー教徒のコミュニティは市内北西部のブレント・ロンドン自治区周辺にあり、区内のニースデン・テンプル・オブ・BAPS・シュリ・スワミナラヤン・マンディールはヨーロッパ最大級のヒンズー教寺院です。
由緒あるこの寺院は市内北西部のニースデンに位置しているので、ロンドンではニースデン・テンプルと略して呼ばれることもよくあります。
イタリア産の大理石とブルガリア産の石灰岩を使用した建物の大部分は、2,000人を超える彫刻家によってインドで手彫りされ、ロンドン郊外で1991年~1995年に組み立てられたものです。
インド国外で世界最大級のこのヒンズー教寺院は、どんな宗教を信仰している人でも訪問できます。



BAPS・シュリ・スワミナラヤン・マンディール

私も行ってみましたが何の問題もありませんでした。ただ、ここはお祈りをする場所なので、いくつかルールを守らなくてはなりません。具体的には、寺院内でのカメラの使用禁止、入場時は土足厳禁、肩、腹部、上腕部が隠れる上衣と、膝丈またはそれより長いズボンまたはスカートを着用することです。
寺院ではオーディオガイドのレンタルやガイド付きツアーも用意されています。
シーク教徒のコミュニティはロンドン東部と西部にあり、インド国外では最大級のシーク教寺院の拠点でもあります。
イギリス人のユダヤ教徒の大半はロンドンに住んでいますが、とりわけ市内北部のスタンフォード・ヒルとゴルダーズ・グリーンに集中しています。
ベビス・マークス・シナゴーグはイギリス最古のユダヤ教の会堂で、ロンドンの同名のストリートに位置しています。
ユダヤ教徒のコミュニティにとって最も歴史的な場所の一つで、見事な建築を目の当たりにできる名所でもあります。
ここは17世紀半ばにロンドンにおける近代のユダヤ教徒のコミュニティが初めて誕生した場所であり、自分たちの宗教を信仰して生きる自由を初めて獲得した場所なのです。
現在のこの寺院を擁する会堂が完成したのは18世紀始めのことでした。


ユダヤ教の会堂内にあるメノラー(枝つき燭台)の彫刻

特派員

  • ジャンフランコ・ ベロッリ
  • 職業ブロガー/ミュージシャン

私がロンドンに引っ越してきたのは2年以上も前ですが、ロンドンの外国人居住者向けのニュースレターで、この大都市での体験や新しく引っ越してきた外国人向けのアドバイスを紹介するようになったのは昨年からです。ロンドンはとてもダイナミックな街で、だれもが楽しめるものがたくさんありますが、迷うことなく満喫するためには地元の人の目線を参考にすることが大切です。みなさんにロンドンの隠れた魅力をお伝えするガイドになりたいと思っています。

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