• 2021.01.25
  • ボクシングデー…でもショッピングはお預け
イギリスではボクシングデー(Boxing Day)はさまざまなかたちで祝われています(今年は違いますが)。
この日はクリスマスの翌日ということでイギリスでは公共の祝日になっています。つまり、26日は祝日。
ご想像の通り、12月26日も家族が集まりクリスマスのお祝いは続きます。
これまでは街に繰り出し、エンターテイメントの催しを楽しむのが恒例でした。パントマイムや劇、バラエティーショー、ギャラリーやミュージアムの展示会、サッカーなどのスポーツイベントなどさまざまな催しが行われています。
さらに最近は、この日にたくさんのスポーツイベントも開催されます。なかでも競馬レースは全国的にも人気のイベントです。
また、この日は、非常にばかげた超くだらないものまで、ありとあらゆるアクティビティに人々が参加し、イギリス人の奇抜さが発揮される日でもあります。
なかには極寒ともいえるこの時期にイギリス海峡で泳ぐなんていう、突拍子もない伝統行事や、面白レースやそのほかのレースなど正気とは思えないものもありますが、一方ではれっきとしたチャリティーイベントも数多く催されています。
カレンダーでは、ボクシングデーは次のように定められています。当日が土曜日の場合は次の月曜日が祝日、クリスマスが土曜日の場合は月曜日と翌日の火曜日が祝日。
普段はどの学校も休校、多くの企業や機関もクリスマス期間は休業になるのですが、今年のコロナ禍はいつもと違う初めてのケースで、ほとんどの事業者がクリスマスからお正月まで丸一週間休業し、先ほどご紹介したアクティビティももちろん中止、したがって私たちはステイホーム、たらふく食べたというわけです(これは例年通り!)。

例年、ボクシングデーはオフィスや学校、各機関にとっては休日ですが、お店は営業していて、冬のバーゲン初日に当たるこの日は一年で最大のセール日のはずなのに、今年は…もうおわかりですよね、お店もショッピングセンターもクローズ。
いつもなら、前の日のクリスマスにもらったけれど気に入らなかった贈り物をお店に持って行って交換したり、自分に合うサイズに換えてもらったり、以前から欲しかったけれど正規の値段では買えなかった商品をゲットしにいったりする日なのですが…。
これも今年はお預け。
いつものボクシングデーが迎えられるようになるには、まだもう少しかかりそう。
そうこうしているうちに、ブレグジット(EU離脱)も完了し、新型コロナウイルスワクチンの一回目の接種も開始されました。この重要な二つのできごとが今後どうなるのか、見守りましょう。

昔は、ボクシングデーに雇い主が従業員たちになにか贈り物をしたり、お給料をはずんだりする慣習がありましたが、今は、一年のこの祝日のころに同様のことをするようになりました。この日に渡すことにこだわりがなくなり、クリスマスとボクシングデーよりも前に雇い主から従業員に渡されるのが一般的になっています。
ところで、ボクシングデーを祝うのはイギリスとアイルランドだけではありません。両国と歴史的にかかわりがあり今も外交関係にある国々でもこの日を祝います。
主なところではカナダ、南アフリカ、オーストラリア、ニュージーランド、それから香港、旧イギリス植民地のコモンウェルス諸国でもボクシングデーが祝われています。

「ボクシングデー」と呼ばれるようになる前は、この日は聖ステファノの日(私の故郷イタリアでは現在もそう呼んでいます)として知られていました。
言い伝えによると、この呼び名の由来はビクトリア朝時代にさかのぼるそうで、当時、教会がクリスマスのために用意した、礼拝者が寄付金を入れる箱(box)を開ける日にちなんでボクシングデー(Boxing Day)と名づけられたのだとか。
そして集まった寄付金は最も貧しい市民に配られたそうです。
現在、この伝統を長らく守ってボクシングデー当日に寄付金箱を開ける教会はごくわずかとなり、一年を通して時期を問わず開ける教会もありますし、またあるいはクリスマス直前に箱を開けて貧しい家族やホームレスの人たちにクリスマスランチを提供する教会もあります。
寄付金の箱といえば、なんと大型帆船も航海中、幸運を呼び込むために「寄付金」の入った封をした箱を乗せていました。
航海が無事成功して船が港に戻ると、箱は司祭のもとに届けられ、司祭はクリスマスの日にこれを開封し、翌日、中に入っていた寄付金を貧しい人々に分け与えました。

特派員

  • ジャンフランコ・ ベロッリ
  • 職業ブロガー/ミュージシャン

私がロンドンに引っ越してきたのは2年以上も前ですが、ロンドンの外国人居住者向けのニュースレターで、この大都市での体験や新しく引っ越してきた外国人向けのアドバイスを紹介するようになったのは昨年からです。ロンドンはとてもダイナミックな街で、だれもが楽しめるものがたくさんありますが、迷うことなく満喫するためには地元の人の目線を参考にすることが大切です。みなさんにロンドンの隠れた魅力をお伝えするガイドになりたいと思っています。

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