• 2021.02.05
  • …ついにブレグジット
ブレグジット(英国のEU離脱)のおかげで、EU諸国出身で英国に在住しているみなさんと同じく、私も昨年、大急ぎでこの国での永住権を申請しなければなりませんでした。
2020年12月31日をもって英国はついにEUを離脱、これにより英国-欧州間の物資や人の自由な行き来ができなくなりました。すでに英国に移住してきたEU諸国の人たちは、女王陛下を君主とするこの王国に引き続き居住する場合、2021年6月30日までにEU市民永住制度に申請しなければなりません(いわゆる「猶予期間」が設けられています)。昨年12月31日以前に英国に在住していたことを証明すると、在住期間が5年以上の者には定住資格(いわゆる永住権)が、5年未満の者にはさらに5年間英国に滞在できる準定住資格が与えられます。
この新制度移行に伴って、英国に住むEU諸国出身の人々の生活が少し変わりました。というのも、私も含めて、この国で働く多くの者が、居住権の証明を求められるようになったのです。
渡英が自由だったころに英国に移住してきたのに、今になって書状や文書でその権利を証明しなければならないなんて、おかしな話です。また、私の英語がネイティブとはアクセントが違うために人から差別されているように感じることがあります。単に自分の気にしすぎかもしれませんし、あるいは全般的にコロナのせいでみんなが他人に対して用心深くなっているからかもしれないとわかってはいるのですが。
大した妨げにはならないけれど、正当な移民であることを示す証明の提示を求められるのが煩わしいのは確かです。働くために渡英したときにはそんなことは予想していなかったし、私はこの国で仕事をしているだけなのですから!
EU離脱に関する議論のなかで移住者に関する問題は重要な課題の一つとなっています。2021年1月1日以降に勉学または就労を目的として英国在留を希望するEU諸国の人々は、新たに導入されたポイント制移民システムという、熟練技術をもつ移民を歓迎し出身国より技能を重視する制度になんとか対処しなくてはなりません。
これまでなら例えば、旅行者として入国してから仕事を探すなどといったことも可能でしたが、新システムではそれはできなくなっています。
今後はビザを事前申請している場合に限り、就労目的での渡英が可能です。例えば、「熟練労働者ビザ」。この種のビザは、英語はヨーロッパ言語共通参照枠(CEFR)B1レベル、年収が通常約25,000ポンド以上の仕事といった一連の要件を満たしていれば取得できます。
就労予定の仕事の年収がそれに満たない場合は、その仕事に役立つ学科の博士号(PhD)を取得しているとか、英国内で人手不足の業種でオファーを受けているなどといった要件で「追加ポイント」が得られれば、ビザが取得できます。
EU離脱後の新ルールの施行内容を記載した英国政府のサイトを読んだところでは、ビザ取得には合計70ポイントが必要だそうです。
そして、EU諸国の人々は仕事のオファーがないと渡英できなくなりました。
英国政府の立場としては、このシステムはすべて、EU諸国からの単純労働者の移民の阻止をねらいとしています。
ところで、ポイント制移民システムに影響を受けるのはEU諸国の労働者だけではありません。
EU諸国の学生も、以前は英国や北アイルランドの学生と同条件かつ同額の(EU諸国以外の学生よりも安い)学費で英国の名門大学で学べましたが、今後は特別ビザを申請しなければならず、また渡英前には健康保険への加入も義務づけられています。


ロンドンやイギリス移住の夢が遠のいてしまった人も…

特派員

  • ジャンフランコ・ ベロッリ
  • 職業ブロガー/ミュージシャン

私がロンドンに引っ越してきたのは2年以上も前ですが、ロンドンの外国人居住者向けのニュースレターで、この大都市での体験や新しく引っ越してきた外国人向けのアドバイスを紹介するようになったのは昨年からです。ロンドンはとてもダイナミックな街で、だれもが楽しめるものがたくさんありますが、迷うことなく満喫するためには地元の人の目線を参考にすることが大切です。みなさんにロンドンの隠れた魅力をお伝えするガイドになりたいと思っています。

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