• 2021.05.28
  • ビーガン向けファーストフード、ロンドンは新たな食の時代へ
イギリスの料理は酷評されることが多いですが、ロンドンが食の分野においてヨーロッパでも指折りの先取的な都市であることは確かで、また、今や世界で最もビーガンな都市の一つでもあります。
世界中から驚くほど多様な文化が集まる首都ロンドンでは、その特色はレストランや飲食店にも映しだされ、ベジタリアンやビーガン用メニューにも表れています。
クルエルティフリー食ともいわれるビーガン食はロンドンでは現実にますますトレンド化しています。確かにビーガンにやさしい街になっていて、以前のブログでもご紹介したようにビーガンをコンセプトとする飲食店が市内に数多く展開されています。
目新しいところでは、新規オープンしたビーガン専門店、そしてすべてビーガンの「ファーストフード」チェーン店もあります。
さて、ロンドンライフという意味では、「市内在住の労働者」も「観光客」も、どちらの立場から見ても、「ランチ」すなわち「手早くてお手頃値段のランチブレイク」がベストとなることは必至です。
そう考えると、ロンドンなら選択肢も幅広く、味、栄養、宗教による制約のどの点からも本当に満足できます。
実際に、新鮮でクォリティも高くリーズナブルなランチが誰でも楽しめるスポットが至るところにあります。
さまざまな場所で見かれるPret à Manger(プレタ・マンジェ)チェーンのお店では、客の好みに合わせて具材を変えて、その日に作って包装したサンドイッチを販売しています。
ドライトマトにサラダ、あめ色になるまで炒めた玉ねぎとペスト(バジル、チーズ、松の実、オリーブオイルなどを原料とするソース)をはさんだバゲットサンドなど、ビーガン向けメニューも充実していて、開店以来ビーガンたちにぴったりの店となっています。
また、Pret à Mangerはロンドンのソーホー地区にビーガンおよびベジタリアン向けのメニューのみを扱うビーガン・ベジタリアン専門店Veggie Pret(ベジ・プレット)をオープンし、サンドイッチやサラダ、スープ、パイ、デザートなど一日に20品目以上のベジ料理を提供しています。
このお店は同チェーンが試験的に展開した店舗でした。新規メニューを導入してほしいという顧客の要望に応えて、当初は一ヶ月間限定のビーガン・ベジタリアン専門店として試験的に営業する予定だったのですが、いざオープンすると客足は予想をはるかに超え、顧客からの要望も受けてベジタリアン・ビーガン向け商品を専門的に扱う事業を継続することとなりました。
このほか、ロンドンには例えば英国初の植物性チーズ専門店「La Fauxmagerie」(ラ・フォーマジェリー)があります。この分野では、少なくともヨーロッパでは他に類を見ないお店です。
La Fauxmagerieは植物性製品を製造するだけでなく、環境保護にも取り組んでいます。まさにビーガンのコンセプトにぴったり合致しており、再利用されたもしくは再利用可能な素材、あるいは生分解性の素材100%によるパッケージを使用し、環境負荷の軽減に貢献しています。


La Fauxmagerieで買ったビーガン・チーズ

フォーミュラ1(F1)ドライバーであるルイス・ハミルトンが経営するビーガンバーガーレストランチェーン店「Neat Burger」(ニート・バーガー)も最近オープンし、数年以内に少なくともさらに100店舗以上が展開される予定です。
1号店をロンドンのリージェントストリートにオープンした同チェーンは、現在、事業拡大のために最大1,500万ポンド(約22.6億円)を資金調達中です。コベントガーデンとキングスクロスのレストランを購入し、ヨーロッパにもこの2年で数十店を展開するという目標を掲げるとともに、来年は米国にも出店予定です。
ところで、ビーガンのフライドチキンをご希望の方は(変なネーミングですよね、でもこれも新商品)、Temple of Seitan へ足を運んでみてはいかがでしょう。
「Do it for the animals, do it for yourself(動物たちのために、あなた自身のために)」がお店のスローガン。
商品はすべて、お肉のプロテインの代替品としてグルテンミートを使用しています。
カムデン・タウンなら、安くて早いビーガンのファーストフードで地元の人に人気のあるHungerdog(ハンガードッグ)でしょう。美味しいビーガンのホットドッグが食べられます。
このお店では定番のプレーンのソイソーセージ(大豆のソーセージ)や豆腐も選べますが、ニンジンでマリネした豆腐ドッグあり、スパイシーなビーガンソースたっぷりのソーセージにハーブをのっけたホットドッグあり、とにかく、超クリエイティブなホットドッグがたくさんあるというわけです!
ロンドン市内でよく知られるオーガニック商品やビーガン・ベジタリアン商品がたくさん揃っているスーパーは米国系チェーンのWhole Foods Market(ホール・フーズ・マーケット)。価格が高いため、ピカデリー・サーカスやカムデン、リッチモンド、ケンジントンなどの高級住宅街を中心に、市内各所で営業しています。
ビーガン商品が数多く提供されていますが、一番のお勧めはやはりデザートです。ビーガンのカップケーキやビスケットは、お値段は張りますが是非買う価値ありです!このチェーン店の売りは、(コロナ禍前は)店内で食事ができることです。サラダのような一品も食べられますし、リサイクル原料から作られた容器を使うデリビュッフェコーナーもあり、食事をするエリアには電子レンジやカトラリー(環境にやさしい!)が置かれ、ごみ捨て用にリサイクル回収ボックスまで設置されています。
こうしたビーガン食品を提供しているスーパーの一つに「Planet Organic」(プラネット・オーガニック)があります。市内に7店を展開中で、トッテナム、ウェストボーン・グローブ、マスウェル・ヒル、イズリントン(自治区)、ホワイトチャペルにあり、ロンドンの中ならどこでもすぐにお店が見つかるでしょう。
こうしたスーパーでは、オーガニックのフルーツや野菜を使って店内で作ったジュースやスムージーがとても豊富に提供されています。
ビーガン・デザートは、種類はそれほど多くありませんが、少なくともビーガン向けでグルテンフリーのデザートがあるはずで、とっても美味しいんですよ。


セサミブレッドを使ったビーガンバーガー

特派員

  • ジャンフランコ・ ベロッリ
  • 職業ブロガー/ミュージシャン

私がロンドンに引っ越してきたのは2年以上も前ですが、ロンドンの外国人居住者向けのニュースレターで、この大都市での体験や新しく引っ越してきた外国人向けのアドバイスを紹介するようになったのは昨年からです。ロンドンはとてもダイナミックな街で、だれもが楽しめるものがたくさんありますが、迷うことなく満喫するためには地元の人の目線を参考にすることが大切です。みなさんにロンドンの隠れた魅力をお伝えするガイドになりたいと思っています。

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