• 2022.12.22
  • 一年で一番素敵なシーズン到来…!
イギリスではクリスマスシーズンが本格的に始まり、お店やショッピングセンターにはウキウキするような楽しい歌がたくさん流れています。
キリスト教のほかにも宗教や文化にまつわる伝統行事が数々行われるシーズンでもあり、これも含めた意味としてイギリスではこの時季を「ホリデーシーズン」と呼びます。通常、ホリデーシーズンはハロウィンの翌日から始まり、あらゆる店は装飾を一新し、陰気な薄気味悪い飾りつけから色とりどりの楽しいデコレーションへと変身していきます。
この変わりようを目の当たりにすると、ホリデーシーズンが商業的な色合いが濃く、いわゆる祝祭ムードも周到に計画されたマーケティング戦略に過ぎないことを現実に経験するわけですから、かなりショックを受けます。
とはいえ、せっかくのお楽しみに水を差すようなことはしたくないので、この祝祭のシーズンにイングランドで私が最も楽しんでいることをご紹介したいと思います。
11月末から12月初めにかけて、イギリスでは「The Christmas Lights Switch on」と書かれた、クリスマスイルミネーション点灯式を知らせるポスターをあちこちで見かけるようになります。
大都会のロンドンから小さな田舎町まで、どの土地でも人々が最も心待ちにしているイベントの一つです。
市や町の中心部で開催され、住民たちがこぞって集まって、地元で一番大きなツリーにクリスマスのイルミネーションを今シーズン初めて点灯し、クリスマスのお祝いを正式にスタートさせます。
点灯の瞬間は本当にわくわくしますし、この特別な一瞬に子どもたちが見せる表情を見るのが私の楽しみです。


イルミネーション点灯!

この頃になると、子どもたちはサンタクロースに手紙を書き始め、北極のサンタ宛専用の郵便ポストがロンドンや他の地域のあちこちに現れます。
また、サンタクロースのいないクリスマスがあり得ないように、イングランドではサンタクロースの魔法のエルフ(妖精)がいないクリスマスも存在しません。
「エルフ・オン・ザ・シェルフ」(The Elf on the Shelf)と呼ばれるイングランドの伝統によれば、人々の家にはサンタクロースの手伝いをするエルフの人形が隠れていて、エルフは子どもが良い子にしているかどうか見ているのだそうです。
夜になるとエルフは北極に戻ってサンタクロースにその日の出来事を報告し、また子どもたちのいる家へ。翌朝にはエルフが出かけたという痕跡が残されています。
子どもをお行儀よくさせるにはとてもいいアイデアだと思いますし、エルフは善い行いを教える「手助け」もしてくれるわけですね。
言い伝えによれば、エルフは家族にいたずらもすることになっていますが、この点が私には理解できません…エルフを子どものお手本にするなら、なぜいたずらをする必要があるのでしょう。


エルフ・オン・ザ・シェルフの一例

さて、このシーズンで私が何よりも好きなのはクリスマスキャロラー(聖歌隊)の歌です。
クリスマスキャロルはクリスマスを祝う歌で、キャロラーとはクリスマスキャロルを歌う合唱隊のことです。一軒ずつ家をまわってキャロルを歌い寄付を募ったり、賑やかなショッピングストリートで歌ったりします。
集まったお金は通常、慈善団体や教会に寄付され、慈善団体や教会ではホリデーシーズンにホームレスの人々に食事を提供することも少なくありません。
さらに、ごく最近知ったクリスマスの伝統があります。
「ユール・ログ」(Yule log、日本ではブッシュ・ド・ノエルとも)といって、古くからあった伝統だそうですが、私は初めて知りました。
歴史ははるか古代に始まり、以来長らく受け継がれてきました。家々では広葉樹の丸太を準備し、一年で一番昼の時間が短くなる日を迎えると、前の年に燃やした丸太の残りを使ってこの丸太に火を点けます。
人々はゆっくりと燃える薪の周りに集まります。こうして過ぎ行く年と来る年を繋ぐことで、家の繁栄と加護が約束されると考えられていました。
クリスマスの歌の歌詞に「Yule」「Yuletide」という言葉を見かけたことがよくありますが、これは冬至の祝日を表す語で、キリスト教によるクリスマス休暇以前から存在した異教徒の祝日と関係があるようです。

特派員

  • ジャンフランコ・ ベロッリ
  • 職業ブロガー/ミュージシャン

私がロンドンに引っ越してきたのは2年以上も前ですが、ロンドンの外国人居住者向けのニュースレターで、この大都市での体験や新しく引っ越してきた外国人向けのアドバイスを紹介するようになったのは昨年からです。ロンドンはとてもダイナミックな街で、だれもが楽しめるものがたくさんありますが、迷うことなく満喫するためには地元の人の目線を参考にすることが大切です。みなさんにロンドンの隠れた魅力をお伝えするガイドになりたいと思っています。

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