• 2024.06.06
  • 推しはどのキャラ?
ロンドン在住の方にもロンドンを足しげく訪れる人にも、お勧めしたいのがカートゥーン ミュージアム(Cartoon Museum)。
18世紀から現代までの英国におけるコミックの歴史をたどれる楽しいスポットです。
常設展では6,000点を超えるカートゥーンやコミックの原画が展示され、特別展や希少なコミックの企画展が入れ替わり開催されています。

初期のミュージアムが開館したのは2006年、当時は大英博物館から目と鼻の先にありました。その後2018年に閉館したようですが、場所を変えて2019年にリニューアルオープンしました。
館内に入るとパネルがあり、創設者たちが2年かけてミュージアムにふさわしい場所を探し求め、現在の場所を選んだことが解説されています。
新ミュージアムは、英国の漫画やコミックの特徴的なビジュアルランゲージ(視覚的言語)やシンボル、スタイルを思い起こさせるデザインになっています。
英国初のコミックアートに特化した施設です。
館内の各ギャラリーは、こうした形態のアートを展示して世に広め、英国コミックの遺産を守りつつ人々に紹介することを狙いとしています。
最初にオープンした2006年は、エディンバラ公爵フィリップ王配によって正式な開館式が執り行われました。フィリップ王配ご自身も王室の一人として生涯を通じたびたび全国紙のコマ割り漫画のモチーフとして登場しています。
開館式で殿下を迎えたのは政治風刺漫画家トログの作品でした。タイトルは「クイーン・ヴィクの女王(The Queen at the Queen Vic)」、パブのバーでビールを注ぐ女王の姿が描かれており、ミュージアムでは最も有名で、同館コレクションの目玉にもなっています。
メインの常設展では18世紀から現代に至るまでのカートゥーンやコミックアートの歴史が紹介されています。併設のすてきなギフトショップではギフトやカード、雑誌や書籍などが豊富に取り揃えられ、じっくりと見たり読んだりして楽しめます。


コミックイベントにはコスプレイヤーも登場

「カートゥーン」(cartoon)はもともと、絵が描かれる材料、丈夫な紙やカードを指す言葉でしたが、やがて描かれた絵全般を意味する語になりました。その後、完成作品の下絵(多くは原寸大)を指す言葉として使われ始めました。
次いで1843年に英国コミック誌「パンチ」(Punch)が発刊されたころから、雑誌や新聞に掲載されるユーモラスなイラストやコマ割り漫画(comic strip)が「カートゥーン」と呼ばれるようになっていきます。
それ以前は真面目な芸術作品の呼び名として使われていたのですが、この頃から風刺的な作品に対しても皮肉を込めてこの言葉が使われるようになりました。
日本は世界最大規模のマンガ市場だと思いますので、私の説明もよく理解していただけると思います。
日本のマンガが欧米に進出したのは1980年代で、まずは米国のコミック界、続いて欧州へと広まり、今や誰もが知る存在です。
今回、あまり人に知られていない小さなカートゥーン・ミュージアムを訪れ、こんな個人的な感想をもちました。
まずはたまたま思い立って来館した者として、確かに訪れる価値があると思います。ただ、内容が非常にニッチで、何よりも英国人の来館者向けに作られているため、コマ割り漫画のキャラクターのほとんどが英国の有名人、特に政治家であることを考慮すると、作品のユーモアを楽しむためには予備知識が必要でしょう。
館内のスペースは非常に限られており、2階構成で優れた作品が数多く展示されていますがフロアはかなり狭いです。
また、併設のショップに魅力的なすてきなアイテムばかり並んでいたので、入館料よりもたくさんお金を使ってしまいました。誘惑には勝てませんね!
このカートゥーン・ミュージアム、週末のほか、毎年ロンドンで開催されるコミックフェアの期間中も混み合うのだとか。私自身がこの手の話題にはかなり疎くて、マンガやコスプレにもそれほど興味がないので、詳しくは分かりません。
全体的に言って、冒頭でもお話しした通り、あまり人に知られていないスポットをお探しならカートゥーン・ミュージアムは訪れる価値のあるお勧めの施設です。

特派員

  • ジャンフランコ・ ベロッリ
  • 職業ブロガー/ミュージシャン

私がロンドンに引っ越してきたのは2年以上も前ですが、ロンドンの外国人居住者向けのニュースレターで、この大都市での体験や新しく引っ越してきた外国人向けのアドバイスを紹介するようになったのは昨年からです。ロンドンはとてもダイナミックな街で、だれもが楽しめるものがたくさんありますが、迷うことなく満喫するためには地元の人の目線を参考にすることが大切です。みなさんにロンドンの隠れた魅力をお伝えするガイドになりたいと思っています。

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