イングランド中部、正確にはウェストミッドランズに位置するこの街は、多数の民族が共存し、今も進化し続けています。また、人口のほぼ半分を海外出身者が占めています。
近代には「商業の都市」(the city of a thousand trades)と呼ばれていましたが、約100年のうちにイングランド最大の工業都市へと発展しました。街はまた新たに姿を変えつつあり、今や観光と第三次産業を軸とするべく方向転換を図っています。
そんなバーミンガムでの1日を、最初のところからお話ししていきたいと思います。
仕事の関係で早朝に駅に着いた私は、幾度となく欠伸を繰り返してコーヒーをすすりながら、なんとかバーミンガム大聖堂へ向かいました。すっかり再開発されて美しくなった地区に位置しています。
1715年に建てられたこの聖堂は、イングランドでは数少ないバロック様式建築であり、今も教会として機能しているバーミンガム最古の建築でもあります。最大の見どころはステンドグラスの窓です。多彩な色がちりばめられた珠玉の作品で、聖堂内を訪れる者の心に平穏をもたらし、中央に伸びる広い身廊に厳かな空気を生みだしています。
商談まで時間があったので、運河沿いの有名な遊歩道を歩こうと北へ向かったのですが、セントポール教会に着いてしまいました。辺り一面をおおう芝生にはラベンダーが咲き乱れ、一休みできる木製ベンチも備え付けられています。
そこからほど近い、ヨーロッパ有数のジュエリーの生産量と販売量を誇るジュエラリー・クォーター(Jewelry Quarter)を訪れました。魅力あるこの産業地区も、近年は危機的状況に陥って様変わりし、現在では多くの工場がコワーキングスペースやクリエイティブな事業を手掛けるオフィスに転用されています。
さて、ラドゲートヒル・ストリートから脇道伝いに河岸に沿って進むと、運河網の中心部に着きました。
一連の閘門(こうもん)を通れば、川船に乗って運河沿いにイングランドの街から街へ移動でき、あるいはロンドンへも……すばらしいですね。
運河沿いにたっぷり1時間歩いてたどり着いたエリアでは、1990年代の産業斜陽の時代を経てバーミンガムが再生した姿を目の当たりにできるはず。
何十軒という工場が廃業に追い込まれましたが、長年にわたる復興作業を経て今や競技場やショップ、オフィス、レストランへと生まれ変わり、バーミンガム水族館も開業しました。
街の中心部ではショッピングセンターにいるように感じられたため、長居はせず、運河を見渡せるパブに入り屋外に並ぶテーブルとベンチで、軽く昼食をとることにしました。
メニューには、英国料理の定番であるジャケットポテト やフィッシュアンドチップス、ミートパイ、ハンバーガーなどがありました。
昼食のお供として、英国定番のアペリティフであるピムス(柑橘類などのリキュールで、ジンジャーエールやレモネードなどで割って飲む)を1杯いただきました。
バーミンガムには観光用の港があり、何十艘もの色鮮やかな屋形船や川船が定期的に停泊しています。
ボートを終の棲家とするカップルにも出会いました。手作りの品物を売ったり、観光客を案内したりして生計を立てているそうです。
暖房として舳先に設置した薪ストーブを使用し、船内にはガスレンジや浴室、ダブルベッド、本棚が備え付けられています。
港からは有名なデザインビル「ザ・キューブ」も臨めます。街のスカイラインを一気に変えた建物です。
著名な建築家が設計したもので、高級ブティックやさまざまなショップ、おしゃれなレストランやアパートメントが入っています。
バーミンガムに引っ越してもいいのですが、お天気が…ロンドンよりひどいみたいですね!