• 2025.03.27
  • 犬や猫から珍しい動物まで、イギリスのペット事情
ご存知の通り、英国ロイヤルファミリーはどの時代も馬や猫、犬などの動物を飼育してきました。
ラブラドールやビーグル、ダックスフントなどの犬をはじめとして、ロイヤルファミリーがペットに注ぐ愛情には相当なものがあります。
クイーンマザーことエリザベス女王の母君が「ハニー」という名のコーギーをいつも身近に連れていたことは、今では伝説のように語り継がれています。
もちろん、彼女の子孫たちも例外ではありません。
エリザベス王女の父、ジョージ6世が初めてコーギーの子犬を宮殿に連れてきたのは1933年のこと。その時、王女は文字通り恋に落ちました。愛らしいコーギーに一目惚れしたものの、自分の犬をようやく手に入れたのは18歳のことでした。初めて愛犬として迎えたコーギーは「スーザン」と名付けられ、1947年の新婚旅行にも同行しました。
その後、エリザベス女王は生涯で30匹以上のコーギーを飼育し、犬たちはロイヤルファミリーの一員のような待遇を受けて暮らしました。
女王が所有する邸宅にはコーギー専門の部屋があり、犬舎にはベルベットのクッションや王家の盾が飾られ、コーギーたちは王室専用列車やヘリコプターで快適に移動している、という記事を読んだことがあります。
コーギーのお世話には、専門の執事とお抱えシェフが配置されていたそうです。シェフは新鮮なオーガニック食材を使って、それぞれの犬に合わせた個別メニューを用意していました。食事は磁器のお皿で提供され、その内容は常に変化していたとのことです。
ロイヤルファミリーだけでなく、イギリスの一般家庭でもペットは人気で、多くの人が犬や猫、鳥、ハムスターなどを飼っています。

ペットを守るための法律も制定されており、耳やしっぽを切ったり、動物を子どもに販売したり、景品として与えたりすることは禁止されています。また、猫や犬のオーナーに向けて、ペットの安全と幸福を守るために従うべきルールを掲載したガイドブックも提供されています。
猫の飼育に関しては、深夜に屋外に出すことは禁止され、生後4カ月以降の不妊手術が義務付けられています。また、子どもや他の動物から離れた、適切な広さの専用スペースを確保することと、適度な精神的刺激を与えることが義務付けられています。
これらの項目は行動規範として定められ、飼い主には動物種が持つ特性を尊重することを基本に、ペットに配慮した行動を遵守することが求められています。
中でも、猫の保護に関しては非常に厳しい法律が定められています。
猫を過度に太らせてはいけませんし、一日を家の中で過ごす猫が退屈したり、憂鬱になったりしないように、狩猟本能を刺激するなどの努力を怠ることも厳禁です。
また、各家庭を訪問してペットの飼育状況をチェックする権限を持つ、自治体職員で構成されたペット警察のような団体があるという話も耳にしました。
ウサギの飼育にも猫と同様のルールがあります。イギリスでは100万人以上の人が、良き人生の「コンパニオン」として、ウサギを家族に迎え入れています。

以前読んだ記事によると、イギリス国内では何千匹もの珍しい動物がペットとして飼育されているようです。
ネコ科の大型動物ではトラやライオン、ヒョウ、チーターなどが登録されていることが、行政が発行する許可証から明らかになっています。
さらには、コブラ、ガラガラヘビ、クサリヘビといった毒を持つ爬虫類のほか、あらゆる種類の危険な動物がリストに並びます。
これらは国が公式に発表している情報ですが、裏社会はブラックホールのような状態で、実際に何が起きているかを知る術はありません。
ドーバー海峡を渡ってしまえば、申告をして、安全対策やある程度の動物福祉を約束し、料金さえ支払えばどんな野生動物でもペットとして飼うことができるのです。
動物を合法的に手に入れて許可を得さえすれば、何でもありなのです。


特派員

  • ジャンフランコ・ ベロッリ
  • 職業ブロガー/ミュージシャン

私がロンドンに引っ越してきたのは2年以上も前ですが、ロンドンの外国人居住者向けのニュースレターで、この大都市での体験や新しく引っ越してきた外国人向けのアドバイスを紹介するようになったのは昨年からです。ロンドンはとてもダイナミックな街で、だれもが楽しめるものがたくさんありますが、迷うことなく満喫するためには地元の人の目線を参考にすることが大切です。みなさんにロンドンの隠れた魅力をお伝えするガイドになりたいと思っています。

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