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  • 2016.03.01
  • オランダでの結婚のお話
最近、オランダのテレビでは、結婚式に向けて最高のウェディングドレスを探すというアメリカのテレビ番組を数回にわたって放映しています。私の多くの友達もそうですが、私自身ものんびりとお茶を飲みながらこのシリーズを観るのが大好きで、アメリカの新婦たちが時には1万ドル(約112万4千円)以上もすると思われるドレスを購入する姿に見入っています。このようなテレビショーでは結婚生活の意義に重きを置いてはいませんが、この番組を観ながら、結婚とは何か、なぜ結婚は重要なのかについて考えてみようと思いました。

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アムステルダムの私の知人の多くは、結婚の必要性を感じていません。結婚の意味を重く考える人々も多くいる一方で、2人の愛を証明するのに紙切れは必要ないと考える人もいれば、結婚とは、私たちが生きている現代社会にそぐわない古い伝統だと考える人もいます。こうした感覚の根底には、オランダでは結婚せずに子供を持つことが珍しくないという現実もあります。多くのコミュニティではあまり歓迎されないことだと思いますが、両親が単に同居しているだけという家庭も多くあります。そのようなカップルの場合、後から結婚を決めてもいいし、ずっと結婚しないということもあります。こうした形式の取り決めはオランダの法律によって裏付けられており、オランダのカップルが自分たちの関係を届け出る場合、Huweliik(「結婚」)、geregistreerd partnerschap (「シビル・ユニオン」)、samenlevingscontract (「同居契約」)と言う3種類の正式な形式があります。それぞれについて、これから説明していきましょう。

結婚の場合、届け出る地域の市役所に申請して手続きを行います。式では両者が「I do(誓います)」の言葉による結婚への同意と、2名以上の証人による立ち会いが必要になります。この形式を経て届け出が完了すれば、教会やモスクで宗教に応じた結婚式を挙げることもできます。結婚とは、パートナー同士互いを支え合う義務が生じ、配偶者が死去した場合はその所有物を相続するという意味が含まれます。シビル・ユニオンは、結婚とほとんど同じですが、結婚を決定する「誓います」という言葉は必要なく、解消するのも簡単です。2人の間に子供がいない場合、法定代理人または事務弁護士が作成した両者が納得する合意書に双方が署名すればシビル・ユニオンは解消します。結婚後に離婚する場合は裁判所に出向かなければなりません。シビル・ユニオンから結婚に変更することも可能です。結婚から登録制パートナーシップへの変更はできません。

さて、こんなにも結婚との共通点が多いシビル・ユニオンの目的とは何でしょうか?どうやらこの届出形式を選択している人々には同性カップルが多いようです。それ以外の理由(もしくは重複する理由)としては、いかなる宗教的な形式による関係も望まない人々の存在もあるでしょう。また、より現実的な理由による場合もあります。家を共同購入した私の友人2人は、書類手続きがずっと楽になるという理由からシビル・ユニオンを選びました。将来的には結婚する予定ですが、2人にとって現時点ではこの届出で十分というわけです。

3番目の届出形式である同居契約は、他の2つとは異なる関係です。この契約をしたカップルは、同居に際して自分たちが守るべきルールのリストを作成します。その中には生活費(家賃、食費など)の分担、子育てにかかる費用、同居を解消した場合の所有物の分配なども含まれます。この契約はカップルとして共同生活を営んでいる証明であり、場合によっては便利な状況もあります。例えば、一方のパートナーが仕事で数年海外に移住することになった場合に、この契約を結んでいれば、もう一方のビザの申請が優遇されます。カップルの届出形式が3種類もあって非常に複雑かもしれませんが、私としては、人々が自分の望むライフスタイルを追求する上でより自由になったと思っています。

先ほども軽く触れましたが、オランダでは同性婚が合法化されています。現に2001年4月1日、世界で初めての同性婚を認める法律が施行されました。オランダの若い女性としての理想を言えば、同性婚が「特別」とか「進歩的」と見られることなく、すべての結婚と同じように普通のこととして認識されることを望んでいます。ともあれ、多くの国々では認められていない同性婚がオランダで認可されているのは喜ばしい限りです。

では、オランダにおける結婚とは、あるいは伝統的なオランダ式の結婚とはどんなものでしょうか?
前回の記事にも書きましたが、オランダ社会におけるジェンダーの役割は、日本の男女間で考えられているものとは大きく異なります。女性の多くは出産後も働くし、料理や掃除、子育てをする男性もたくさんいます。そういう意味で、2人の人間が届出による手続きによって一緒になることの意味を無視してオランダにおける結婚の意義を語ることはできません。「交際」から「結婚」になったからと言って、その人の日常生活はそれほど大きく変わらないでしょう。オランダのような多文化的な社会では、習慣をすべて書き出した完全なリストを作ることも容易ではありませんが、少なくとも一般的に認知されている要素はいくつかあります。

その一つとして、新婦の処女性と純粋さを象徴するものとして、伝統的にウェディングドレスには白いドレスを選びます。また、かつては第一子のベビーベッドにそのドレスの生地を使って内貼りや装飾を施していた地方もあります。花嫁のベールを花婿が外すという儀式は、男性に従属する女性の立場を象徴しています。しかし最近の新婦たちは、自らベールを外したり、最初からベールを被らないこともあります。

それから、ウェディングケーキもありますね。ウェディングケーキは幸運のシンボルです。ケーキが大きいほど2人が幸運に恵まれると言われています。

市役所や教会から出て行くカップルに、ライスシャワーをするのもお決まりです。この伝統は言うまでもなく極東の国々から伝わったものです。この習慣には、幸運と、何ひとつ不自由しないようにという願いが込められています。結婚式では、父親に連れられて通路を歩く花嫁が、父親によって「手放され」ます。これは、一家の主である父親がこの新しい縁を大いに喜んでいることを意味します。しかし、かつて結婚がビジネス的な取り決めと考えられていた時代では、新婦の父は代金を受け取って文字通り娘を手放していました。

最後に、結婚した夫婦が最初に帰宅する際、新婦は抱きかかえられながら玄関に入るという習慣があります。新婦が玄関に足を踏み入れるのは縁起が悪く、また新婦の実家の悪魔を新居に招き入れてしまうという迷信があったからです。新婦が抱えられた状態で玄関を通れば、悪魔たちはこれから2人が進んでいく道から消え去ると信じられていました。

というわけで、以上のような理由から、オランダで結婚するという経験(あるいはその必要性)は、色んな意味で日本の習慣とは大いに違うと言えそうです。それでも私は、日本でもオランダでも、新郎と新婦あるいは新婦と新婦、もしくは新郎と新郎は、誰もがお互いに愛し合い、残りの人生を共にしたいと願うからこそ結婚を望むのだと信じています。それは素晴らしいことだと思います。




特派員

  • マルタ・ ヒッキー
  • 年齢巳年(へび)
  • 性別女性
  • 職業教師、イラストレーター

アムステルダムで生まれ育ち、研究のため日本に2年半住んだことがあります。オランダ―日本間の文化的なつながりやコミュニケーションにとても興味があります。その他、自転車に乗ることや、教師やイラストレーターとしての仕事、友達と新しいカフェに行ったりすることを楽しんでいます。2014年にライデン大学を卒業し(アジア/日本研究修士)、現在は日本人向けのオランダ語学習教材を作っています。この学習教材では両国間の文化的な違いも紹介しています。

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