• 2016.10.11
  • ミシガン・ステート・フェア2016
今日はミシガン州ノバイからの初投稿です。私はここから、自分にとって新しく面白いものをみなさんと共有し、地元のアメリカ文化を外国人の視点で発信していきたいと思います。読者のみなさんにとっても初耳の内容だったら幸いです。

ノバイには活気あふれる都心部やダウンタウンといったものはほとんどないので、市内やノバイ周辺の場所を車で回っていきます(車を使うのが最も一般的ですし、大半の場所は車が「唯一の」交通手段なんです)。この地域を分かりやすく紹介するために、このノバイ初投稿では地域最大のファミリーイベント、ミシガン・ステート・フェア(Michigan State Fair)についてお話しします。ミシガン州とはどんなところで、フェア(見本市)に集まる地元の人はどんな人たちなのか、わくわくしますね。

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ミシガン・ステート・フェアは1849年に始まり、以来、ミシガン州のさまざまな都市で開催されてきましたが、2012年からはノバイのサバーバン・コレクション・ショープレイス(Suburban Collection Showplace)が会場となっています。いくつものエリア、パフォーマンス、コンテスト、ゲーム、食べ物などが楽しめるようになっていて、「家畜」「馬のパビリオン」「サーカス」「遊園地」の4つのカテゴリーに分類されています。

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巨大な展示場に入ると、さまざまな催しが盛りだくさんです。複数のステージ、大規模なファーマーズ・マーケット、乳製品エリア(1ドルの寄付でチョコレートミルクが1日飲み放題!)があって、手作りの製品を販売するベンダーや、羊、牛、ヤギ、豚を展示する地元農家もいます。農家は家畜を展示するだけでなく、高品質な食肉や羊毛製品、乳製品といった自家製品の販促活動にも余念がありません。農家の人がどうやって家畜の毛を刈ったり、搾乳したりするのか間近で見られるのはとても興味深いものでした。その日にコンテストを控えている一部の動物については直接触ることはできませんが、誰もがなでてみたくなるような、かわいらしい子豚と触れあったりもできます。こんなにたくさんの家畜を1箇所で見たことなどこれまでなかったように思います。この日、しっかりした靴を履いてこなかったことに私は後悔を感じ始めていましたが(それに臭いもきついですし)、このようなイベントを通じて、ミシガンのさまざまな地域の人たちの集まりに参加できるのはとても素敵なことだと思いました。だって、地元農家と交流できる場所なんて他にはそうないでしょう?

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屋外会場はさらに広大でした。いろいろな乗り物、フードトラック、サーカス、そして着飾ったカウガールの乗馬コンテストが行われる馬のパビリオンまであって、まさに壮観です! 来場者が楽しめる多彩なイベントが1日中企画されています。なかでも私がぜひ見てみたいと思ったのはピッグ・レースとパスタの早食いコンテストです。これらは私にとって、アメリカのテレビ番組でしかお目にかかれない、「いかにも」アメリカらしい催し物だからです(ちなみにオランダではこのような催し物はありません)。ところが、最初に私の目を釘付けにしたのは、「揚げオレオ」というポスターを貼った1台のフードトラックでした。どう見ても体にいいとは思えないし、上品な食べ物でもありませんが、遊び心とこのフェアの素朴な雰囲気がとてもうまく融合されているような気がして、私はつい1皿買ってしまいました。味は思ったより美味しかったですが、1皿6個というのは2人でも食べきれない量です。アメリカに来ると誰もがまず直面する出来事がこれで、一人前の量がとにかく多いのです。オランダよりも多いのですから、日本より多いのは言うまでもありません。

パスタの早食いコンテストの会場に着くと、出場者をまだ募集していて、その場で参加を決めて平然とステージへ歩いて行く人も何人かいました。ステージ上の若い女性は、「優勝できなくても、少なくとも無料でランチが食べられるし、このパスタはとにかく絶品!」と笑っていました。コンテストのルールはいたって簡単で、出場者全員にパスタの皿が配られ、手を使わずに一番速く食べきった人が優勝です。私が掲載した動画はあまりよく撮れていませんが、ぜひご覧いただいて、より明確なイメージをつかんでもらえたらと思います。アメリカのフェアでは食べるコンテストがよく開催されますが、私は「大食い」を競うコンテスト(ホットドッグ、ピザ、アップルパイなど、何であれ)もまだ見たことがありません。こうしたコンテストが日本で珍しいものなのかどうか分かりませんが、オランダでは食べ物を粗末にする、無意味な行為として一般的に嫌がられます。でも、アメリカ文化のなかのこの種のコンテストをたった1度でも目撃できたのは、とても面白い体験でした。

次はピッグ・レースです。とても人気があるようで、トラックの周りには大勢の人だかりができていました。イベントを仕切る2人の男性が場を盛り上げ、子豚たちを呼ぶ「スーイー」というかけ声を観客に促します。観客が喜んで応じると、さあ、レースの始まりです。レースの様子は以下に掲載した動画でご覧ください。

最後はサーカスです。といっても実際にはサーカスが始まる直前の話なのですが、私はここで大変なカルチャーショックを受けました。ショーが始まる前、中央のリングにはライフルが突き立てられた軍用ブーツが監視もなしに置かれていたのです。私はライフルが装填されていないことを祈るとともに、ライフルが突き立てられていることを非常に不気味に感じました。一体なぜこんなことをするのでしょう? その後、ショーの開始前に、数人の退役軍人がステージに上がり、観客に暖かく迎えられました(私はサーカスと退役軍人とのつながりに頭をひねっていました)。そして、国歌を斉唱する第二次世界大戦の退役軍人にマイクが渡されると、サーカステントにいた全員が立ち上がり、胸に手を当てたのです。周りから冷たい視線を浴びせられたので、私も急いで立ち上がり、彼らのまねをしました。国歌斉唱が終わると、観客が一斉に大きな歓声をあげたので、私は唖然としてしまいました。なにしろ、サーカスのチケットを買ったときに私が思い描いていたこととはかけ離れていましたし、まったく見ず知らずの人たちからプレッシャーをかけられるとは思ってもいませんでしたから。今でも、退役軍人と国歌斉唱とサーカスとのつながりはよく分かりませんが、これはどちらかといえば、このフェアで称えられているコミュニティ意識を反映したものでした。アメリカ人は愛国心や自国への誇りをあらゆる場面で示そうとするのでしょう。たとえその場にいる人が全員アメリカ人だったとしても、そうなのでしょう(ですから、こうした慣習は「部外者」に向けられたものではなく、むしろ自分たちを対象にして、「私たちアメリカ人」というアイデンティティーを強化するための慣習だと理解したほうがいいかもしれません)。しかし、私のようなオランダ人からすれば、奇妙で場違いな行為に感じられます。日本人はどんな時に、そしてどのように自国への誇りを表現しますか? オランダ人は愛国主義的なものからはすぐに身をかわしてしまいます。何事に対しても個人主義的なアプローチで、冷めた態度を取る傾向があるのです。もちろん、サッカーの国際試合だけは例外ですけどね。

全体としては、ミシガン・ステート・フェアは「アメリカ」が体験できる、とても面白いイベントです。写真や動画を通して、もっとよくお分かりいただけると思います。シンプルで楽しい催しが満載で、子供も大人も楽しめるイベントです。私にとって最も強く印象に残ったことは、このフェアに見られるコミュニティ意識でした。そういった意識は、地元農家(およびベンダー)に対する地域ぐるみの関心や、家族連れでゲームや楽しい催しものを満喫できるというイベントの趣旨に反映されていました。一方で、サーカスでの国歌斉唱は、コミュニティが持つもうひとつの興味深い姿を浮き彫りにしていました。しかし主として、地元のビジネスについて気楽に楽しく学べるのはとても有意義なことですし、地域ではどんなことが大切なのかを感じることもできると思います。もし、アメリカのフェアに行く機会があったら、ぜひのぞいてみることをお薦めします。誰にとっても楽しんだり、発見したりすることが、きっとあると思いますよ。








特派員

  • マルタ・ ヒッキー
  • 年齢巳年(へび)
  • 性別女性
  • 職業教師、イラストレーター

マルタは生まれも育ちもアムステルダムですが、日本語と日本文化の研究の一環で2年半の日本在住経験があります。オランダ人と日本人の間の文化とコミュニケーションのつながりについて、特に強い関心を持っています。現在はミシガン州ノバイに拠点を移し、文化の違いをより広く探究しようとしています。

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