• 2025.07.09
  • 光が街を包む夜―ビビッド・シドニー2025体験記
日本とは季節が逆のオーストラリア。6月のシドニーは初冬にあたります。そんな寒さが始まるこの時期に開催されるのが、光の祭典「Vivid Sydney(ビビッド・シドニー)」です。夜になるとシドニーの街全体が光と音に包まれ、幻想的な雰囲気に。寒い時期だからこそ、その輝きが一層際立って見えるのかもしれません。
2025年のビビッド・シドニーは、5月23日から6月14日までの開催。今年のテーマは「DREAM(夢)」。想像力や創造性を刺激するような光や音、アートのインスタレーションが街中を彩り、都市全体が巨大な美術館のように変貌します。しかもこのイベントは基本的に無料で楽しめるのも大きな魅力です。
なかでも印象に残ったのは、ウォーターフロントにあるダーリングハーバーです。普段から散歩にぴったりの美しい場所ですが、ビビッドの期間中はまるで別世界に変わります。特に、色とりどりのプロジェクションマッピングやライトインスタレーションが広がり、幻想的な雰囲気に包まれます。これらの光の演出が水面に映り込んで、まるで光の中に吸い込まれるような感覚を味わうことができました。
一方、オペラハウスの帆に映し出される「Lighting of the Sails: Kiss of Light」は、シドニーの代表的なプロジェクションマッピングで、夜のシドニーを美しく彩る一大イベントのひとつです。鮮やかな映像がオペラハウスの帆に映し出され、幻想的な世界が広がる瞬間は圧巻でした。水面に映る光とともに、まるで夢の中にいるような気持ちになりました。
また、「Neon Dreams」というレトロフューチャーなローラーディスコ風ダイナーでは、ネオンに包まれた中で食事を楽しむことができ、五感で楽しむ体験にワクワクしました。
良かった点としては、意外にも混雑が少なかったことが挙げられます。日本のイルミネーションイベントに比べて人が分散しており、平日夜は特にゆったりと鑑賞できました。3週間という長めの開催期間のおかげで、日を分けて異なる会場を巡ることも可能です。加えて、有料の特別イベントも開催されているので、気になるものがあれば体験してみるのもおすすめです。
私は今回が初めての訪問でしたが、一部のプロジェクションマッピングについては「例年より明るさに欠ける」という声も耳にしました。そうした声も含めて、行く前に少し下調べをしておくと、より満足度が高まると思います。また、週末や祝日はやや混み合うため、できれば平日の夜の訪問がベストです。
総じて、ビビッド・シドニーは冬の夜を彩る、幻想的で美しいイベントでした。澄んだ空気の中で味わう光と音のアートは、現実を忘れさせてくれるような時間。もしこの時期にシドニーを訪れる予定があるなら、ぜひ足を運んでみてほしいイベントです。


特派員

  • 藤田 博子
  • 職業書道家

日本の伝統文化である書道を海外に発信し、現地の方々との繋がり、様々な情報を発信していきたいと思います。

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