今回は、そんなサリーヒルズにある「酔心(Suishin)」という日本料理レストランで、壁に「酔心」という文字を書くご依頼をいただきました。その様子と、サリーヒルズの街並みについてご紹介します。
サリーヒルズには数多くの日本料理レストランがありますが、その8割は日本人経営ではないと言われています。それはある意味、他の国の人からも日本料理を提供することに価値があると考えられているのだと感じます。今回依頼をいただいたお店も、オーナーは韓国の方です。オーナーシェフは日本料理が大好きで、シドニーでも長年トップシェフとして日本料理店で活躍してきた経験を持つ方です。
『酔心』は、お刺身、お寿司、そして日本酒を大切に扱うお店で、その名の通り日本酒を楽しむローカルのお客様も多く訪れます。とても可愛らしく、温かみのある雰囲気が魅力です。今回、店内の壁の一部がぽっかり空いていたことから、私に筆文字を依頼してくださいました。店内はとてもおしゃれで、キャンドルが灯されたテーブルや、こだわりの装飾が目を引きます。書く文字の書体については特に指定はなく、「お店の名前を書いてほしい」というリクエストだけでした。書き方や構成も自由に任せていただきましたが、せっかくなのでオーナーと相談しながら進めることにしました。
制作時間を聞かれ、「1時間もあれば」と答えると、「そんなに早くできるの?」と驚かれました。日本から持参した濃墨を使い、垂れないよう注意して書きましたが、若干墨が垂れてしまいました。しかしお店の名前「酔心」が“酔い”のイメージを含むこともあり、「少し垂れている方が味があっていい」とオーナーが言ってくださり、ほっとしました。
完成後、自分では少し細めに仕上がったかなという印象でしたので「後日修正してもいい?」と聞くと、「構わないけど、でも今のままでも十分気に入っている」と喜んでいただけ、とても嬉しかったです。シドニーのおしゃれなお店に、自分の書が飾られることは本当に光栄です。
サリーヒルズは、先ほども触れた通り、おしゃれな街並みと多くのカフェやレストランが魅力です。その中でも特に有名なのが「ビルズ(bills)」というパンケーキのお店。日本でも大人気で、表参道や七里ヶ浜などに店舗があり、いつも行列ができるほどです。実はこのビルズ、1993年にシドニーのダーリングハーストで誕生し、「世界一の朝食」と称されるリコッタパンケーキやスクランブルエッグで世界的に有名になりました。現在ではオーストラリア国内のみならず、ハワイやロンドン、そして日本にも展開されています。
ずっと行きたかったのですが、なかなか機会がなく、今回ようやく訪れることができました。『酔心』から徒歩10分ほどの場所にあり、外観も内装もとてもおしゃれで、座っているだけでもワクワクします。パンケーキ以外にも魅力的なブランチメニューがたくさんありますが、初訪問なので定番のリコッタパンケーキと紅茶を注文しました。
運ばれてきたパンケーキは、ふわふわでボリューム満点。軽やかでしっとりとした食感、そして甘すぎない上品な味わいは、普段あまりパンケーキを食べない私でも驚くほど食べやすかったです。ただし量は多めで、全部は食べきれませんでした。オーストラリアの良いところのひとつは、食べきれなかった料理をテイクアウトできること。持ち帰り用の容器をいただき、残りは家でゆっくり楽しみました。
サリーヒルズの街並みは本当に可愛らしく、歩いていると素敵なお店に次々と出会えます。アンティークショップや個性的な雑貨店、小さなアートギャラリーも点在し、散策するだけでも楽しいエリアです。これまであまりゆっくり訪れることはありませんでしたが、遠くない場所なので、これからもお気に入りのお店探しに出かけたいと思います。




