• 2025.10.14
  • シドニーで楽しむ桜の絶景 ― Cherry Blossom Festival 体験記
オーストラリアと聞くと、海やビーチ、広大な自然を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、シドニー近郊でも日本の春を思わせる「桜」を楽しむことができるのをご存知でしょうか。毎年8月に開催される Cherry Blossom Festival(桜まつり) は、シドニーの冬から春への移ろいを感じさせてくれる特別なイベントです。
会場はシドニー郊外の Auburn Botanic Gardens(オーバーン植物園)。園内には約20種類以上の桜が植えられており、8月には一斉に花を咲かせます。日本より季節が半分ずれているオーストラリアでは、桜は春ではなく冬の終わりに見頃を迎えるのがユニークな点です。
私が訪れたのは快晴の週末でした。入口にはすでに長い列ができており、ちらりと見えるピンク色の桜並木に入場前から胸が高鳴りました。午後2時頃に到着した時点でも多くの人で賑わっていましたが、警備員の方によると午前中はさらに多くの来場者であふれていたそうです。改めて桜の人気を実感しました。
来場者は地元の人が中心のようでしたが、オーストラリアらしく国際色豊かで、日本人を見かけることはほとんどありませんでした。家族連れやカップルが写真を撮ったりピクニックを楽しんだりする様子はとても華やか。園内には日本庭園もありました。ただ、私自身は桜への期待が大きすぎたためか、「桜並木」と呼ぶには少し物足りなさを感じ、日本の桜を見てもらいたいという思いもよぎりました。
フェスティバルの魅力は桜だけではありません。会場では生演奏や折り紙ワークショップなど、日本文化を五感で楽しめるプログラムが盛りだくさん。屋台ではお好み焼きやラーメン、おにぎりなどの日本食も販売されていました。私はあんこが入っているタイ焼きのようなケーキを見つけたのでそれを購入しました。『花より団子』はどこの国でも共通のようで、屋台はどこも長蛇の列です。タイ焼き一つに注文してから提供まで約30分かかりました。因みに日本食が販売されていましたが、日本人経営ではなさそうでした。勿論価格も日本と比べると2~3倍程です。お好み焼きは1枚2,500円から3,000円です。それはオーストラリアの外食はどこも高いので仕方がないですね。
また、このイベントは多文化交流の場でもあります。来場者はオーストラリア人に限らず、アジア系やヨーロッパ系の人々も多く、桜を背景に笑顔で写真を撮り合う姿が印象的でした。「桜」という花が国境を越えて愛されていることを実感する瞬間です。
さらに街の周辺では「さくら住宅」「さくらカフェ」など、「さくら」の名を冠したお店をいくつか見かけました。この地域が毎年桜フェスティバルで賑わうため、桜にちなんだ名前が定着しているのだと思います。
ただし人気イベントだけに週末は混雑し、入場までに列ができることもあります。混雑を避けたい方には平日の来場がおすすめです。入場料は大人1人あたり約18ドル(年によって変動あり)。それでもこれだけの人が訪れるのだと感心しました。日本にいると無料で美しい桜を楽しめることのありがたさを改めて感じました。
オーストラリアで暮らしていると、日本の四季や文化を恋しく思う瞬間があります。その中で Cherry Blossom Festival は、日本の美しさを再発見できる貴重なひとときでした。桜の咲き具合はともかくとして、自然の美しさに癒やされ、異文化の中で日本文化の価値を再認識する素晴らしい機会となりました。




特派員

  • 藤田 博子
  • 職業書道家

日本の伝統文化である書道を海外に発信し、現地の方々との繋がり、様々な情報を発信していきたいと思います。

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