その昔オリサバ公爵家として建てられたそうで、青や黄色のタイルが何千枚も使用されているバロック建築です。タイルは元はアラビアからスペイン、そしてメキシコへと伝わったもので、この建物に使われているものはメキシコのプエブラ産と中国製のものだということです。
オリサバ公爵夫人の死後はジョッキークラブ等に利用され、1919年からは老舗デパートのサンボーンズとなっています。サンボーンズは1903年にカリフォルニア移民のウォルター&フランク サンボーン兄弟によって設立されましたが、1985年からは億万長者のカルロス・スリムが経営しています。サンボーンズは様々な商品を売っているのですが薬局やカフェレストランが有名です。青いタイルの家のレストランは雰囲気がとても良く、いつも観光客や地元のメキシコ人で賑わっています。サンボーンズのレストランは上品なファミリーレストランといった位置づけなのですが、値段が少し高いことと料理に当たりはずれがあるのが玉に瑕。しかしここはこの空間に価値があるので、訪れた際はレストランを利用してみるのがおすすめです。
レストランは雰囲気の違う2つのスペースがある
シャンデリアがあるスペースは地盤沈下のため床が傾いている
青いタイルの家にはまだ見所があります。吹き抜けになっているレストランスペースの隣の階段部分に大きな壁画があるのです。以前の壁画芸術の記事に書いた、オロスコによって描かれた全知(Omunisciencia)という壁画。この壁画ももちろん見ていただきたいですが、個人的には2階へ続く階段や天井の美しい装飾にも注目してもらいたいです。
そしてこの建物は日本ともゆかりがあります。1614年、伊達正宗の命でヨーロッパへ渡った支倉常長の遣欧使節団がメキシコシティにも立ち寄り、その際にここに滞在したそうです。そんな歴史がつまった建物で優雅にお茶はいかがでしょうか。