• 2015.12.04
  • ディジョン・サイテン:日本への憧れが膨らむ2日間
今年で11回目を数えるディジョン・サイテン・フェスティバルが行われました。ADMA(Association for the Discovery of Manga and Animation)の運営により2日間にわたって開催されるこのイベントは、夏にパリで行われる有名なジャパン・エキスポのコンパクト版といったところです。

018_151204_1ADMAは元々学生の団体で、2004年にこの企画を立ち上げ、ブルゴーニュ大学の一部施設を借りてディジョン・サイテンを開催しました。大学内のビル半棟分のスペースからスタートしたイベントは、今やキャンパスの建物3棟分をまるまる使うほど大規模なものになったのです。
毎年100名近くのボランティア要員がこのイベントのために動員されています。


このフェスティバルの重要性と人気は、年を追うごとに着々と確立されています。当初は漫画とアニメーションだけに特化したイベントでしたが、現在のディジョン・サイテンは、以下のように幅広いアクティビティを提供しています。

–日本語あるいは一般的な日本文化(音楽、伝統芸能)に触れるための特設スペース。

–空手や合気道、少しマニアックなところでは柔道といった日本の武道を知るための特設スペース。

–将棋や囲碁などのボードゲームや、ポケモンや遊戯王などのトレーディングカードを使ったゲームを知り、実際にプレイできるエリア。

–イベント期間中に行われる数多くのトーナメントなど、ビデオゲームに関する催しも大いに充実しています。日本のゲームセンターはフランスの若者にとって羨望の的です。このゲームセンターを、スタッフは数年がかりで出来る限り忠実に再現しました。

–音楽コンサートやカラオケコンテスト。

–漫画やアニメに関する様々なクイズ大会の大半は夜間に実施されます。有名な「ヘンタイ・クイズ大会」(成人限定)は大変な人気です。

–肝心なことを言い忘れていましたが、このイベントにおける最大の呼び物は「コスプレ大会」です。日本独特の流儀を汲むフランスの若者たちが、毎年このイベントの期間中は自作のコスチュームによるコスプレを披露して、互いの完成度を競い合います。コスプレのテーマに選ばれるのは日本発のカルチャー作品に限りません。ビデオゲーム、アメリカのTVドラマシリーズや映画、そしてアメコミに関連したものもあります。

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コスプレコンテスト


ここ数年、ディジョン・サイテンは毎回特別ゲストを招待しています。登場するゲストの顔ぶれは、アーティスト、日本で言うところの「アイドル」、フランス人漫画家や有名なユーチューバーなどです。

最後に挙げたユーチューバーと呼ばれるカテゴリーは、個人的には特に面白いと思っている人たちです。ポッドキャストで日本のカルチャー関連のジャンルに名を連ねる「ユーチューバー」たちは、こうしたアクセスが簡単な配信プラットフォームを利用して、それぞれの個性や世界観、ユーモアのセンスを注ぎ込みながら日本への熱い思いを発信しているのです。

最近のユーチューバー人気の影響で、若者たちはこうしたプラットフォームを使って自らのアイディアを低予算で発信するようになりました。自分の部屋から直接ストリーム配信を行うのが彼らの主流のスタイルです。

彼らはみんな日本に憧れを抱いているし、また「ギーク(オタク)」文化を代表する点でも共通しています。これらユーチューバーの中には、有名な歌手やモデルに劣らぬほどネット界で著名になり、ディジョン・サイテンやジャパン・エキスポといったイベントの常連参加者になったものもいます。

この種のフェスティバルは、フランス人の日本に対する憧れをさらに膨らませています。フランスで日本のカルチャー人気に火が付いたのは80年代半ばですが、当時はまだ年齢層が高めの人々にはほとんど知られていませんでした。例えばビデオゲームや漫画などは、変人や社会の本流をはずれた人々をターゲットにした「下層階級」のカルチャーであるという認識だったのです。

ところが今やその認知度は飛躍的に向上し、ディジョン・サイテンやジャパン・エキスポなどのイベントの効果も相まって、このエキゾチックなカルチャーは多くの人々の知るところとなりました。もちろん、すべての範囲をカバーできたと言えるまでには程遠い段階ですが、このわずか数年の間にも、かつての陳腐な印象はかなり払拭されています。

このトレンドが後退する気配はまったくありません。それどころか日本はますますフランスの若者の人気を集めていて、これは私にとっても喜ばしい限りです。子供時代の私がそうであったように、日本に心を魅かれるフランスの若者は増える一方なのです。

フランスと日本は、文化的にきわめて強力な絆を分かち合い、お互いの魅力をアピールし合える国だと思っています。日本に関するイベントの人気が着実に高まっていることからも分かるように、フランスと日本のラブストーリーに終わりはなさそうです。




特派員

  • イブ・ ラリュン
  • 職業大学生

1990年代、フランスでは、日本文化がとても流行し、私も、日本のアニメや音楽、ビデオゲームに夢中になりました。2011年に留学のため1年間京都で生活し、2015年にはインターンのため5か月間大阪で暮らしてみて、さらに日本が好きになりました。

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